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彼は逃げていたのではなく、向き合い方を知らなかったのかもしれない

彼とのことを、
どこから書けばいいのかわからない。

前に記事にしたあとにも、
本当にいろんなことがあった。

近づいたと思ったら、離れたように感じたり。
わかり合えたと思ったら、また傷ついたり。
愛されていると感じる日もあれば、
どうしてこんなに孤独なんだろうと思う日もあった。

私はずっと、
彼のことを回避型なのかもしれないと思っていた。

深いところに踏み込まれるのを嫌がる。
自分のことをあまり話さない。
都合が悪くなると、言葉を濁す。
感情が動くと、少し距離を取る。
愛しているように見えるのに、
肝心なところではこちらに来ない。

そういう彼の姿を見ていると、
これは回避なのだろうと思っていた。

でも、最近少しだけ見方が変わった。

彼は、
逃げたい人なのではなく、
向き合い方を知らなかった人なのかもしれない。

もちろん、
それで私が傷つかなかったことになるわけではない。

彼の言葉に傷ついたこともあった。
彼の態度に寂しくなったこともあった。
大事なところで置き去りにされたように感じたこともあった。

好きならどうして言ってくれないの。
愛しているなら、どうしてちゃんと向き合ってくれないの。
私だけがこんなに考えて、
私だけが関係を支えているように感じるはなぜなの。

何度もそう思った。

それでも、
彼は完全に逃げたわけではなかった。

不器用で、
言葉も足りなくて、
自分の感情を扱うのも上手ではなくて、
私から見ると
「どうしてそこでそうなるの」
と思うことばかりだった。

でも、彼は切らなかった。
閉じきらなかった。
私が傷ついていることに、
少しずつ気づこうとはしていた。
ぎこちなくても、関係の中に残ろうとしていた。

それは、
私が思っていた「回避型」の姿とは少し違っていた。

本当に回避だけの人なら、
もっと早く逃げていたのかもしれない。

面倒な話になった時点で、
もう関係を終わらせていたかもしれない。

でも彼は、
怖がりながらも、
不器用ながらも、
どこかで向き合おうとしていた。

それに気づいたとき、
私は少し驚いた。

ああ、
この人は逃げたいだけの人ではなかったんだな、と。

ただ、向き合う力が育っていなかった。
自分の感情を言葉にすることに慣れていなかった。
誰かを深く愛したときの自分の揺れを、
どう扱えばいいのかわからなかった。

そして私は私で、
彼の不器用さを受けとめすぎていたのだと思う。

彼が言えないなら、私が読まなきゃ。
彼が不安定なら、私が支えなきゃ。
彼が傷ついた人なら、私がわかってあげなきゃ。

そうやって、
彼の心ばかりを見ようとして、
自分の痛みを後回しにしていた。

でもそれでは、
いつか苦しくなる。

私は彼を理解したかった。
でも、理解することと、
自分が傷ついたことをなかったことにすることは違う。

彼を愛することと、
自分の尊厳を置き去りにすることも違う。

だから最近のわたしは、
少しずつ自分の側に戻ってきた。

私はいま傷ついた。
相手の正しさと、私の痛みは別。
まず自分の心を守る。

そう思うようになった。

すると不思議なことに、
彼のことも少し冷静に見えるようになった。

彼は私を傷つけた。
それは事実。

でも彼は、
私をどうでもいいと思っていたわけではない。

彼は未熟だった。
でも、無責任に逃げ切る人でもなかった。

彼は愛していた。
でも、愛し方を知らなかった。

そういうことだったのかもしれない。
これはあくまでも私の想像。

そして、
向き合える日が来た。

それは、
劇的な和解というより、
長くこじれていた糸が、
少しだけほどけたような感覚だった。

ああ、ここまで来るのに、
こんなに時間がかかったんだなと思った。

傷ついて、
怒って、
悲しくもなって、
もう無理だと何度も思って、
それでもどこかで完全には切れなくて、
何度も自分の心を見つめ直した。

彼を見極める時間でもあったし、
私が私を取り戻す時間でもあった。

彼が変わったのか。
私が変わったのか。

きっと、どちらもなのだと思う。

彼は少しずつ、
自分の中にあるものから逃げずに、
関係の中に残ることを選びはじめた。

私は少しずつ、
彼を支えることよりも、
自分の尊厳を守ることを選べるようになった。

だからやっと、
向き合える場所まで来られたのかもしれない。

まだ何かが完成したわけではない。

この関係がこれからどうなるのかも、
正直まだわからない。

でも、ひとつだけ記録しておきたい。

私は彼のことを、
ずっと回避型だと思っていた。

でも今は、
彼はただ逃げていたのではなく、
向き合う方法を知らなかった人なのかもしれないと思っている。

そしてその彼が、
少しずつでも向き合おうとしてくれたこと。

私もまた、
自分を失わない形で彼と向き合おうとしたこと。

それは、
私たちにとって大きな変化だった。

愛は、
ただ甘いものではなかった。

傷つくこともある。
ぶつかることもある。
自分の未熟さを見せられることもある。
相手の弱さに触れて、苦しくなることもある。

でもその中で、
逃げずに残ろうとすること。
相手を責めるだけではなく、
自分の心にも戻ること。
そして、もう一度言葉を交わそうとすること。

それもまた、
愛のひとつの形なのかもしれない。

まだ途中だ。

でも、途中だからこそ、
今の私が見ているものを残しておきたい。

彼は逃げていたのではなく、
向き合い方を知らなかったのかもしれない。

そして私は、
彼を愛しながら、
自分を守ることを覚えはじめた。

この記録は、
その途中にいる私の、
ひとつの区切りとして残しておく。


Aru.


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