着ぐるみバイトの思い出。
※いや、自分も「中に人などいない!!」って言いたい派なんだよ!!
この話だけはどうしても書きたいので、着ぐるみになにかしら夢を抱いている方は読まない方がいいかも(苦笑)
数年前の蒸し暑いある日。
着ぐるみの中に入る単発バイトに行ってきた。
場所は室内(体育館の中)で、うっすら冷房もかかってはいたんだろうけど、いかんせんとにかく暑い。
1つの着ぐるみに2人交代で入る。できるだけ長い時間出ていてほしいとは言われたが、安全第一のため休憩時間の取り方は自由だった。
自分はもっと前にボランティアで着ぐるみの中に入ったことがあったので、ペアになる人と相談し「着ぐるみの中に入るのはMAX15分にしましょう!危ないので!」と力説(!)して、15分着ぐるみ→15分休憩→交代して15分着ぐるみ……という配分にした。
なお2人組には理由があり、着ぐるみ着てると視界がものすごく悪くて危ないため、1人が中に入っているとき、もう1人は介添え人というか、常にそばにいて動くときに案内したり、着ぐるみの中の本体が外に見えそうになったら隠したり(!)という仕事があったりもする。(最近は全身スーツで中にファンがあったりする高機能着ぐるみもあるが、自分が着たのは昔ながらの「本体を着て頭と腕を別付けする」みたいなやつだったので、うっかりすると首や腕などが見えてしまう場合があった)
着ぐるみやるとだいたいの方は経験するかもしれないが、ただ立ってるだけでにんきものになれるのが、めちゃくちゃ気持ちいい(!?)
たまに中をのぞき込んでくる子もいたりするが、かわいく威嚇(!!)してやると、それはそれでまた喜んでもらえる(!?)
他の人の動きを見て、どうすればもっとかわいく見えるのかとか、よろこんでもらえるかとか、妙に研究を始めたりもする。
でも、近づいてきた子どもが着ぐるみをべろべろになめたりし始めると、ちょっとどうしよう……まあ自分の服じゃないからいいにせよこんなのなめって大丈夫かしら、と思ったりもする。
そんな感じで過ごしていたら。
お孫さん連れのご婦人が「あら暑いのに大変ね!ご苦労様!」って感じで近づいてきて、こんな話を始めた。
「私の同級生でもねえ、昔ずーっと着ぐるみやってた人がいるのよー。その人は幼稚園を作るっていう夢があって、着ぐるみで稼いで幼稚園作ったの!だから、大変だと思うけど、あなたもがんばってね!」
自分、着ぐるみの中でうっかりのび太ばりの涙の洪水を噴出するところだった。
自分には夢もなんにもない、ただ生活費稼ぎで着ぐるみに入ってるだけなんだけど、世の中には本当に夢のような話があるんだなって思ったのと、そのご婦人には見えないはずの「なかのひと」が見えているのだ、と思ったら急に胸熱になってしまった。
本来外に見えちゃいけないし、もしかしたら外の人も「この中にいる」って認識しちゃいけないのかもしれない。
でも、ご婦人は、その境界線を越えて、なかのひとである「自分」に間違いなくコンタクトしてくださったのだ。
なんともふしぎな、現実と夢のはざまを味わった気がした。
時給と昼の弁当以上の経験ができた気がした。
とはいえ、それ以降、着ぐるみバイトには縁がない。
翌年も話だけは来たけど、あまりにも暑くて過酷なのでお断りしてしまった。
また機会があればやりたいけど、もう少し過酷じゃない環境がいいなあ。
着ぐるみって人間が命を与えてるから動き出すものの最たる例(お面とかもそうか)で、命を与える人間次第で動きはもちろん変わるし、表情すら変わる気がするから本当に不思議だな、と思っている。
みんな球団マスコットとかマジですごいからよく見てほしい……<この話のオチがそこなのか自分
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