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【公共講義録】経済編#6 企業の経営と社会的責任

みなさん、こんにちは!
前回は、現代経済の主役である株式会社のウラ側を解剖しました。「会社は株主のもの」「経営陣も交代させられる」という力関係に、少し驚いた人もいたかもしれませんね。
前回のテーマが「会社は誰のもの?」だったのに対して、今日のテーマは「会社は誰のためにあるのか?」という一歩進んだ問いです。
単元は「現代の企業経営と、企業の社会的責任」。
授業を始める前に、みなさんにちょっと想像してみてほしいことがあります。

みなさんがよく行くコンビニやスーパー。 もし、あるお菓子メーカーが「めちゃくちゃ美味しくて安いポテトチップス」を発売したとします。でも、その会社が裏で「工場排水を近くの川に流しっぱなしにしている」「従業員に労働基準法に違反するような不当に長い時間の労働を強いている」とSNSで大炎上したら、みなさんはそのポテトチップスを買い続けますか?
「いくら安くて美味しくても、そんな会社のものは買いたくないな…」と感じる人が多いのではないでしょうか。
今日の授業を受けると、「なぜ大企業はアートの展覧会を主催したり、植樹活動をしたりするのか」「なぜ今の企業は『儲けること』と同じくらい『徹底して法律を守ること』に必死なのか」という、ニュースでよく見る大企業の行動のギモンがすっきりと解けます。
前回の「会社は誰のもの?」という縦軸を、現代の社会問題へと大きく広げていく、非常に見応えのあるパートです。
「うわ、今回はやたらとカタカナが多いな…」と身構えてしまうかもしれませんが、安心してください!
実は今日出てくるカタカナ用語はすべて、「企業はただ利益を出すだけでなく、社会との関係を大切にしなければならない」という1つの大きな考え方を、色々な角度から表しているだけなんです。

1. 会社は「株主」のもの?それとも「みんな」のもの?
前回の授業で、株式会社の本当の持ち主は株主(株を所有する投資家)だと学びましたね。教科書や共通テストでは、彼らのことを英語でシェアホルダーと呼ぶことが多いです。
確かに法律上、企業はオーナーであるシェアホルダーの利益を最優先し、配当などで報いるのが基本です。しかし、現代の経済では「それだけでいいんだっけ?」という強い反省が生まれました。
なぜなら、企業が活動するためには、株主だけではなく、そこで働く従業員、商品を買ってくれる消費者、材料を納める取引先、環境への影響を気にする地域住民など、数え切れないほど多くの人たちが関わっているからです。
このように、企業活動を取り巻くすべての利害関係者のことをステークホルダーと呼びます。

  • 現代のトレンド(現在地): これからの企業は、株主(シェアホルダー)だけを向いてちゃダメ。関わるすべての人(ステークホルダー)の幸せを考えないと長生きできないぞ、というのが今の世界の共通認識です。

だからこそ、経営陣が自分勝手な暴走をしないように会社を監視・コントロールする仕組み=コーポレートガバナンス(企業統治)が重視されます。 具体的には、会社の経営状態や財務データをウソ偽りなく世間に公開するディスクロージャー(企業情報開示)を行うことで、企業の経営状況を社会に正しく伝え、周りから厳しくチェックできるようにしています。

2. 生き残りをかけた「現代の企業経営」のカタチ
現代のグローバル社会では、企業同士の生き残り競争もめちゃくちゃ激しくなっています。ここで、共通テストでもよく狙われる「経営のサバイバル手法」のカタチを整理しましょう。
まずは、自分の会社ですべてを抱え込まず、苦手な部門を専門の外部業者に任せるアウトソーシング(外部委託)です。これにより、自分たちの得意分野に集中してコストを削ります。
さらに、他社をまるごと買収したり、合併したりするM&A(企業の合併・買収)も日常茶飯事です。
こうした巨大なグループを効率よく管理するために、自分自身はモノを作らず、グループ会社の株を保有してコントロールすることだけを専門にする「親会社」を作ることがあります。これを持株会社(ホールディングス)と呼びます。みなさんが知っている大企業の名前の後ろに「〜ホールディングス」とついているのは、まさにこの仕組みです。

3. 利益の先へ:企業の社会的責任(CSR)
さあ、今日一番大切なテーマです。これだけ巨大な力を持った現代の企業は、社会に対してどんな責任を果たすべきなのでしょうか。これを企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)と言います。
大企業が、一見ビジネスとは関係のない「ボランティア活動」や「芸術のサポート」に巨額のお金を使うのはなぜでしょうか?
「ただのイメージアップ、好感度稼ぎでしょ?」と思うかもしれません。
半分は当たっていますが、それだけではありません。社会が環境破壊や貧困で崩壊してしまったら、そもそもビジネス自体が成り立たなくなるからです。
企業が果たすべき社会的責任の具体例を、テストに出る3つのバリエーションで押さえましょう。

① 環境への配慮
ゴミを減らすリサイクル活動はもちろん、工場から出る廃棄物を完全にゼロにすることを目指すゼロエミッション運動などがこれに当たります。最近ニュースでよく耳にするSDGs(持続可能な開発目標)の目標達成に貢献することも、現代の企業活動においては強く求められるようになっています。

② 文化・社会への貢献

  • メセナ: 企業が資金を出して、芸術や文化活動を支援すること(例:コンサートの主催や、美術館の運営など)。

  • フィランソロピー: 企業による福祉や環境保護などの慈善活動・ボランティア全般のこと。

  • 覚え方のコツ: 「メセナ」はフランス語からきているので、ちょっとオシャレな「芸術・文化」と覚えましょう。「フィランソロピー」はギリシャ語の「人類愛」が語源なので、もっと広い「慈善活動」とセットで頭に入れると、共通テストの入れ替え問題に引っかからなくなります!

③ 法令遵守(コンプライアンス)
法律を守るだけでなく、社会のモラルや倫理に反した行動をしないという約束をコンプライアンス(法令遵守)と言います。食品の産地偽装やデータの改ざんなどが発覚すると、一瞬で企業が倒産に追い込まれる時代だからこそ、今、驚くほど真面目に、厳しく叫ばれている責任です。
こうした活動を進める中で、社会の課題(貧困や介護など)をビジネスの力で解決することそのものを目的とした社会的企業(ソーシャル・ビジネス)という新しい企業のカタチも生まれています。

今日の「現在地」とまとめ(アルファベットの整理)
「CSR」「ESG」「SRI」……最後に、みんなが一番混乱しやすいこの3つのアルファベットの違いをスッキリ整理して授業を締めくくりましょう。 ポイントは、「誰の目線の言葉か」を分けることです!

  • 企業側の目線: 「私たちは社会のために責任を果たします!」と行動するのが、企業の社会的責任CSR)。

  • 投資家(株主)側の目線: 「CSRをサボっている企業にはお金を出さないぞ。環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を重視している企業を選んで投資しよう!」というのがESG投資であり、そうした社会的な責任を重視する投資姿勢全体のことを社会的責任投資SRI)と呼びます。

つまり、企業がCSRを頑張るから、投資家がESGSRIの視点でその企業を応援する、という両輪の関係になっているわけですね。

共通テスト対策としての重要ポイント!

  1. 株主のシェアホルダーだけでなく、従業員や消費者を含むすべての利害関係者をステークホルダーという。

  2. 企業の暴走を防ぐ仕組みがコーポレートガバナンスであり、情報の公開をディスクロージャーという。

  3. 企業の社会貢献活動のうち、芸術・文化の支援をメセナ、一般的な慈善活動をフィランソロピーと呼ぶ。

現代の企業は、ただ儲ければいいという時代から、社会の一員としてどう生きるかを問われる時代にいます。みなさんも将来、就職活動などで企業を選ぶときは、ぜひその会社がどんな社会的責任を果たしているか注目してみてくださいね。
それでは、今日の授業はここまで。お疲れ様でした!


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