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言葉に眠る裏と表を掻き分けて。今日も安息に恋をする。

すーほよほよ。すーほよほよ。
穏やかな白波が、誰かを呼んでいる。

さー、ふー、さー、ふー。
まだ冷たい、緑の春一番に誘われて。

しゅーるる。しゅーるる。しゅーるる。
一本の黒い木に、誰かの思いが取り憑くように。

1枚の絵画に眠る思いを探るように、繊細に見つめる……。
見つからない。
今度は深呼吸をして、繊細に見つめる……。
まだ、見つからない。
我慢の限界を超えても、その場所を動くことはできない。
怨念にも似た灰色の炎が、一面に広がっていく。
海や風を飲み込んでいく……人の業を表すかのように。
1つ、また1つと広がっていく。

現実と幻の境目も、ゆっくり飲み込んで。

業に取り込まれた魂が、顔を覗かせる……。


足立美術館の庭園と借景

島根県の「足立美術館」は、日本最高峰の庭園である。
庭園ランキングでは22年連続で1位に輝いており、世界的にも評価が高い。

壁面の随所に大きな四角い穴が開いている。
さらに、その四角い穴の外側は木で囲まれている。
その枠を通して眺める景色は1枚の絵画となる。

見る角度によって絵は変化する。
人の心のように、一瞬一瞬で姿を変える。

そして、1番の見どころは「借景(しゃっけい)」という技法だ。
画面の半分より下が「庭園(人工の庭)」、半分より上が「自然の景色(山や緑)」となるよう計算されている。
2つの世界が調和する、不思議な空間。いや、絵画である。

傷心旅行で訪れたときの記憶が蘇る。
美しいはずの庭園は、地獄の絵と化した。

言い訳をたくさんして。
本音をすべて吐き出して。
臭いものの蓋を開けて。

閻魔様に土下座して。

しっかり魂は焼かれ、心も体も清められた、そんな思い出の地。
節目を迎える年、人生に疲れたときに立ち寄る安息の地。


この1枚の絵と、言葉はよく似ている……。
人の心を映す鏡のように。

この記事を書いている今は、美しい絶景に見える。
天空の城を思わせるような佇まいに感無量だ。


こんな素晴らしい体験ができるアニメがある。
島根に行けない時は『化物語』を視聴している。

言葉遊びをしながら、言葉の裏と表に翻弄されながら…。
怨霊(怪異)に取り憑かれた人々が、生き方を見つめ直す物語。

己の業と向き合い、安息の地を探す旅に出かける。

本当と嘘、現実と幻、男と女……2つの境目で事件が起こる。
まるで、絵画のように美しい物語。


そして、どこから声が聞こえる。
アロハシャツのイケオジが、そっと耳元で囁く。

「人は一人で勝手に助かるだけ。誰かが誰かを助けることなど出来ない。」

夏がよく似合う、イケオジが爽やかな笑顔で手を振っている。
心を真っ二つにする言葉。
この言葉にも裏と、表が込められている。
鳥肌が立つのを感じる……。


そして、ゆっくり目を閉じて。深呼吸をする……。


借景の先に、言葉の真髄を見たり。

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