イスラムに囲まれて暮らす仏教徒少数民族チャクマ族
バングラデシュはイスラム教徒が多数の国だ
大体イスラム教徒9割、ヒンドゥー教徒が1割で仏教などの他宗教の割合は1%以下だそうで少数派
そんなバングラデシュでモンゴロイド系の仏教徒と出会った
モンゴロイド系住民
バングラデシュのクミッラの市場をぶらぶらしていた
お腹がすいたけどもイスラムの断食月(ラマダーン)中であり食事をするところを探すのも大変
しかも今日は金曜日でみんなモスクに行っておりほぼ店がやっていない
市場を歩いているとモンゴロイド系の顔立ちの人を見かけた
お、外国人観光客かな?と思った
バングラデシュでは首都ダッカですら観光客を見かけることはほとんどなくてインド・アーリア系の顔立ちの中に自分のようなモンゴロイドの人間がいるとめちゃくちゃ目立つ
外国人が珍しいのかただ歩いてるだけでも10人くらいに囲まれて質問攻めにされるみたいなこともよくあった
まるで有名人になったかのような気分
悪い面では「HEYチンチョンチャン!!」みたいに差別的な発言を受けることも多かったけど・・・
なのでモンゴロイド系の人を見かけた時は珍しいなと思った
しかし歩いていると同じような顔つきの人がたくさんいることがわかった
どうもこの辺りにはモンゴロイド系住民が多く住んでるらしい
バングラデシュの南東部、ミャンマーとの国境沿いにそういった仏教徒少数民族が住んでいるという話は知っていたがここクミッラはミャンマー近くでもないのでこんなところにも住んでるのかとちょっと意外な感じだった
仏教寺院
仏教徒が住んでるなら仏教寺院もあるだろうと思ってGoogleマップで検索すると近くに1軒あった
ところが近くまで行ったけども中々見つからない
潰れてしまったのかな?
通りすがりの仏教徒っぽい人に訊いてみるととても驚かれて「どこから来たのか」「仏教徒なのか」など色々質問された
そのあと彼が寺院まで連れて行ってくれることになった
案内されたのはアパートの一室だった
どおりで見つからないわけだった
普通のアパートの部屋に仏壇を作って仏像や高僧の写真が置いてあった
ブッダに礼拝をした後アパートの屋上に行った
屋上に行くとたくさんの人がいてガヤガヤしていた

チャクマ族
外国人が来たのは初めてだといってとても厚く歓迎していただいた
特に仏教徒であることを喜んでくれた
話を聞くと彼らはチャクマ族という民族で上座部仏教、この周辺に数百人が暮らしているそう
クミッラが地元というわけではなくてミャンマーの国境近くのチッタゴン丘陵地帯、ラガマティというチャクマ族の町およびその周辺から出稼ぎに来てるそうだ
後で行くことになるがクミッラには日本や中国などの縫製工場がたくさんあって出稼ぎで働いている人が多いそう
「同じ顔だね!」としきりに言われた
確かにその通りで、インドとバングラデシュをずっと旅行してきてずっとインド・アーリア系の顔立ちの人に囲まれていたのでチャクマ族の人たちといるとなんだかホッとするような感覚を覚えた
週に一回近所の住民で集まって一緒に食事をしたりゲームをしたりしているそう
また、時間をとって住職が子供たちに仏教について教える教室を開いているそう
寺院自体は本当に簡素なものだったけどもこうやって皆で協力して仏教徒コミュニティを存続させていく姿勢に感激した

この集会は毎週金曜日にやってるのだが、たまたま自分が訪れた日がその集会があった時でとてもタイミングが良かった
バングラデシュでは金曜日が休日なのだがそれに合わせてるそうだ
仏教徒にとっては金曜日であることやラマダーン中であることは宗教的に関係ないので普通に食事をしており、ありがたいことに自分も招いていただいた

クミッラの郊外にあるシャルバン・ビハラの仏教寺院の近くにも仏教徒はいたのだがそれとは何か関係があるのかと尋ねたら、たまに仏教のイベント?などを共同でやることはあるが普段は特に関わりはないそうだ
確かに同じ上座部仏教かつ同じクミッラ市内なのにシャルバン・ビハラの寺院ではベンガル人しかおらずモンゴロイド系の人はいなかったので住み分けされてるようだった
一緒にトランプをしたりおやつを食べたりしながら楽しい時間を過ごした

チャクマ族のお宅へ
夜あるお宅に夕食に呼ばれた
チャクマ料理をいただけるという
「豚肉は食べられるか?」と訊かれた
なんと、豚肉が食べられるのか!
イスラム教徒多数のバングラデシュでまさか豚肉が食べられるとは思いもしなかった
一体どうやって入手してるのか気になる。ムスリムとの軋轢はないのかな?
どうやら同じチャクマ族の人が豚肉を取り扱ってるらしい
こちらのお宅はご主人と奥さん、弟さん、3人の子供たちの6人家族
大変温かく歓迎してくださり、豪華なチャクマ料理で心から満喫できた
チャクマ料理はスパイス、魚、米などベンガル料理に共通する部分がありつつも豚肉や発酵調味料、青唐辛子など異なる部分も多かった
多分地理的に近いミャンマーに似た要素があるんじゃないかと思う
魚の唐揚げや豚肉のスパイス炒め、オクラの和物などなど
どれもとても美味しかった

ご主人の妹さんが日本人と結婚して神奈川県に住んでいるそう
食事中は妹さんとビデオ通話を繋げて彼女も日本から参加するという不思議な食事会だった
妹さんは結構長く日本で暮らしてるそうで日本語も流暢で、ありがたいことに帰国したら神奈川に来なさいと誘って頂いた
チャクマ族の故郷
また、チャクマ族の地元であるラガマティを強くおすすめされた
ラガマティは水が豊かで湖や滝などとても美しいところで仏教寺院がありチャクマ族がたくさん住んでいるそう
クミッラに住む多くの人は本当はラガマティで暮らしたいが収入のことや子供の教育を考えてクミッラで生活することを選んでるそうだ
ぜひ自分も彼らの故郷ラガマティに行ってみたいと思った
きっと素晴らしい場所に違いない
ただ残念ながらラガマティを含むチッタゴン丘陵地帯に外国人が行くにはバングラデシュ政府の許可が必要で自分のバングラデシュVISA滞在日数が残りわずかだったので今回は行くことを諦めた
ムスリムとの衝突
ネガティブな話も聞いた
ムスリムと仏教徒の仲は悪いそうだ
伝統的にチッタゴン丘陵地帯にはチャクマ族や他の仏教徒系少数民族が暮らしていたがムスリムの入植が進み軋轢、摩擦が激化
軍との衝突も起きたりして虐殺やレイプ、村や寺院の焼き討ちなども発生
現在は落ち着いているものの過去にこうしたことがあれば仲良くすることは難しいだろう(これは双方向で仏教徒からムスリムの攻撃もあった)
話しているとヒートアップしてきてイスラム教徒への悪口がどんどん飛び出してきた
内容はここでは書けないが食事中の会話でそこまで言うのかとびっくりするほどだった
また、差別を受けることも多いようでなかなか生活する上で苦労が多そうだ
差別
差別に関しては自分でも実感した
最初の方で書いた「チンチョンチャン!」と言われる差別体験
これは主に首都ダッカにいるときに言われた言葉だ
これは旅行者の間でよく聞く話で世界のいろいろな国であるらしい
これとは別の差別を第二の都市チッタゴンにいるときに受けた
チッタゴン丘陵というのはミャンマーとの国境近くにある山岳地帯で、チャクマ族の町ラガマティもここにあるのだが平地のチッタゴンにもチャクマ族がそこそこ暮らしている
ここで道を歩いていると通りすがりに「HEYチャクマ!!◯▲□☆*(聞き取れなかったが馬鹿にするような感じ)」と大声で言われた
20代前半くらいの男4〜5人だった
自分をチャクマ族だと思って言ってきたのだろうが同じバングラデシュ国民に対してかける言葉で「HEYチャクマ!」はあまりにも失礼すぎる
不甲斐ないことに自分はビビって何も言い返すことができず足早に立ち去った
チャクマ族の人々と出会って数日後の出来事だったのでとても悲しかった
自分がチッタゴンに滞在したのは数日だけだったが、この短い滞在でもこのような差別を受けたのでこの国に住んでいるチャクマ族の人が日常的にそういった差別に遭遇してることは簡単に想像できる
イスラム教徒が多数のバングラデシュで暮らすのはかなり大変そうだ
最後にネガティブな内容を書いてしまったが、チャクマ族の人たちとの触れ合いはバングラデシュ旅行のとても良い思い出になった
次回またバングラデシュを訪れるときは是非ラガマティに行ってみたい

