仁と義 26章 仁侠小説抗争編 21(シリアスコメディ)
弱きを助け強きを挫く。
昔ながらの仁義を重んじる関東頭鬼組。
その分家であり頭鬼組のシノギでもある、悪党にはボッタクリ料金、堅気の一般客には明朗会計パブスナックレインボー、ホステス5人組。顔も容姿も見た目はキュートな二十歳のホステス。
見た目は可愛いホステスだが、根っこは任侠貫くヤクザなニューハーフ、ダークヒーローレインボー組、抗争編 入ります。
前回のあらすじ
頭鬼組 カズ、ヒロ、ケン、ユキの4人とレインボー組5人は、膝織一家の縄張りに深く入り込んだ。
カズ達はボッタクリキャバレーへ。
レインボー組5人はボッタクリホストクラブへ行き、ボッタクリ料金にグズるだけグズり、どちらかに経営者である膝織の息子、膝織義之を呼び出して拉致する計画だった。
1時間後、カズ達は会計を黒服に告げた。
『二十五万八千円か‥ビール一本八千円✕4で三万二千円?1セット20分で五千円、料金六万だってよ?チャーム料金三千円?はぁ?女のコのジュース一杯一万円‥‥‥、ピーナッツ小皿✕4で二万だと?なんかまだ色々書いてあるけどボッタクリも甚だしいな‥‥だいたい飲み放題二千円は何処いっちゃったんだよ』
『お客さん、人聞き悪い事言わないでもらえますかね?これがウチの正規料金なので。飲み放題はお客さんが席に着いて時間切れになったんです。キャッチに言われませんでしたか?今だけ飲み放題って』
『汚ぇ商売してんだね〜、ここは。ちょっとオーナー呼んでくれるかな?話がしたいんだけど‥‥』
『オーナーは、全部ここの責任者に任せてあるからオーナーは来ませんよ』
『なら払えないね、こんなボッタクリで詐欺営業の金額なんて』
カズ達がボッタクリキャバレーで、グズりにグズって、オーナーの膝折の息子を呼び出そうとしていた頃‥‥‥‥。
ホストの夜に花が咲く
ボッタクリホストクラブ 「moon dream」では、既にレインボー5人が暴れていた。
その30分前‥‥‥‥。
膝織のシマにある繁華街。
ネオンが爛々と瞬く裏通りに、そのホストクラブはあった。名は「moon dream」
店頭の違法呼び込みに、わざと近付くレインボー5人組。
今の時間なら30分で5人おまとめチャージ料金五千円、5人おまとめ飲み放題五千円。
そして「いまキャンペーン中だからサービスもりもり☆」とキメ顔で言い放つ、地獄の接客術。
完璧なドレスアップのドレスを纏うレインボー5人組は、キャッチに誘われるままで入店した。
『いらっしゃいませ〜!姫様5名のご来店!ありがとうございます〜!』
威勢のいい声が店内に響いた。
その後に店内全ホストから『いらっしゃいませ』コールが響いた。
キラキラのジャケット、ガッツリ輪郭のシャドウ、金歯チラリのホストが両手広げてお出迎え。
『……フッ、随分と清々しいねぇ』
ランがボソリとつぶやき、メッチはメリケンサックをすぐに取り出せるよう、ハンドバッグに仕込んでいた。
席につくと、ランがすかさず注文。
『えーっと、とりあえず飲み放題だからビール……ウチらこの店初めてなんだけど初回料金てあるの?乾杯ソング込みで‥‥』
『姫様、初回料金はありますが、ワタクシ共の店はシャンパンご注文の姫様にのみ、シャンパンコール、乾杯コールが付きます。シャンパンと、シャンパンタワー等如何でしょう?』
『そうなんだ。だったらこの店のオーナーはいる?このテーブルに来てくれたらシャンパンタワー、ドンペリ注文します。安いものではないと思うので、是非ともオーナーに挨拶したいです。それまではビールとお通し、あとお酒のつまみをお願いします』
ランは、目の前で片膝付いたホストにオーダーした。
「あと、オリジナルカクテル「地獄のバベル」も二つお願い」
ティップがそう言うと、思わずダーツの矢がズレたスカートの内側からチラリ。
さり気なく隠すティップ。
そして5分後、オリジナルカクテル「地獄のバベル」が運ばれてきた。
一気飲みコール
その場のノリでホスト達の一気飲みコールが始まった。
席に着いたホスト全員が、声を揃えてリズムをとる。
『姫様達の、ちょっといいとこ見てみたい!(それっ!)
大きく3つ(パンパンパン)、
小さく3つ(パンパンパン)、
おまけに3つ(パンパンパン)、
はい、イッキ、イッキ、イッキ、イッキ!
はーい、はーい、はーい、はーい!
酔えば月夜の夢の中、(はいっ!)
酔えばこの手で夢の中、(はいっ!)
月のウサギに声かけりゃ、(はいっ!)
今夜は楽しい夜になる!(はいっ!)
イッキ、イッキ、イッキ、イッキ!おぉーー!』
何ともリズミカルに酒を煽らすホスト達。
ティップはまんまとリズムに乗せられ、オリジナルカクテル「地獄のバベル」を飲み干してしまった。
とはいえ、毎日パブスナックレインボーで酒を扱っているレインボー5人組には、水のようなものだった。しかし、後にティップ曰く、一気飲みコールはマジヤバイ、ハイテンションになる、と漏らしていた。
それから10分後。
ホストクラブ「moon dream」のオーナー膝織義之が店に現れた。
すかさずミオが車で待機している頭に膝織の息子が現れたことをメールで伝えた。
『オーナー。こちらの姫様方です』
『これはこれはお嬢様方。数あるホストクラブの中、当店を選んでいただき、誠にありがとうございます』
膝織義之はそう言ってレインボー5人組に名刺を渡した。
『膝織義之様、素敵なお名前ですね。私達、この店が気に入りました。最高級シャンパンと、シャンパンタワー、お約束通りお願いします。オーナー、こちらでシャンパンの乾杯お願いします。お金は心配しないで。ちゃんと持ってるから』
『シャンパンタワー、ドンペリオーダーいただきましたー!』
横で聞いていたホストが元気に叫んだ。
ランが隣に居たホストを退かしてオーナーを誘った。
『お嬢様方、ありがとうございます。今日からVIP待遇で接客いたします』
『はい、これからも楽しませて下さい』
『もちろんです』
ランの言葉に膝織義之は恐縮した。
そこへ、ドン・ペリニヨンが運ばれてきて、シャンパンタワーもあっという間に出来上がった。
『じゃあオーナー、静かに乾杯しましょう乾杯コールも一気飲みコールもいらないです』
ランの言葉に、レインボー組4人はドンペリが注がれたグラスを持ち、静かに乾杯をした。
導火線
レインボー組5人は、一口飲んで首を傾げた。
5人は顔を見合わせた。
そして、もう一口飲んでグラスを持ったままレインボー組5人は、大きくため息をついてグラスをテーブルに置いた。
『‥‥』
膝織義之も、ホスト達も不思議な顔をしていた。
『あの‥‥』
『はい、どうされました?』
ランの落胆したような仕草にホスト達もただならぬ雰囲気を感じ取った。
『私達が若いからといって、あまり馬鹿にしないでください‥‥』
ミオが口を開いた。
『ど、どういうことですか?』
うろたえる膝織オーナー。
『どうもこうもないです。このドンペリ何年ものですか?』
そう言われてオーナーはボトルのラベルを見た。二万そこそこの安いドンペリだった。
答えないオーナーに追い打ちをかけるミオ。
『このドンペリいくらですか?』
『五十四万になります‥‥』
ミオの問いにホストが答えた。
『二万そこそこのドンペリが?私らが分からないとでも思ってたんですか?この店は二万のドンペリを五十万で売るんですか?他のお客さん達も騙してるんじゃないですか?もういいです。皆帰ろう。がっかりしたわ。会計して!』
わざと大きな声を出すミオ。
店内がざわつき始めた。
『お客さん、これは立派な営業妨害行為になりますからね。それなりに代償は償ってもらいます。まぁ、仕方ないですね。お酒の味も価値も分からないのではお話しになりません。お会計を進めて。迷惑料込みで』
膝織オーナーはホストに命じた。
『はい、お会計こちらになります』
既に用意していたかのように、支払い明細がテーブルに置かれた。
ランは明細を手に取り確認して鼻で笑った。
『ふん。ねぇ、あんたら本気で言ってる?この会計、八百九十万円って』
ランが明細レシートをペシッとテーブルに叩きつけた。
『いや〜、うちは明朗会計なんで〜。 お客様愛には値段がない、ってヤツなんで。しかも迷惑料上乗せですから』
オーナーの態度が一変した。隣にいるドヤ顔のホストに、ナッチがナイフをくるりと指先で回して見せた。
『じゃあ、その愛ってやつをさ、質屋にでも出してみなよ!とうせ二万そこそこの値段だろうけどさ!』
そう言って、ミオはスカートを少し捲り、太ももからアイスピックをスッと抜き、オーナーの金ぴかネックレスにカチリと当てた
『お客様ァ〜! 暴力はちょっと〜!』
『……暴力じゃなくてさ、自分等のやってる事棚に上げてんじゃないよってこと!これは言われなき罪に対する交渉術よ。私たち、清く正しいヤクザだからさ』
そう言ってミオはニッコリ笑って見せた。
頭鬼組の報復
『ヤクザだと?お前らがか?へっ、笑わせんじゃねぇよ!変なハッタリかましてんなよ。裸にひん剥いて、嫌でも股開かせてやっからな』
『首にアイスピック突きつけられて、よくそんな事言ってられんな!後悔するよ?アタシらは頭鬼組分家のレインボーだよ!店めちゃくちゃにしやがって』
『頭鬼組だと?』
『そうだよ!アンタはこれから一緒に来てもらうからさ。大人しく寝ててね』
ランはそう言って膝織義之にスタンガンを当てた。
『何しやがる!』
ホスト数人がレインボー5人ににじり寄った。
ホストの男達の足元にアイスピック、ダーツの矢、投げナイフが「カッカッカッカッ」と刺さった。
『アンタ達は動くんじゃないよ!次動いたら足怪我するよ‥‥』
ナッチが男達に忠告をした。
そしてランは、ホストクラブ膝織オーナーの服を脱がせ素っ裸にして、もう一度スタンガンを当てた。
気を失っていた膝織オーナーの身体がピクッと動いた。それから結束バンドで手足を縛った。
その時、店の奥からぞろぞろ出てきたのは、どこか育ちの悪そうな男10人ほど。
いわゆる店の用心棒的怖いお兄さんと呼ばれるような男達だった。
ティップが一歩前に出た。
『ゾロゾロ厳ついおっさん達が出できたねぇ。ちょっと、スキンヘッドが眩しいんだけど。マジックで黒く塗ってあげよかね』
『何だとこの野郎、女だからって容赦しねぇからな!お前らも裸にひん剥かれても泣くんじゃねえぞ!』
『どっちが泣くか見ものだね』
そう言ってスタンガンをチリッと鳴らすラン。
投げナイフを指先でクルリと回すナッチ。
矢を口にくわえて舌をペロッと出すティップ。
スカートを少し捲りアイスピックを太ももから抜き取るミオ。
そしてメリケンサックでポンポンと手のひらを叩くメッチ。
メッチがニッコリ笑って、椅子を放り投げた。
そこへ頭鬼組 若頭の阿久津龍一と頭鬼組組員10人が店に飛び込んできた。
『頭、コイツが膝織の息子です』
『お、流石だなお前ら!よくやった!よし、店ん中ぶっ壊して帰るぞ!』
頭鬼組 若頭、阿久津龍一が叫んだ。
『ふざけた事言ってんじゃねぇぞ!』
メッチに向かってきたスキンヘッドの男を、メッチはくるりと交わし、テーブルの上の氷が入ったピッチャーを持ち、スキンヘッドのシャツの背中を引っ張り、氷を背中に流し込んだ。
『ひぃ~』と情けない声を出すスキンヘッドの男。
背中が濡れたスキンヘッドの男に、ランがスタンガンをあてた。
スキンヘッドの男は、糸が切れた操り人形のように床に崩れ落ちた。
ランのスタンガンは5人の厳つい男達を眠らせた。
頭鬼組組員の二人は店のカウンター周りと、酒棚を破壊。
残りの組員とレインボー5人は、店内で乱闘。数分暴れた後、膝織義之を連れ出し店の前に止めたワゴン車に乗り込んで、その場を後にした。
続く。。。
ホストクラブのシャンパンコールで流れる曲だそうです(#^^#)
【登場人物】
関東頭鬼組
組長 頭鬼洋次郎(48)
若頭 阿久津龍一(38)
若頭補佐 石垣正樹 (36)
舎弟頭 新島浩二 (37)
相談役 相田真二 (38)
構成員
荒巻和幸 通称カズ(23)
三澤謙二 通称ケン(25)
須藤弘道 通称ヒロ(23)
小林幸弘 通称ユキ(23)
他 30名
パブスナック レインボー組メンバー💕
メッチ 木ノ内健(20)(きのうちたけし)
(めんちきることが多い。メリケンサックを持つが何でも武器にする)
ナッチ 中沢義男(20)(なかざわよしお)
(よくナイフをちらつかせる)
ティップ 榊枝真二(20)(さかきえだしんじ)
(ダーツの矢を数本いつも太股に隠している)
ミオ 安桜芙美乃(20)(あさくらふみお) (アイスピックを両足太股に6本常時備えている)
ラン 一之江将一(20)(いちのえまさかず)(通販で買った伸縮警棒とスタンガンを持つ)
タクシードライバー坂下一雄(さかしたかずお)
石頭一家
代表 石頭博 (49)(いしずひろし)
舎弟頭 水谷雄一(38) (みずたにゆういち)若頭 三浦翔吾 (37)(みうらしょうご)若頭補佐 小澤誠 (36)(おざわまこと)
相談役 立石尚樹 (35)(たていしなおき) (ミオの恋人)
組員40名
膝織一家
代表 膝織忠義(ひざおりただよし)
舎弟頭 八木亮一(やぎりょういち)
若頭 安曇孝信(あずみたかのぶ)
比較的真当なスナック、ボッタクリホストクラブ、ボッタクリキャバクラ三店舗を運営する、膝織忠義の息子
膝織義之(ひざおりよしゆき)
