毒親育ちの人ほど、本当は愛される人だった。
毒親育ちが抜け出すと、とても魅力的な人になる。
数年ぶりに、いとこに会った。
小さい頃に両親を亡くして、厳しい祖母に育てられた人だった。私の母の母、つまり同じ血筋の、同じくらい厳しい人に。
自分を押し殺して生きてきたから、素面の時は大人しいのに、酒が入ると人が変わった。声を荒げる。暴言を吐く。手が出そうになることもあった。
親戚の集まりで、その人が来ると分かった瞬間、みんなの肩に力が入るのが分かった。何を言われるか分からない。何が引き金になるか分からない。だから、誰も本音では近づかなかった。
そういう人だった。長い間、そういう人だと思ってきた。
久しぶりに、偶然会った。
最初、誰だか分からなかった。顔つきが違って見えた。
目つきが柔らかかった。声のトーンが落ち着いていた。
何より、笑い方が違った。以前は、笑っていても、どこか警戒が抜けていない笑い方だった。その時の笑顔には、それがなかった。
棘が、全部抜けていた。
太陽みたいな笑顔だった。
同じ人だとは、しばらく思えなかった。でも、話しているうちに分かった。
人が変わったんじゃない。元々そこにあったものが、やっと出てきただけだった。
「性格が良くなった」は、正確じゃない
抜け出した人を見ると、こう言いたくなる。「変わったね」「性格が良くなったね」。
でも、それは少し違う。
毒親育ちの人は、生まれつき棘があるわけじゃない。むしろ逆だ。優しさや温かさが元々あるのに、それを出すと傷つけられてきたから、出さないように、押さえつけて生きてきた。
酒が入ると暴れていたのは、押さえつけていたものが、コントロールを失った時にだけ噴き出していたからだ。
普段は押し殺している分、出てくる時は歪んだ形になる。
悲しみは怒りになって出る。 寂しさは攻撃になって出る。 本人も、何が出てくるか自分で分からないまま、噴き出したものに振り回される。
抜け出すというのは、新しい性格を身につけることじゃない。
押さえつけていた蓋を、外すことだ。蓋を外した時、下から出てくるのは、元々あった優しさそのものだ。
蓋がある間は、優しさも、歪んだ形でしか出てこない。蓋が外れると、初めてそのままの形で出てくる。 歪んでいたものが真っ直ぐになるんじゃない。
真っ直ぐなものが、初めて真っ直ぐのまま出られるようになる。
私も、同じ側にいた人間だ
母の鬱と、長年の緊張の中で育った。
人と接する不安がずっとあって、自分の意見を通そうとすると壊されるという前提で生きてきた。誰かと一緒にいる時、常にどこかで身構えていた。
洗脳されるように団体にのめり込んで、すべてを失った時期もあった。信頼していた人たちから人格を否定されて、しばらく人と会うのが怖くなった。
友人の支えで、少しずつ立て直した。自分の発信だけで生活できるようになった今、朝が憂鬱な日はない。母に人生の主導権を渡すことも、もうない。
抜け出す前と後で、話す内容が変わったわけじゃない。変わったのは、話している時に、体からどれだけ力が抜けているかだった。
なぜ、抜け出した人はこんなに惹きつけるのか
抜け出す前は、常に何かに備えている。
相手の機嫌、次に来る攻撃、失敗した時の罰。意識のほとんどが、危険を避けることに使われている。
人と話していても、本当に聞いているのは相手の言葉じゃない。相手の温度だ。今、機嫌がいいか。今、自分は責められていないか。
その状態の人と一緒にいると、こちらも身構えてしまう。緊張は伝染する。相手が気を張っていると、こちらまで気を張らずにいられなくなる。楽しい会話のはずなのに、なぜか疲れて帰る。
それは、相手の警戒を、無意識に引き受けているからだ。
抜け出した人は、その警戒を手放している。
相手の機嫌を先読みしなくていい。自分を守るために、話す内容を選ばなくていい。その分だけ、目の前の相手そのものに意識を使える。
だから、抜け出した人と話すと、ちゃんと見てもらえている感覚がある。聞いてもらえている感覚がある。
これが、魅力の正体だ。特別な話術でも、外見でもない。安心して、そのままでいられる空気。それを持っている人に、人は自然と引き寄せられる。誰もが、本当は、そういう場所を探しているからだ。
抜け出した先にある、それぞれの魅力
【生存戦略アーキタイプ】ごとに、抜け出した後に出てくる魅力の形が違う。
戦わなくても価値があると知った戦士タイプは、圧倒的な安心感を放つ人になる。誰かを守るために使っていたエネルギーが、そのままそばにいる人を包み込む力に変わる。
誰かの役に立たなくても大丈夫だと知った守護者タイプは、見返りを求めない温かさを持つ人になる。そばにいるだけで、安心して弱さを見せられる相手になる。
完全に分かってなくても動いていいと知った探求者タイプは、深い洞察力と身軽さを両方持つ人になる。知識をひけらかさず、必要な時にだけそっと差し出せる人になる。
逃げなくてもいいと知った旅人タイプは、その場にいながら誰よりも自由な人になる。どこにいても自分でいられるから、一緒にいる人まで軽くしてくれる。
すべてと戦わなくていいと知った革命家タイプは、静かな芯を持つ人になる。声を荒げなくても、その存在だけで理不尽を許さない空気を作る。
評価されなくても価値があると知った創造者タイプは、誰の目も気にせず表現できる人になる。その自由さが、見る人の心を動かす。
誰かを救わなくても自分に意味があると知った救済者タイプは、対等な優しさを持つ人になる。上から助けるのではなく、隣に座れる人になる。
達成しなくても価値があると知った挑戦者タイプは、今この瞬間を味わえる人になる。次を急がないから、一緒にいる時間そのものが豊かになる。
壊さなくても大丈夫だと知った再起者タイプは、揺るがない安定感を持つ人になる。何度も立ち直った経験が、誰かを支える底力に変わる。
コントロールしなくても安全だと知った統率者タイプは、人に任せられる余裕を持つ人になる。信頼して手放せる強さが、周りを心地よくする。
関わっても傷つかないと知った観察者タイプは、深く見て、深く関われる人になる。距離を取らなくても平気だから、誰よりも近くにいてくれる人になる。
縛られても消えないと知った自由人タイプは、自由でありながら、誰かのそばに居続けられる人になる。
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@yayo_1coaching
いとこの太陽みたいな笑顔は、新しく手に入れたものじゃなかった。ずっと、蓋の下にあったものだった。
何十年もかけて、その人はそれを閉じ込め続けた。そして、何十年もかけて、それをやっと外に出した。
まだ棘がある人へ。それは、あなたの本質じゃない。
押さえつけているものが、形を変えて出てきているだけだ。あなたを遠ざけているその棘は、あなたを守ろうとして、今も戦い続けているだけだ。
蓋を外した先に、誰かが引き寄せられるくらいの魅力が、もう用意されている。それは作るものじゃない。とっくにそこにあって、出てくる日を待っているだけ。
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