相手に自分と同じ愛情表現を求めて苦しくなる
既読がついた。返ってきたのは、スタンプ一つだった。
こっちは、相手の一日を想像しながら、なるべく気持ちが伝わるように、時間をかけて長文を書いた。
相手が疲れていないか、今日は何かあったか、そこまで考えて言葉を選んだ。それなのに、返ってきたのはスタンプ一つ。
頭の中で、勝手に計算が始まる。自分が使った時間と、相手が使った時間。自分が込めた気持ちと、相手が込めた気持ち。
差が大きいほど、愛されていない証拠のように感じてしまう。
愛されていないのかもしれない、と思った。
これが、自分の事だと思ったら、続きを読んでほしい。
でも、本当にそうだろうか。
相手に、自分と同じ愛情表現を求めるのをやめた方がいい。
こう言うと「温度が低い相手を我慢しろってこと?」という声が来る。
そうじゃない。表現の違いと、本当に温度が低いことは、別の話。
私も、同じことをしていた
家庭を支えるために、働き続けた時期がある。気づけば、相手の収入をとっくに超えていた。それでも足りない気がして、もっと働いた。
私にとって、それが愛情表現だった。動き続けること、支え続けること。
でも、相手からは、同じだけの何かは返ってこなかった。私が働くほど、相手はますます仕事に身が入らなくなっていった。
ある夜、通帳の数字を見た。今月も、こっちだけが増えていた。
その時、愛されていないと思った。これだけ動いているのに、と。
でも、本当は分かっていた。私は、愛してほしくて動いていたんじゃない。動いていないと、愛される資格がない気がしていた。
相手に「同じだけ動いてほしい」と思っていたのは、愛の話じゃなかった。同じだけ苦しんでくれたら、この頑張りが報われる気がしていただけだった。
なぜ、同じ表現を求めてしまうのか
自分がどれだけ愛情を注いだかは、自分にしか分からない。
込めた時間も、選んだ言葉も、全部自分の中だけで完結している。相手の内側は見えない。だから、自分の基準を、そのまま世界の標準だと思い込んでしまう。
言葉で伝えるのが苦手な人もいる。行動でしか示せない人もいる。連絡の頻度に、安心の基準を置いていない人もいる。
自分の物差しだけで測ると、相手が出しているサインを、全部見逃す。
「同じ表現を返してくれないなら、愛されていない」という結論は、早すぎることが多い。
「合わせられないなら、離れた方がいい」には、一つだけ見落としがある
温度差があるなら、無理せず離れた方がいいと言われることがある。
でも、これは「表現の違い」と「温度の低さ」を、同じものとして扱ってしまっている。
表現の違いなら、相手はちゃんとそこにいる。
ただ、見えにくい形で存在しているだけ。
それを「温度が低い」と決めつけて離れると、本当は大事にされていた関係を、自分から手放すことになる。
見分けないまま結論を急ぐと、間違った方の答えを選んでしまう。
あなたはどのタイプか【アーキタイプ別】愛情の示し方と、求め方
生存戦略アーキタイプによって、愛情をどう示し、何を「愛されている証拠」として求めるかが違う。
戦士タイプは、愛情を「守ること」「頑張ること」で示す。相手が同じように戦ってくれないと、頼りにされていない、大事にされていないと感じる。
守護者タイプは、愛情を「役に立つこと」で示す。相手が世話を焼かせてくれないと、必要とされていない気がして、愛情そのものを疑い始める。
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このまま気づかないとどうなるか
自分と同じ表現を相手に求め続けると、その基準を満たせる相手にしか、安心できなくなる。
表現の形が違うだけの、本当は大事にしてくれている相手を、何人も見逃すことになる。
私は、動くことでしか愛情を測れなかった時期、相手が動かないというだけで、関係そのものを疑い続けた。
今なら分かる。
あの頃見逃していたものが、確かにあった。
自分と同じ表現を求める前に
今日、誰かの反応にがっかりした瞬間、一度だけ聞いてみてほしい。
求めているのは、相手の愛か。それとも、自分がやってきたことの正当性か。
後者なら、相手が誰であっても、同じことが起きる。表現を変えても、相手を変えても、満たされない。
長文を書いたのも、働き続けて通帳を睨んでいたのも、同じ動きだった。
注いだ分だけ、自分に価値があると思いたかった。
スタンプ一つに傷ついたのは、返信が短かったからじゃない。注いだ分の見返りがないと、自分の存在が揺らぐようにできていたからだ。
見返りで自分の価値を測るのをやめない限り、相手を変えても、表現を変えても、同じ場所に戻ってくる。
注いだ分を、誰かに数えてもらわなくても、ここにいていい。それが分かった日から、既読の後に何が返ってきても、揺れなくなる。
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