「子どもを守れる親と守れない親のちがい」コーチェラ2026で感じたこと
子どもを守れる親、守れない親
今日は「子どもを守れる親」と「守れない親」について書きたいと思います。
今月、恒例の「コーチェラ・フェスティバル2026」が開催されました。
ヘッドライナーを務めたジャスティン・ビーバーが、YouTubeで自身のMVを再生しながら歌うという異例の演出が賛否を呼びました。
長らくメンタル問題を抱えていると言われるジャスティンが、久しぶりに舞台に上がり、デビュー当時のYouTubeの自分を優しい眼差しで見つめながら歌う姿に「長年のトラウマが吹っ切れたのか?あれは過去の自分を癒すセラピーだったのか?」と憶測する声もSNS上に上がりました。
それを見た私は「子どもを守れる親と守れない親」について以下のスレッドを投稿しました。
ジャスティン・ビーバーが純粋に音楽を愛する天才少年だったのに、音楽業界の大人達に搾取された経験は彼自身がインタビューでも涙ながらに語っている。 昔、英国にザ・ジャムというバンドがあって、リーダーのポール・ウェラーは17歳でデビューしたけど、闇深い音楽業界からずっと守られて活動した。何故ならお父さん(レンガ職人の労働者)がマネージャーになり、あらゆる活動の場に一緒にいたから。お父さんは、金と権力に物言わせる業界に不信感をもち、レコード会社のCEOからランチに誘われたのすら断ったそう(いつも労働者を見下しているのに売れる商品となると急に態度を変えることにムカついたのも理由かも)。お父さんは私世代のイギリス人にとって権力に媚びずに子どもを最優先する理想の父親としてヒーロー的存在。 キッド・ラロイも音楽業界で仕事をしていたお母さんは闇を知り尽くしていたので、親子揃ってアメリカに拠点を移して息子を危険から遠ざけてきた。ラロイ自身もインタビューで業界の中でメンタルが安定して活動できるのは家族と生活しているからだと言っていた。 金や権力に惑わされることなく、子どもを最優先にする素敵なお母さんだと思う
ジャスティン・ビーバーの母親は17歳で妊娠、シングルマザーとして息子を育てました。生活は苦しく、母親は複数の仕事をかけもちしていたようです。
ジャスティンが12歳の時、母親が投稿したYouTubeでジャスティンの才能が世界に知れ渡り、敏腕プロデューサーにアプローチされて音楽業界入りを果たしました。
しかし、ジャスティンは母親をはじめ周りの大人達が、まだ子どもといえるジャスティンを音楽業界の闇から守ることはありませんでした。ジャスティンはオオカミの群れに放り込まれた状態でした。
現在、服役中のディディとの48時間お泊りパーティーに、10代半ばのジャスティンが参加することを周りの大人が誰も止めなかったことは常識的に考えられないことです。
当時のディディは、アメリカの音楽業界で圧倒的な影響力をもつ存在でした。彼に逆らえば業界から追放されるという恐怖心が、周囲の大人たち(マネージャーやレーベル関係者)の中にあったのでしょう。
周りの大人たちは莫大な利益を生むビジネスを守るために、リスクや不穏な兆候から目を逸らしていたと思われます。
息子を守り抜いたポール・ウェラーの父親
その昔(1980年前後)、イギリスにザ・ジャムというロックバンドがいました。バンドリーダーのポール・ウェラーは、デビュー当時、17歳。
労働者階級出身で、父親はレンガ積み職人でした。生活は苦しく、夜は副業でタクシーの運転手、母親は掃除のパートをしていたようです。
音楽を心から愛する息子の音楽の才能を見抜き、地元のパブに頼み込んで演奏させてもらう等のサポートをしていました。このあたりまではジャスティン・ビーバーの母親と同じですが、決定的にちがうことは、ザ・ジャムの人気が爆発し、大手レコード会社と契約を結ぶようになった頃の父親の姿勢です。
大手レコード会社との契約は、貧しい生活を余儀なくされていたウェラー家にとって安定収入を得ることであり、非常に嬉しいことだったにちがいありません。
しかし、ポール・ウェラーの父親は、音楽業界の金と権力に惑わされることなく、ずっと息子を最優先して音楽業界の闇から守り抜いていったのです。
父親は、デビュー前から引き続き、ザ・ジャムのマネージャーとして常に息子たちと行動を共にし、楽屋に入ってくる人間は一人ひとりチェック、危険が及ばないようにしていたと言われます。
有名なエピソードは、レコード会社のCEOからのランチの誘いを断ったことです。労働者階級出身の父親は、日頃はCEOレベルの階級から見下されているのに売れる商品となったら急に態度を変えることに不信感を感じたのでしょう。
父親は音楽ビジネスの知識は乏しくても「誰が息子を利用しようとしているか」を見抜く直感に長けていたと言われています。そして、常に収益よりも息子が安全な環境で自由に音楽活動に専念できることを最優先にしていたと言われています。
ポール・ウェラーは父親が亡くなった直後のインタビューでは、「もし父が僕のマネージャーになっていなければ、僕はとっくに業界に食いつぶされて消えていただろう」という趣旨の発言を残しています。
気骨ある労働者階級の男、ポール・ウェラーの父親であるジョン・ウェラーは、イギリスの労働者階級の誇りであり、権力に媚びずに子どもを最優先する「理想の父親」としてヒーロー的存在です。
キッド・ラロイの母親
ジャスティンと「ステイ」でコラボしたキッド・ラロイの母親も息子を闇深い音楽業界からしっかり守っている母親です。
家庭環境は経済的に苦しい時期もあったようです。しかし、音楽業界で仕事をした経験がある母親は、その闇を知り尽くしていました。
親子揃ってオーストラリアからアメリカに拠点を移し、子どもを危険から遠ざけ、キッド・ラロイの契約や人間関係を厳格にコントロールしてきたと言われています。
ラロイ自身もインタビューで「メンタルが安定しているのは家族と一緒に生活しているからだ」と答えていました。
親の役割とは?
ここ数年、ずっと隠されてきた子どもに対する犯罪が世界的に明るみになり、世界に衝撃を与えています。日本ではジャニーズ問題、海外ではジャスティン・ビーバーのメンターでもあったディディ、そしてエプスタイン事件など。
これらの事件に共通しているのは、加害者の歪んだ欲望だけでなく、それを許してしまった「構造的な沈黙」です。そして、守られるべき子どもたちが一人取り残されてしまったという事実です。
親が子どもを「守る」とは、一体どういうことなのでしょうか。
それは単に、安全な場所に身を置かせるだけではないと思います。
ポール・ウェラーの父親のように、巨大な富や名声を手に入れるチャンスが目の前にあっても「何かがおかしい」という直感を信じて毅然と「ノー」を突きつけることができること、わが子の「聖域」を守り抜くことなのだと思います。
子どもが「安心して自分らしく過ごすことができること」。それが親が子どもに贈れる最大のギフトではないでしょうか。
