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有吉佐和子『非色』

「高橋源一郎の飛ぶ教室」の推薦図書。

今の日本でこれだけの作品を書ける日本人がいるだろうか?(いるのだろうけど、知らないだけなのかも。知っていたら教えて下さい。)戦後黒人兵と結婚し、黒人の子供を産んで、様々な差別を受け、日本を離れて、アメリカに渡り人種差別を体験して、ニグロに成るという笑子の物語。アメリカの人種差別が色だけではなく、それこそ人種なんだと(ニグロの下にプエルトリコ人がいる差別の構造)知るのは衝撃だ。

さらにアフリカのニグロ(ニグロは差別用語だから今ではNGワードだがここでは本に出てくるのであえて使わせてもらいます。)をアメリカのニグロが見下すけどアメリカにやってくるアフリカ人はアメリカのニグロを見下す。その差別の構造が見事に小説化されていて、それもエンタメとしてさくさく読める。プエルトリ人と結婚した麗子の悲劇(彼女は自殺してしまう)とかヒロインの笑子のバランス感覚の良さとか、大阪のおばちゃん風キャラで笑子と同じように黒人と結婚した竹子とか登場人物の個性も面白く映画かドラマ化で見たくなる作品(登場人物を想像したくなる)。日本映画では無理ならば韓国映画に売り込まないか(アカデミー賞間違いなし)?笑子の娘のメアリイの手紙はキング牧師の言葉を連想させる。彼女のその後を考えると大阪ナオミだ。

中でも国連関係の仕事し、ユダヤ人の夫を持つレイドン夫人(日本人だけどエリート意識を持つ笑子とは対照的人物で日本名はあまり出てこない)の衝撃的な発言「アメリカの人種差別は階級差別でなくならい」とニグロを劣等人種とみなす(1960年頃の公民権運動の最中である)。そこでハウスキーパーとして雇われたが、彼女は人種差別の根深い構造を知って(ブルデュー『ディスタンクシオン』を身を持って知る)、そして彼女はニグロに成ると決意をするのだ。そのエリート階級のパーティシーンの見事さ(アメリカのニグロとアフリカのエリート黒人の議論)、オバマ大統領に読ませたい本だった。

関連本、「ブルデュー『ディスタンクシオン』 2020年12月 (NHK100分de名著)」岸政彦

有吉佐和子は実際に1959年にアメリカ留学しているのだが、お嬢さん階級(戦争花嫁が渡米するときに船の中で出会う留学生を揶揄する)ではなく戦争花嫁でアメリカに生きる女性を描けたのはなんだろう?

関連本、『紀ノ川』有吉佐和子



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