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満ちる日

 何をやってもダメな日と言うのがあるけれど、逆に、ごく稀にではあるものの、潮が満ちてくるように色々なことが整ってくる日というのもある。先日、久しぶりの剪定でヘロヘロになって、そろそろ実家を出ようかと思っていたところに森林組合の方がやってきた。業者の方と杉林を見てくれて、何とか持ち出し無しで杉を伐ってもらえそうとの話。先に見積りを貰った業者さんは数十万の費用が必要とのことだったので、文字通り月とスッポンくらい違う。早速お願いすることにすると、役場に伐採届というのを出してほしいという。その書類がないと伐った木を売れないのだとか。作業の一月前に出す必要があるらしい。何をするにも書類があって、その度に役場に行くので段々顔なじみになってきた感もあるけれど、今回はいい話なので直ぐに様式を貰いにいく。待てば海路の日和あり、隣家に杉が倒れないよう、秋の台風シーズン前に杉が伐れるといい。
 次の日、予約していた引越し屋さんに、実家からベッドを運んでもらう。必要な時いつでも義母がうちに来れるようにするためだ。自分で運ぶとなると大ごとだが、プロはあっという間にベッドを解体してトラックに積み込むと、到着してものの10分程でまた組み立てると、楽勝な感じで次の現場に向かっていった。尊敬と感謝の眼差しで見送る。
 その夜、パタパタと懸案が片付いたせいか、ずっといつにしようか迷っていた旅の計画を考える気になった。昨年退職したときから会いに行きたいと思っている友人が何人かいて、「今年こそは」の今年も既に半分過ぎた。そう言えば飛行機は4カ月前から予約が出来たのでは?とサイトを見てみると、もう残席が少なかったり高額だったりしている。慌てて一番遠くの友人にメッセージを送ると、いつでもOKだけど週末が有り難いかなとの返事。それを踏まえて、その近くに住む別の友人に数十年ぶりにメッセージを送ると、程なく直接電話が来た。その声を聞いた途端に時間が40年遡って、トントン拍子に日程が具体的に。最後に、帰り道の途中に住む友人に連絡をして、とりあえず時間だけ押さえてもらう。飛行機と宿を予約して4カ月先の旅の手筈が整った。観光でもグルメでもない、誰かを想うことで始まる旅がある。そのきっかけは、多分ふっと連絡をしてみようと思えるタイミングが大事なんだろう。時が満ちて、始めが上手く滑り出せば、その後はきっと大丈夫。そう言えば、裏の小さな畑に植えたトマトの苗にも実が付いて、少しずつ赤みを増してきた。たまには、こんなご褒美みたいな日があっていい。
 
 

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