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小満と月山

 5月の真夏日も最早驚くに足らずとやせ我慢をしながら、家中のストーブを扇風機に入れ替えた途端、今朝は一転の雨模様で、気温は前日の半分にも届かないという。昨日は、毎年春と秋に庭の花を植え替えるお隣りからお裾分けで頂いた苗をプランターに移していたら、今年初めてカッコーの鳴き声を聞いた。そう言えば、少し前からホトトギスの声は聞いていたが、まだ初鰹にはお目にかかっていない。数日前、リビングの網戸に小さな虫が何匹もいて、カゲロウか何かかと思ってよく見たら羽化したばかりのカマキリたちで、一体この内のどれ程が成虫になれるものかと、ともかくその成長の無事を祈った。春の外壁工事で寝室の窓枠をちょっといじった関係で、網戸が上手く入らなくなったのをそのままに、少し位ならと開けて寝たら、真夜中に眠りを破るのはあの独特な高音の羽音。蚊の二酸化炭素感知能力侮るべからず…。
 週明け、毎年恒例の探検隊で山形の最上地方を巡ってきた。始めた当初は中年探検隊だったのが、いつの間にか初老探検隊になってしまった。昨秋の予定がメンバーの都合で今春になったので、考えてみたら1年半ぶりで昨年は遠征が無かったのだった。旅の始めは友人の畑、この春退職した友人は終の棲家に念願の薪ストーブを据え、この畑で薪を切っては積んで乾かしている。隣の畑では近年の暑さで収穫の減ったサクランボの木が伐られ、代わりに桃が植えられていた。そこから北に向かって進んでいくと、両側に広がる風景は緑を深め、道脇にはタニウツギのピンクの花が帯となって流れる中、その上に朴の木の大きな花が時々白いアクセントを添える。始め左前方に見えていた残雪の月山が段々後方へと退くとともに、やがて正面にこれも残雪の鳥海山が姿を現す(この白い二峰を同時に眺められるとは何という贅沢!)。以前はきちんと行程表を作って事前に共有したものが、いつの間にかすべて地元の友人任せで、それを誰も気にしないのも面白い。昔の養蚕試験場や芭蕉が舟に乗り込んだ最上川の岸辺、夏にコンサートが開かれるという天空の棚田などを眺めて、辿り着いた肘折温泉では春の山菜三昧。柔らかなお湯に浸かって朝市をぶらつけば、結局手にしたのが行者ニンニクと切り干し大根という渋さも寄る年波のなせる業か。トトロのような大杉を眺め、大盛りの天ぷらそばを食して車に乗り込めば、北側から眺める月山はその稜線をややシャープに見せて、筆で掃いたような残雪も涼やかに、いつまでも初夏の空に浮かんでいるのだった。


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