『もう終わったはずなのに』元アスリートが抱える引退後の現実。
今日は、少し私の過去の話をさせてください。
私は3歳から15年間、新体操を続けていました。
引退したら、すべてが終わると思っていました。
でも実際は違いました。
競技を辞めてからが、本番だった。
ようやく、自分自身と向き合う時間が始まったんです。
競技中は、毎日の練習や試合、結果を追い続けることに必死で、自分の心に目を向ける余裕なんてありませんでした。
だからこそ、走り続けることをやめた瞬間、それまで見ないようにしていた感情が一気に押し寄せてきました。
今日は、そんな引退後の5年間について書こうと思います。
「引退したら楽になる。」
現役の頃、私はそんなふうに思っていました。
毎日の練習、試合のプレッシャー、結果への責任。
15年間続けてきた新体操には、楽しかった思い出だけではなく、苦しさもたくさんありました。
だから引退すれば、その緊張感から解放されると思っていたんです。
でも実際は違いました。
競技は終わったのに、心はずっと新体操の中に取り残されたままでした。
過去の動画を見ることができなかった
引退してからしばらく、私は自分の演技の動画を見ることができませんでした。
見ようとすると胸が苦しくなる。
音楽を聞くだけで身体がこわばる。
夢に出てきて寝れない。
あの独特な試合前の空気や、「失敗できない」という緊張感が、一気によみがえってくるんです。
「もう終わったことなのに。」
頭ではそう分かっていても、身体が覚えていました。
何年経っても、新体操は私の中から消えてくれませんでした。
辞めたかった。でも、辞めるのも怖かった。
現役の頃、何度も思いました。
「もっと早く辞めておけばよかった。」
苦しい練習。
思うようにいかない結果。
周りと比べてしまう毎日。
逃げ出したくなることもありました。
でも、その一方でこんな気持ちもあったんです。
「新体操を取った私には、何が残るんだろう。」
私は3歳から15年間、新体操中心の人生を送ってきました。
学校よりも、遊びよりも、何より優先してきた存在。
だから苦しくても、新体操が自分そのものになっていました。
辞めたい。
でも辞めたら空っぽになる。
この矛盾を抱えながら、競技を続けていました。
後悔だけでは終わらない15年間
だからといって、「早く辞めればよかった」の一言では終われません。
15年間続けたからこそ見られた景色がありました。
全国大会の舞台。
キャプテンとして仲間を引っ張った経験。
目標に向かって努力し続けた日々。
苦しかった記憶もあるけれど、それ以上に今の私をつくっている時間でもあります。
だから過去を振り返るたびに、
「辞めたかった。」
という気持ちと、
「続けてよかった。」
という気持ちが同時に出てきて、どちらにも答えを出せずにいました。
5年経って、やっと過去の自分と向き合えた
引退して約5年。
最近、久しぶりに自分の演技動画を見ました。
以前のような苦しさはありませんでした。
もちろん、少し緊張する感覚はありました。
でも、それ以上に最初に浮かんだ言葉は、
「私、すごかったんだな。」
でした。
技術のことでも、結果のことでもありません。
あの練習量をこなし、プレッシャーの中で演技をしていた自分に対して、純粋にそう思えたんです。
そして自然と、
「本当によく頑張ったね。」
そんな言葉をかけたくなりました。
現役の頃は、自分を認める余裕なんてありませんでした。
もっと上手くならなきゃ。
もっと結果を出さなきゃ。
そんなことばかり考えていました。
でも今なら、結果ではなく、その過程ごと認めてあげられる気がします。
過去との向き合い方には、その人のタイミングがある
以前の私は、「早く過去を受け入れなきゃ」と焦っていました。
でも今思うのは、無理に向き合う必要はなかったということです。
心が追いついていないときは、距離を置くことも大切だった。
5年という時間があったからこそ、私はようやく過去の自分を責めるのではなく、労わることができました。
でも、正直に言うと、完全に乗り越えられたわけではありません。
今でもふとした瞬間に、当時の緊張感や苦しさを思い出すことがあります。
これから先も、完全に消えることはないのかもしれません。
それでも、昔のように過去に飲み込まれるのではなく、「そんな時間もあったね」と少し距離を置いて見つめられるようになりました。
私にとって大切だったのは、過去を忘れることではなく、過去と共に生きられるようになったことなのかもしれません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
もし今、過去のトラウマや苦しい経験に囚われている人がいたら、無理に乗り越えようとしなくて大丈夫だと思いますし、乗り越えようとして乗り越えられるものでもありません。
私自身、引退してから約5年もの間、過去の自分と向き合うことができませんでした。
「もう終わったこと」と頭では分かっていても、心や身体はそう簡単には切り替えられなかったからです。
でも、少しずつ時間が流れ、自分のペースで歩み続けた先で、少しずつですが、ようやく過去の自分に「よく頑張ったね」と言える日が来ました。
だから、今すぐ前を向けなくても大丈夫。
焦らなくても大丈夫です。
あなたの心が「もう向き合ってもいいかな」と思える日が来たとき、そのタイミングで少しずつ向き合えばいい。
過去は消えなくても、その過去の見え方は変わることがあります。
この記事が、そんな未来を少しだけ信じてみようと思えるきっかけになれたら、とても嬉しいです🌿
