情けなさの面白さ/M-1グランプリ2025 ドンデコルテのネタを観て
M-1グランプリ2025、ドンデコルテのネタが大好きでした。
特に1stラウンドを勝ち上がった1ネタ目。
冒頭、デジタルデトックスの効能を説き始めたボケの渡辺さん。スマホ断ちによって自分自身と向き合う時間が増え、さまざまなメリットが云々……
いわゆる意識高い系の人と思いきや、自分はやらないと言い切る。
どうしてなのかと相方の小橋さんに理由を問われた彼が、力強く放った台詞で一気に持っていかれる。
「渡辺銀次、40歳独身」
「厚生労働省の定めた基準によると貧困層に属します」
舞台上を左右にゆったり練り歩きながら、
「国も認める低所得。私はこんな自分と向き合うのが怖いんです」
あまりにも堂々と、あまりにも情けない。
けれどもどこかしら身につまされるものがあり、だからこそ最高に可笑しい。
「はい! スワイプ、スワイプ! 現実をスワイプ!」
なんてポップな悲壮感だろう。面白すぎる。
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勝ち上がって最終決戦トップバッターの2ネタ目。
街中でたまに見かける、セーラー服を着ていたり、たわしを散歩していたりする類の「名物おじさん」、自分は今それになりかけていると言い出す渡辺さん。
「もうね、私全身にLEDを巻いて光る自転車で走ろうと思うんです」
どうしてそんなことをするのかと問われて語った理由がまさかの「意味から逸脱」。
意味ばかりの人生から逃れるためなのだという。
「私が光ると、私は見えなくなるんです」
「イルミネーションを見る時に木を見ますか? 見ませんよね。そう、私が光ると、私という意味からも逸脱できるんですね!」
決勝進出者の中で最年長というプロフィールも相まって、このネタに辿り着くまでの彼らの葛藤がよぎったりもし、どこまでも馬鹿馬鹿しいのになんというかもう何周も回って深すぎる。
声を出して笑ってしまった。
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生きていくことは情けなさ、どうしようもなさの連続で、渦中にある時にはとても笑えたものじゃないのに、一歩引きで眺めると最高に笑えることってある。
どんな毎日の中にも、面白さを見つけていこうと思った。
