時には言葉はいらない─愛犬とともに─
一枚の絵を見て、私はエッセイを書くことがあります。
いつもなら、さらりと自然に言葉が浮かびあがってくるのですが——
今回はどうしても書けませんでした。
なにを書いてもしっくりこない。
なにを語っても、足りないような気がして——
描かれていたのは、一人の男性と老犬のフレンチブルドッグが散歩する姿。
愛犬は、歩くのもやっとという感じなのに、表情からは愛嬌があふれ出ていました。
きっと、たくさん愛されてきたのでしょう。つい、こちらの頬もゆるみます。
そして、その愛犬を、目を細めてやさしく見守る飼い主さん。
言葉を交わしているわけではないのに、二人の間には、確かに通い合うものがありました。
しぐさ、眼差し、そこに流れる気配で、お互いの気持ちを感じとる——
それは、長い年月をともに過ごしてきたからこそ生まれた、深い絆と信頼関係。
きっと、あなたにも、そんなお相手がいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな世界を前に、私は言葉を見失ってしまったのかもしれません。
きっとその絵は、言葉で語るものではなく、「感じる」ものだったのだと思います。
時には言葉で表現せずに
ただ、見て感じる
そこから生まれる、人それぞれの物語。
『時には言葉はいらない』
一枚の絵は、私にそう教えてくれた気がしました。
あなたの『言葉はいらない』と思う時はどんな時ですか?
