市議のインフルエンサー化は悪いことではない ― だが優先順位を忘れてはいけない
近年、政治家がSNSを通じて社会問題を取り上げることは珍しくなくなった。むしろ市民の目に届きやすい形で問題提起を行うことは、インフルエンサー的な役割として一定の価値を持つだろう。
だが、そこには見落としてはいけない「優先順位」が存在する。
最近、とあるインフルエンサーが市議に当選し、市政とは離れた、国勢に踏み込むSNS発信を頻繁に行っているが、市議会議員の第一の役割は、あくまで 市政に関する仕事である。
議案を読み、予算を審議し、市の施策をチェックし、市民生活に直結する課題に取り組む。それが最も優先されるべき本務だ。
しかし現実には、全国的な話題に関して熱心にポストを重ね、写真を撮り、内容を整え、拡散を試みる市議も少なくない。こうした活動は一見「社会全体を考えている」ように映るが、実際には本務とのバランスを崩しかねない。
なぜなら、問題を探し、撮影し、文章を練るには時間と労力が必要だからだ。もしその手間を費やせるのであれば、同じ労力を 市政課題の調査や市民との対話に注ぐ方が、はるかに本来の役割に適っている。
もちろん、社会全体の課題に声をあげること自体を否定するつもりはない。しかしそれは「市議としての務めを果たした上で」行うべきものであろう。市議の席を持ちながら市政を軽視し、全国的な発信ばかりを優先すれば、結局は市民の信頼を失うことになる。
市議がインフルエンサーとして活動すること自体は新しい試みだ。しかし、その前提には必ず「市議としての責任」がある。この優先順位を見失ったとき、政治家はただの発信者へと堕してしまう。
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