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エプロンを卒業する日

母の日が近づくと
私は毎年、母にエプロンを贈ります。

ブランドのエプロンに
華やかな花が大胆に描かれているもの。

明るい色がよく似合う母だから
自然とそんなものを選ぶようになりました。


母は昔から、エプロンが好きでした。


だから母の日には
毎年のようにエプロンを贈ってきました。

今年も、いつものように
エプロンを用意してあります。

けれど今年、母は少し戸惑いながら
私に言いました。


「今年は、エプロンを卒業しようと思ってるの」


母がぽつりと言ったその言葉に
私は返事ができませんでした。

大きな病気をしているわけでは、ありません。

けれど八十を過ぎた母は
いつの間にか、何をするにも
時間がかかるようになりました。


ゆっくり椅子に腰を下ろす姿や
小さく息をつく横顔に
私は時々、言葉を失います。


「エプロンを卒業する」


その言葉には
どんな思いが込められていたのでしょう。


もう以前のようには動けないことを
母自身が一番感じているのかもしれません。


少しずつ変わっていく毎日を
静かに受け入れようとして
いるのかもしれません。


聞こうと思ったのに
私は母の顔を見ることができませんでした。


今年選んだのは
いつもより少し華やかなエプロンでした。

大きな花が明るく描かれた
母らしいエプロンです。

だから私は
できるだけ明るく言いました。


「じゃあ、今年のエプロンで卒業にしよう」


母は少し笑って、
「そうね」と静かにうなずいていました。


母の日は、あと三日後です。


今年のエプロンは
まだ私の部屋のテーブルに
置いたままになっています。









また書きますね♡
#ファッションのこだわり

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