上場廃止予備軍グロース企業に求められる株価上昇倍率
AK0032 (本稿はタイトルを7月15日に変更。内容は7月10日のまま)
上場廃止予備軍(改善期間入り銘柄)のグロース企業では時価総額規模が足りていない企業が少なくありません。具体的には流通株式時価総額(FMV)が5億円未満あるいは上場10年経過後で時価総額(MV)が40億円未満の企業です。上場廃止予備軍グロース企業24社のうち15社がこれに該当します。なお、FMVあるいはMVの計算に使う株価は、当該企業の直近決算期末においてその前の3か月の日次終値平均から計算した値が使われます。
例えば、次のグロース企業では、6月25日の適時開示で3月末時点でMVが10.01億円(40億円に未達)、FMVが3.81億円(5億円に未達)だったので改善期間入りしているとしています。
https://image-inf.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2025/06/timelydisclosure_20250625_3.pdf
この開示資料から流通株式比率(FS)が38.0%であることも分かります。
この企業の7月9日時点の時価総額は、一般のウエッブ投資情報サービスから10.52億円です。従って、直近のFMVは10.52×38.0%=4.00億円となり、基準の5億円になるためには、株価が1.25倍になる必要があります(FSに変化がないと仮定)。また、時価総額が40億円になるためには、株価が40÷10.52=3.80倍になる必要があります。両方の基準を満たすためには株価は3.80倍にならなければなりません。
グロース企業15社について、時価総額規模の基準に適合するために必要な株価上昇倍率の分布を調べたところ、次のグラフのようになりました。

必要株価上昇倍率が1倍未満の企業が3社あります。これらの企業は7月9日時点の瞬間風速ではFMV基準を達成しているものと考えられます(FSが直近の適時開示と同じだと仮定)。
時価総額規模の基準に適合するためには(FSが不変と仮定すると)株価を1~3倍にすることが求められるようです。3倍以上が必要な企業は1社だけでした。
なお、これらの企業は、次の決算期末時点で、その前の3か月の日次終値平均から計算したFMVが5億円以上でMVが40億円以上になっていなければならない点にご注意ください。(了)
本稿の内容をよりよく理解するための基礎知識については、次の拙稿をご覧ください。
「今週の上場廃止予備軍」レポートの見方|青葉の木漏れ日
【注意】本稿は上場企業に関する分析の視点を提供するもので、いかなる意味においても株式銘柄の売買推奨や投資助言をするものではありません。
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