【第2回】起業家プロジェクト#02|「LAKANG(ラカン)」に決まった夜
起業家プロジェクト#02|「LAKANG(ラカン)」に決まった夜
> 「もう名前の話は終わりにします。これで行きます」
> そう宣言した瞬間、部屋の空気が少し変わった。
> 長かった。本当に長かった。
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前回のあらすじ
前回(第1回)、このプロジェクトが正式に動き始めた。
フィリピン・セブ島にある語学学校「クロスロード」を舞台に、Y.くん(中1)・I.くん(高1)・M.くん(中1)の3人が、本物の会社を立ち上げてオリジナルグッズを売る、という実践型ビジネス教育プロジェクトだ。
第1回では、商品候補を洗い出し、価格設定の基本的な考え方を3人に伝えた。そして最後に宿題を出した。
会社の名前を考えてきてください。なぜその名前にしたいか、理由もセットで。」
I.くんが「今日決めましょうよ!」と言ったのを押し切って、持ち帰りにした。答えを渡してしまえば簡単だ。でも、それじゃ彼らの会社にならない。
あれから2日後、第2回打ち合わせが始まった。
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会社名が決まるまで、けっこう長かった
正直に言う。会社名の議論は、かなり難航した。
いくつか候補が挙がっては消えた。
「クロスロード」との言葉のつながりを大切にしたかった。「Crossroad(交差点)」という意味から、フィリピンの言葉で何かつながるものを探した。
最初に候補に上がったのが「カント(Kanto)」。フィリピンのビサヤ語で「交差点」を意味する言葉として紹介されたのだが、調べてみると実際にはそういう意味ではなかった。惜しかった。
次に「クルサル(Krusada)」も出てきた。クロスロードとの語感のつながりを狙ったものだったが、「ちょっと言いにくい」「ブランドとして広がらない」という理由で却下になった。
ああでもない、こうでもないを繰り返しながら、最終的にたどり着いた言葉が——
「LAKANG(ラカン)」
ビサヤ語で「大きな一歩・最初のステップを踏み出す」という意味を持つ言葉だ。
「これだ」と思った。子どもたちにとって、このプロジェクト自体が「初めての一歩」だ。クロスロードに来ている生徒さんにとっても、フィリピン・セブ島という場所自体が「人生の大きな一歩」かもしれない。LAKANGという言葉は、売る側にも買う側にも、どちらの物語にも重なってくる。
全員で合意した。そして私はこう言った。
「もう名前の話は終わりにします。これで行きます」
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アンケートを15分で作った
会社名が決まると、次のミッションに一気に進んだ。
「誰に・何を・いくらで売るか」を決めるためのアンケートを作ること。
商品候補は合計12品目。ビーチサンダル、Tシャツ、エコバッグ、マグカップ、キャップ、缶バッジ、クリアファイル、がま口財布、キーホルダー、折りたたみ傘、手ぬぐい、扇子。
「12個、全部作ってみよう」ではなく、「何が売れるかをまずお客さんに聞く」というプロセスを踏む。これが普通のビジネスだ。
アンケートはGoogleフォームで作成した。設問はQ1〜Q6。
- Q1:欲しい商品をTop3で選ぶ
- Q2:その中で最優先1つを選ぶ
- Q3:いくらまで出せるかの価格許容度
- Q4:買う目的(自分用・お土産など)
- Q5:デザインで重視する点
- Q6:自由記述
途中、「子どもたちの活動を応援したい」という選択肢を入れようという案も出たが、それは外した。**「応援したいから買う」のではなく、「本当に欲しいから買う」という状況を作ることがこのプロジェクトの本質**だからだ。
商品の画像も入れて、フォームを完成させた。LINEグループへの共有と、スプレッドシートへの自動集計の仕組みまで確認して、この日の作業はおおむね完了した。
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「始まった感」があった
打ち合わせを終えた後、少しだけ一人で座っていた。
会社名が決まり、アンケートが完成し、外に向けて動き始めるフェーズに入った。ここまで来ると、「始まった感」がある。
第1回のときはまだ「準備している感」が強かった。概念の話が多かった。でも第2回は違った。名前があって、フォームがあって、「これで生徒さんに聞こう」という具体的な1枚が手元にある。
Y.くん・I.くん・M.くん、この3人はどんなアンケート結果を見ることになるのか。親御さんたちは何を選ぶのか。そしてその結果を受けて、彼らはどう判断するのか。
楽しみで、少し緊張する。
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これから起きること
- アンケートをLINEグループへ配布(クロスロードの生徒さん・親御さんへ)
- アンケート結果を集計し、12品目から5商品へ絞り込む
- 事業計画書を作成し、クロスロードへ借用書を提出
- 6月12日を発注デッドラインに、夏の繁忙期に間に合わせる
次回は、事業計画書の話を書く予定だ。中高生がお金を借りるために書く「事業計画書」を、一緒に作ったときのことを。
LAKANG(ラカン)——大きな一歩は、もう踏み出されている。
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*次回:事業計画書を3人で手分けして作った話*
*📍 クロスロード語学学校(フィリピン・セブ島)にて*
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