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読書まとめ『14歳からの読解力教室』→読解力とアウトプットは理解の両輪

『生きる力を身につける 14歳からの読解力教室』犬塚 美輪

一言でいうと

読解力とアウトプットは理解の両輪

概要

読解力を高めることが、生きる力をつけることにつながる、というテーマに惹かれて読んでみました。

先生と、3人の生徒の対話形式で、生徒たちの疑問に先生が応えるような形で進んでいきます。「Youtubeで数学の解説動画を見ればいい」とか、「AIが文章を要約してくれるはず」とか、生徒たちの現代っ子な意見にリアリティがあります。先生がやわらかに論破しますが。

学びの図解

命題の関係性を表象として読み解き、ネットワークとして記憶する、ということで、本書からの学びをピラミッドストラクチャー風に図解してみました。これをもとに、文章でも整理します。

① 読解力とはなにか?→命題の関係をつなげて、批判的に読む力

文章には、単語間の関係=命題が含まれています。たいていは一文に2つ以上の命題が含まれ、多くなるほど文章は難解になります。例えば、「女王は、『白雪姫がリンゴを食べる』のを見ていた」という文は、女王と白雪姫の命題が入れ子の構造になっています。

読解のカギになるのは、命題の関係性・つながりを理解することです。国語のテストの定番、それ・これなどの指示語が何を指すかの問題には、命題の関係性が理解できているかを確認する意図があったんですね。

読解した内容を自分のものにする=記憶するには、既存の知識とつなげる必要があります。人間の記憶は、タンスの引き出しのように一面に並んでいるのではなく、知識同士を経路でつないだネットワーク状になっています。既存の知識から新しい知識へのルートがつながることで、そのルートをたどって「思い出す」ことができるようになります。英単語を覚えることを例にすると、ただ繰り返し書いて覚えるよりも、既存の知識とのつながりを作ることで、知識へのルートを確立しやすいといえます。

私の場合、英単語の頭文字の略称が多いIT系の専門用語を覚える時は、元の英語とその意味を覚えるようにしています。DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)であれば、「ダイナミック(動的)にホスト(のIPアドレス)をコンフィグするプロトコル」と覚えているだけで、概要はつかめます。

ただ読むだけでなく、論理や内容が正しいかどうか、批判的視点で読むことも、読解における重要なポイントです。個人でも発信が容易になり、玉石混淆の情報であふれた現代においては、最重要と言えるかもしれません。恣意的な言葉が使われていないか、論理が飛躍していないか、他の情報と矛盾していないか、などを確認しながら読むことを意識したいですね。


② 読解力が生きる力につながる理由は?→動画・図・AIで代替不可の伝達手段だから

読解力が生きる力につながるのは、新しいことを学ぶときに、文章を読んで理解することが避けられないからです。動画・図・AIは理解の助けにはなりますが、すべての文章を代替することはないでしょう。

仕事や勉強に限らず、家電の説明書や育児の本など、私たちが触れる情報のほとんどは文章です。たしかに動画や音声のコンテンツが充実してきていたり、文字のない図だけで作られた説明書が増えたりしています。しかし、特にニッチな分野・専門分野になるほど、需要も供給も少なくなっていき、新しいメディア(動画・音声)よりも古くからあるメディア(本・文章)が広範囲をカバーしています。最もニッチな分野でいうと、私たちが読むメールや仕事の仕様書を、Youtuberは解説してくれません。

AIでの文章要約についても、現状のAIは文章構造を理解できず、今後も難しいだろう、という限界が論じられています。AIの限界について学ぶには、本書でも紹介されている 新井 紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』が鉄板です。この本、noteでアウトプットを始める前に読んだので、再読したくなりました。下記は続編『AIに負けない子どもを育てる』のまとめです。

文章主体の本ではなくて、マンガじゃダメですか、という問いも生徒から出てきます。マンガにも功罪があり、是か非かではなく本とマンガを両方読んだらいい、というのが先生の回答です。

マンガの持つ特徴は、物語化(ストーリー)と視覚化(ビジュアル)です。この2点によって物事のつながりの理解を助けてくれるので、学習の初歩としてのとっつきやすさがあります。歴史を題材にしたマンガや、人体の科学を擬人化した『はたらく細胞』などが好例ですね。

一方、主人公が美化されて登場人物の善悪が固定化されるなど、視点の偏りが生まれやすくなります。また、インパクトを重視して脚色をしたり、わかりやすさを重視して時代考証を無視したり、事実とは異なる描写がされているおそれもあります。

よって、マンガの物語・ビジュアルで全体像をつかんでから、文章主体の本で理解を深める、というのがベストだと考えられます。哲学やビジネス書についても、マンガや低年齢向けの本がたくさん出ているので、それらを足がかりにすると理解を早めることができそうです。


③ 読解力を身につけるには?→客観的にアウトプット、主観的に楽しむ

読解力の重要性を理解したところで、読解力を身につける方法の話になります。とにかくたくさん本を読め!とかではなく、論理的なアプローチを取っています。キーワードは、メタ認知・アウトプット・楽しむ、の3つです。

メタ認知は「自分の知的活動を一段上から把握する頭の働き」と説明されています。これを言われた生徒が「よく分からないな」と返しますが、自分が理解できていないと客観的に認識することがまさにメタ認知です。ソクラテスの「無知の知」や、『論語』で私が一番好きな下記の文も、メタ認知の重要性を説いているといえそうです。

これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ、知るなり

『論語』

理解できているかをセルフチェックしたり、他者に説明したりすることでメタ認知が働き、本当に理解できているかどうかを掘り下げることにつながります。また、想定される質問を考えたり、仮説を立てて読むことも効果的です。

アウトプットの重要性は、noteで発信している方々には言うまでもないかもしれません。学生がメインターゲットと思われる本書では、友達と練習しよう、となっていますが、今はインターネット上で容易にアウトプットができる時代です。

省略や指示語を明確化したり、要点をまとめて文章化したりすることは、本書でも読解の方略として紹介されています。不特定多数の他者に見せることを前提としない、インフォーマルなアウトプット、たとえば読書をしながらメモを取ったり、親しい人に感想を伝えたりすることも、読解の助けになるでしょう。

最後に、文章を読むことを「楽しむ」ことが読解力向上につながります。誰が決めた課題図書よりも、自分で選んだ本の方が、読むモチベーションが上がりますよね。自分が好きなジャンルの本を楽しみながら読んで、読むことが苦行にならないことが一番重要だと結論づけられています。

説明文を読む際に、客観的な視点で読むことはもちろん重要ですが、主観的な視点や直感を一切なくす必要はありません。直感で思ったことを客観的に説明しようとすることで、自分がなぜそう思ったかを考えることになり、理解をさらに深めることができます。文章を読んで自分の意見を述べる必要があるシーンでは、むしろ直感を大事にしたいですね。



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あんぱんだ | 視える化推進エンジニア いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。

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