木製ルーバーは本当に劣化するのか。高槻城公園芸術文化劇場が示した答え
最近、木製ルーバーの外装を見るたびに思うことがあります。
「これ、10年後どうなるんだろう」

木を外壁に使うことへの風当たりが強くなっているのを強く感じます。
メンテナンス性、耐候性、公共建築としての責任。
設計者として提案しても、施設側に弾き返されることは少なくありません。
高槻城公園芸術文化劇場を訪れたとき、
その不安が一つずつ丁寧に解消されていきました。
まず、一般的な木材保護はどうなっているか。
外装木材の保護材として一般的に使われるのは
木材保護塗料WPです。
表面に塗膜を作り、雨水や紫外線から木を守る。

でもここでは違います。
液体ガラスにドブ漬けされています。
木材に浸透させ常温でガラス被膜を形成する技術で、表面だけでなく、木の内部まで保護材が入り込むことで、WPでは塗れない場所まで守られます。
そしてここが肝心なのですが、固定するためのドリフトピンの孔まで、ドブ漬けされています。

通常、現場でビス留めすると、そのビス穴から腐食が始まります。木材の表面は守られていても、穴の断面は無防備です。ここでは工場加工の段階でドリフトピンの孔まで含めて全てドブ漬けしているので、腐食の起点がない。
取り付け方法も徹底されています。
固定方法はコの字型の金物にルーバーを差し込み、横からドリフトピンを差し入れる方式です。

木は乾燥すると痩せます。
ビス留めだと木が痩せたときに緩んでくる。
でもこの方法なら、仮にルーズになってもドリフトピンが脱落を防ぎます。
しかも現場での加工は一切なし。全て工場で処理されています。
意匠と維持管理が同時に考えられています。
ルーバーは凸凹になるようにレイアウトされています。
これは意匠的なリズムを作るためだけではありません。
将来カンナ掛けして表面を削っても、凸凹があることで悪目立ちしない。
いわゆる散りをルーバーの凹凸によって実現しているわけですね。
メンテナンスを竣工時から織り込んでいます。
ガラス面にかかるルーバーは、手が入って清掃できるよう通常よりピッチを広げる配慮まで。
ルーバーの天端にはガラス笠木が設置されています。意匠性を損なわずに、小口を雨水から守る。

そして一本の木を使い切る。
内外装で赤太、芯材、白太と、一本の木から取れる
部位を内外で使い分けています。


仮に木材の表面が荒れて外装材として使えなくなっても、公園のベンチや家具として循環利用することも想定されています。
施設内にはすでにルーバー材を使った家具が設置されていました。


一本の木を使い切る。
その覚悟が、この建築のあらゆる細部に宿っています。
設計者として思うこと
木を外壁に使うことへの不安は、根拠のないものではありません。
でも高槻を見て確信しました。
問題は木という素材ではなく、木とどこまで向き合うかという設計者の覚悟の問題です。
自然素材である以上劣化は避けられませんが、
劣化を遅らせ、維持更新を考慮し、活用する。
ここまでやるか、と唸りました。

施設:高槻城公園芸術文化劇場
設計:日建設計
