多額の寄付をする人の心理
少額ですが寄付をしています。
できる範囲で誰か(何か)が助かればいいな、という人間としてごく普通の気持ちからです。
でも、無理はしていません。そして、できません。
世の中には、驚いてしまうほど多額の寄付をする人がいます。
お金持ちだから、という理由もあると思うのですが、「自分で築いたものなのに、なぜそこまで手放せるのか?」と思ってしまいます。
彼らには、私のように「無理なく誰かが助かればいいな」という気持ち以外のモチベーションや喜びがあるのでしょうか。
少し穿った見方をしてしまいます。
実は、多額の寄付をする人の心理は単純な「善人だから」ではなく、複数の動機が重なっていることが多いようなのです。
「お金の限界効用」を強く実感している
一定以上の資産を持つと、お金による幸福の伸びが鈍化します。
例えば
1万円 → 生活に大きく影響
100万円 → 安心感が増す
1億円 → 生活の質は大きく向上
100億円 → それ以上の幸福の差は小さい
というように、生活に必要な分を超えたお金は「持っていても体験できる喜びが増えにくい」と感じる人がいます。
その結果、
自分が使っても幸福がほとんど増えないなら
他者の人生を変えるほうが意味がある
という判断になることがあります。
「影響力」を実感できることが喜びになる
大きな寄付は、目に見える形で社会を変えます。
例えば、
学校が建つ
病気の研究が進む
災害支援が届く
奨学金で人生が変わる人がいる
このとき得られる満足感は、物を買う喜びとは種類が違います。
心理学では「意味的幸福(eudaimonic well-being)」と呼ばれます。
「楽しい」というより「自分の存在が役に立っている」という深い充足感です。
自分が恵まれていたという認識(恩送りの感覚)
成功した人の多くは
教育環境に恵まれた
支援してくれた人がいた
社会制度の恩恵を受けた
偶然の運があった
と振り返ることがあります。
その結果
自分だけの力で成功したわけではない
次の世代に返したい
という気持ちが生まれることがあります。
pay it forward(恩送り) と言われるそうです。
人生の後半に起きやすい価値観の変化
心理学者エリクソンは、成熟期の課題を「次世代への貢献(Generativity)」と説明しました。
若い頃
→ 自分の成功、能力、地位
年齢を重ねると
→ 自分がいなくなった後に何が残るか
に関心が移る人がいます。
寄付は
「自分の人生の意味を未来に残す方法」
になります。
苦しさを知っている人ほど共感が強い
意外に多いのがこのタイプです。
貧困経験
病気
差別
家族の苦労
事業の失敗
などを経験した人は、同じ状況にいる人の苦しさをリアルに想像できます。
そのため
「あの時、助けてくれる人がいたらどれだけ救われただろう」
という感覚が寄付の動機になることがあります。
コントロールできる形で社会と関わりたい
寄付は「自分の価値観を社会に反映できる手段」でもあります。
例えば
芸術を守りたい
科学研究を進めたい
動物保護を支援したい
教育機会を広げたい
税金と違い、使い道を選べる点に魅力を感じる人もいます。
喜びの質が少し違う
高額寄付をする人が感じる喜びは
・誇らしさ
・安心感
・使命感
・静かな満足
・社会とのつながり
のように、やや落ち着いた感情であることが多いです。
高級品を買ったときの興奮とは違い、「これでよかった」という静かな納得感に近いと語る人もいます。
多くの人にとって「生活を守ることと、誰かを助けたい気持ちのバランス」はとても重要です。
寄付額の大小よりも「自分の生活を損なわない範囲で続ける」という姿勢の方が、長期的には健全とも言われています。
