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解雇するのが難しいとされるスペインでレイオフされた話

一般的にスペインは労働者の権利が強く保護されており、解雇が難しい国だと言われている。
そんなスペインの会社に勤めていたが、実際に解雇された経験がある。

レイオフされるまでの経緯

勤務していたのはテック企業ではなくベンチャーキャピタルで、開発していたのは投資アナリスト向けの社内ツールだった。

会社はロンドン、ベルリン、バルセロナの3拠点。
開発チームはバックエンドエンジニア、プロジェクトマネージャー (ベルリン勤務)、フロントエンドエンジニア (自分) の3名という非常に小規模な構成だった。

2023年7月のある日、経営方針の大きな変更によりベルリンオフィスの閉鎖が決定し、それに伴いプロジェクトマネージャーも解雇されることになった。

その後、経営陣から呼び出され、プロジェクトマネージャーの解雇は決まったが、「君たちの場所はまだある」と説明され、その時点では安心したのを覚えている。

しかしプロジェクトマネージャー不在となったことで業務量は急激に減少した。

さらに9月上旬、バックエンドエンジニアが「仕事が少ないなら転職した方が良いと判断した」として退職を決めた。

もともとプロダクト開発ではなく社内ツール中心の開発だったため、チームがなくても事業が成立してしまう状況だった。

その結果、バックエンドエンジニアの退職を受けて開発チーム自体が解散となり、自分も解雇されることになった。

会社から渡された資料。解雇に至った経緯が5ページにわたって説明されていた。

会社からの補償

・解雇予告期間は15日 (スペインでは一般的な水準)。ただ、7月のプロジェクトマネージャーの解雇以降そもそも仕事がなかったので、即日退職の代わりにこの15日分の給与が支払われた
・解雇補償金 (indemnización)
・未消化の有給休暇の精算

私はこの会社に11ヶ月しか在籍していなかったため、解雇補償金は大きな金額にはならなかった。スペインでは解雇補償金は勤続年数に応じて計算されるため、長く勤めているほど受け取れる金額も大きくなる。

失業保険

スペインでは失業保険 (paro) を受給するには主に以下の条件が必要となる:

  • 非自発的失業であること (会社都合の解雇や契約満了など)

  • 過去6年間に360日間以上の雇用保険料を納めていること

この会社での仕事がスペインでの初めての仕事で、納付期間が11ヶ月しかなかったため、このときは失業保険の受給対象にはならなかった。

スペインで解雇は本当に難しいのか?

「スペインは解雇が難しい国」と聞いていたものの、実際には想像よりもあっさりと雇用終了となったのが率直な印象だった。

解雇予告期間として15日分の給与は支払われたが、体感としては「明日から来なくていい」と言われる状況に近く、俗に言われるアメリカのレイオフに似たショックを受けた記憶がある。

ただ、今回の経験を通じて感じたのは、「スペインは解雇できない国」というよりも、「解雇にコストがかかる国」だということだ。

実際、会社は私を解雇できなかったわけではなく、解雇予告期間分の給与や解雇補償金、有給休暇の精算など、法律で定められた補償を行ったうえで雇用契約を終了させた。

その意味では、「労働者が強く保護されている」というイメージは間違いではないものの、それは終身雇用が保証されているということではなく、解雇される際の条件や補償が法律によって整備されているということなのだろう。

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