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法務 × Claude × Contract One MCP ─ 一番近くにいるユーザーと進める、AI時代の法務の業務改革

こんにちは。 Sansan株式会社で、取引管理サービス「Contract One」のプロダクトマネジャー(以下PdM)をしている大泊杏奈です。
Contract One ARR10億円突破!ということで、今年もnoteリレーの記事を発信させていただきます。

「Contract One ARR10億円突破!〜その先の未来へ〜 noteリレー」とは?
Sansanの第3のプロダクトであるContract OneはARR(年間経常収益)10億円を突破しました! 本シリーズ「Contract One ARR10億円突破!〜その先の未来へ〜」は "挑戦"を共通テーマに、ARR10億円達成までの軌跡や、今後のContract Oneの展望をリレー形式でお届けします。 Contract Oneの事業とメンバーをさらに知っていただくため、各メンバーがnoteを更新していきます。明日の更新もお楽しみに!

先日、Sansan公式noteで法務の審査時間を40%削減ーClaudeと『契約データベース』をつなぐと何が変わるのかという記事が公開されました。

Sansanの法務メンバーが、Claude × Contract One MCPサーバーを使って、法務業務の問い合わせ対応時間を約40%削減した、という内容です。この成果は、プロジェクトのキックオフから約3カ月で達成しています。

今日はその裏で、Contract OneのPdMである私たちが、法務メンバーと、具体的にどのような取り組みをしたのかをお伝えしようと思います。


Project ONE LEGAL

Contract OneのPdMはこれまでもプロダクト開発でのAI活用を進めてきましたが(参考記事①参考記事②)、今回挑戦したのは、「一番近くにいるユーザーである法務メンバーとワンチームになり、プロダクトづくりの当事者になってもらう」取り組みです。

このプロジェクトの名前は Project ONE LEGAL。 Contract Oneと法務が「一体」となって進化することを象徴するものとして名付けました。

PdMが寄り添いながら、法務メンバーが自らClaudeで契約データを参照し、判断基準を「スキル(Claudeに特定の業務を任せるための、プロンプトと参照情報をまとめたもの)」へと整えていく。そしてその知見がプロダクトの進化にも接続されていく。
法務業務の改革とContract Oneの進化、その両面に向き合うサイクルを回しています。

🚩Project ONE LEGALで設定した目標

法務への問い合わせが来てから完了するまでの時間を、50%削減すること。

上記を法務とプロダクトチームでOKRに掲げ、同じ数値を一緒に追いかける設計にしました。法務業務を「判断の性質」で3つのグループに再編し、各グループにPdMとデザイナーを配置。法務メンバー一人ひとりに、プロダクトメンバーが寄り添える編成で取り組んでいます。

実施したこと① 業務と課題の可視化

最初に取り組んだのは、法務メンバーの業務と課題を可視化することでした。まずは業務と課題の棚卸しから始めようとしたのですが、これがなかなか難しい。
法務メンバーは普段からさまざまな種類の相談に対して数多くの判断を行っていますが、その一つひとつをわざわざ言語化しているわけではありません。実際にどんな判断をしていて、何に時間がかかっているのかを言葉にしようとすると、自分自身でも捉えるのが難しいのです。

そこで取った進め方が、まずはAIに棚卸しを任せてしまうことでした。 Claude Codeを使って、Notionに残された日々の対応記録や、Slackの問い合わせ対応のスレッドを分析。出てきたものを法務メンバーに見てもらうと、「確かにここに時間がかかっているな」「意識していなかったけど、こういう業務を日常的にしているな」という気づきが自然と引き出されてきました。

ある法務メンバーの案件の件数と対応完了時間の分析イメージ

その上で、ヒアリングを通じて「ここはこういう判断が入る」「ここは実はパターンが決まっている」と、定性的な情報で肉付けしていく。
このプロセスを通じて「何に時間がかかっているのか」、「定型化できる繰り返し業務や判断は何か」が見えてきました。

実施したこと② 環境を整える

業務の可視化と並行して進めたのが、環境の整備でした。

▶︎法務メンバーへのClaudeアカウントの配布

生成AIサービスがいくつかある中で、Claudeを選んだのは、その強みが法務業務と非常に相性が良いと感じていたからです。

- Wordの修正履歴を読み込み、自ら編集や追記を加えられる
- 過去のコンテキストを保ち続ける記憶力が高い
- 自律的に動き、並列で複数のスキルを走らせられる

修正履歴付きで何往復もするWord、長く続く案件のスレッド、、さまざまな情報を正確に参照しアウトプットする必要のある法務業務の独特性と、Claudeの強みはとても相性が良く、(あくまで手元で比較しての所感です)
少し触ると法務メンバーから「法務業務に革命が起きる!!」という声も聞こえてくるようになりました。

▶︎ClaudeとContract Oneとの接続

法務業務では、契約書のレビューやドラフト作成、問い合わせ対応など、「過去の契約や類似の契約を参照する」というアクションが日常的に発生します。Claudeにいくら高い能力があっても、参照するべき自社の契約データに手が届かなければ、結局「法務業務を楽にするAI」に留まり、「自社の文脈に基づいて判断するAI」にはなれません。
そこで、ClaudeとContract OneをMCPサーバーで接続。AIに語りかけるとContract Oneの中を探して回答ができる状態を用意しました。Contract Oneには契約書の全文に加え、「契約書同士の親子関係」「各社が管理している独自のデータ」「契約相手先の企業情報」など、構造化された契約データが揃っています。これらにアクセスできることで、本来手元で探し、読み解いていた業務が、Claudeの応答ひとつで進むようになりました。

▶︎さまざまなサービスとの接続

他にも、Claudeが法務業務に必要な情報すべてにアクセスできる環境を広げていきました。
法務業務に必要な情報は、契約データだけではありません。社内での合意形成の経緯、過去のセキュリティーチェックシートの回答、案件ごとのドキュメント。こうした情報は、複数のサービスに散らばっています。
Project ONE LEGALでは、どこまでの情報をAIに読み込ませるのかを整理しつつ、ClaudeをContract Oneだけでなく、Sansan、Notion、Box、Salesforce、Slack、など、さまざまなサービスと接続しました。

Claudeから接続しているサービスの例

実施したこと③スキル作りと運用

業務が可視化された段階で、スキルづくりに進みました。
最初の数本はPdMが寄り添って叩き台を作り、その後の調整や新規作成は法務メンバー自身が担っています。業務を一番よく知るのは本人。手元で動かしながら、現場にフィットしたスキルへと各メンバーが育てていく形になっていきました。

実際に運用されているスキルの例

いずれも、「リサーチ・裏取り・下書き作成」はClaudeが担い、判断そのものは法務メンバーが担う。この役割分担をSkillの形に落とし込んだものです。これらのSkillが、自然に日々の業務に組み込まれていきました。

成果① 定量的な変化

これらの取り組みの結果が、冒頭で紹介した公式noteの数字につながります。 法務の問い合わせ対応時間が、約40%削減。実は、この削減の裏で、案件数は約1.5倍に増えています。それでもなお、この成果が出ています。 他にもデータを見てみると、ラリー数の減少や一発回答の増加など、興味深い変化も見られました。
これはあくまで途中時点での数字です。 スキルはまだブラッシュアップを続けている段階ですし、未着手の領域もあるため、あと1カ月も経たずに目標の50%には十分に届くのでは、と考えています。

成果② 認知負荷の削減

定量的な変化と並んで、もう一つ大事な成果がありました。認知負荷の削減です。
正直に言うと、私自身はClaudeを日常的に使っていても「認知負荷が減った」という感覚は、あまり持っていませんでした。 ある日、法務メンバーと話している中で「Claudeを使うようになって、頭が楽になった」という話が出てきました。気になってほかのメンバーにも投げかけてみると、同じ感覚を持っている人がたくさんいることが分かりました。
その声を辿っていくと、法務業務の独特な特徴が見えてきました。
法務の仕事では、判断のたびに過去の契約書ややり取りを参照することが日常的に発生します。しかも、相手方の社内整理を待つために1週間〜数カ月、案件が空くことも珍しくありません。再開するたびに、過去の対応記録を1から読み直す必要がありました。

「作業を開始するために脳内に用意しなければならない情報群のセットアップが、ものすごく楽になった。」

「法令知識の裏付けが弱くて決めきれなかった判断も、Claudeとの壁打ちで気づきを得て、自分で判断できるようになっている」

どちらも、Claudeとチャットベースで対話できるからこそ生まれた変化です。経緯を要約してもらう、壁打ちをして思考を整理する。こうした対話的なやり取りが、これまで「思い出す・組み立て直す・自分の中で詰める」のに使っていた頭の容量を、大きく解放してくれていたのだと感じています。

Contract One MCPサーバーとして、世の中へ

Project ONE LEGALで積み上げてきた知見は、Contract One MCPサーバーとして、社内での実験を経てお客さまにも提供できるようリリースしました。

ClaudeとContract One MCPサーバーをつなげることで、自社では大きな成果が出ていますが、会社や業界によって法務業務の形は違いますし、課題の構造も違うはずです。 現在、契約書のレビューや過去契約の情報収集に課題を感じているお客さま一社一社と、寄り添いながら一緒に成果を出せるよう、挑戦を進めています。

おわりに ─Contract Oneを活用して、AI時代の法務の在り方を一緒に創りませんか

このプロジェクトを通じて、定量的な成果として法務業務がどんどん変革していくのを目の当たりにしましたし、法務メンバーが自分の手でスキルを作りながら、業務をさらにアップデートさせていく姿を間近で見てきました。そして、まだ伸び代があることも見えています。
私としても、AI技術の進化とともに、Contract Oneを進化させるだけでなく、法務という領域そのものの未来を、お客さまと一緒に創っていきたいと感じています。
この記事を読んで「うちでも試してみたい」「もう少し詳しく聞いてみたい」と思った方、ぜひ気軽に声をかけてください!
一緒に法務の未来を創っていけたらうれしいです!


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