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「Watashiは変われましたか」第16話

涙が渇かないまま次のシーンを選択すると、暗闇の中から光が差し込んだ。

画面が明るくなると、杏奈の入学式のシーンが現れた。杏奈は真新しい制服を着て、緊張しながらも誇らしげに立っている。沙羅はその隣で、杏奈を見守りながら微笑んでいた。

アプリを通してこのシーンに入り込むと、杏奈の成長と共に、私たち家族の絆が深まっていく様子が見えた。杏奈は新しい環境で友達を作り、学びを楽しんでいる。その姿を見て、私は心から嬉しく思った。

沙羅もまた、新しい生活に適応し、杏奈と共に新しい未来を築いていく決意を固めているようだった。私も彼女たちを支えながら、これからの時間を大切にしようと心に誓ったことを思い出した。

その後一年かけて仲直りをし、互いの家を行き来するようになった。杏奈の成長を見守りながら、私たちは思いっきり喧嘩して、互いに歩み寄ることを学んだ。うまくいかないことも受け入れていく日々の中で、沙羅のほうがなんだかんだ譲歩してくれていることに気づいた。

沙羅が特に厳しく言うのは言葉の選び方だった。彼女は「子供はスポンジだから言われたことを吸収する。だからこそ言葉を選んで言わなきゃいけない」とよく言っていた。「言葉は言霊と教えてくれたのはママでしょう」と沙羅は私に厳しく指摘することがあった。

この頃から沙羅とよく話すようになった。そして、過去のことを思い出しては「あの時はごめんね」と言うことも増えた。

これまで私が一方的に話すことから、沙羅や杏奈の話を聞くように努力していた。相手の話を聞くのは難しい。話を聞くことは本当に訓練だ。それでも言葉のキャッチボールをするようになってからは、沙羅とたくさんの話ができた。

本の感想を語り合えたのも嬉しかった。何より語り合うことは孤独感を消してくれる。話を遮ると「ほら相手の話を最後まで聞いてから話すって言ったでしょう」こんなやりとりもある。

杏奈の小学校の行事には必ず行き、その成長を見守った。運動会も1、2年生の頃は足が遅かった杏奈が、沙羅と公園で練習を重ねた結果、3年生からはリレーの選手に選ばれるようになった。習い事も成長を祝うかのように立ち会った。自分にはできなかったことの喜びを沙羅は共に味合わせてくれた。

和解もせずすれ違ったままだったら、こんな日は訪れなかったかもしれない。沙羅は根気よく私と向き合ってくれた。素直になる勇気と素直な方が人生楽しくなることを教えてくれた。人の話を聞くようになると自分を知るきっかけになることを知った。子供を見ていると親の反省するきっかけになるということも。

紗羅は色々なことを諦めずに伝えてくれた。その代わりたくさん喧嘩するようにもなった。喧嘩は悪い事じゃない。互いの考えを知るきっかけだと言うことも知った。一方的では関係が壊れてしまう。大切な人にこそ言葉で伝えようとも思った。杏奈が小学校6年生になる頃には一緒に住もうという話になった。喧嘩して言い合って互いを尊重し合って生きていくのも悪くない、そう思えた。

ある日、スマホを新しく買い替えるのに沙羅に頼み込み、待ち合わせの約束をした。ところが、待ち合わせの前日からスマホが動かなくなり、沙羅の連絡に返事が打てなかった。約束通りの待ち合わせ時間に到着できず、連絡手段もないまま時間に遅れてしまった。待ち合わせ場所に沙羅がいない。動けばすれ違うと思い、動かずに待ち続けた。

30分後、沙羅が見つけてくれて私を突然抱きしめた。「よかった。よかった」と涙する沙羅に、私は申し訳ない気持ちと安堵感が入り混じった。同時に沙羅に大切にされていると心から感じることができた。抱き締められることは恥ずかしかったが嬉しかった。

その後、沙羅に杏奈をハグする理由を聞いたことがある。沙羅は「小さい時、私に抱っこされなくて寂しかった」と言った。すぐ下に息子がいて、私は息子をおぶっていたため、沙羅には「迷子になるな」と言うだけで、特に手を繋いだ記憶もなかった。沙羅は「私が感じた寂しさを杏奈にはさせたくない。ただそれだけだ」と言っていた。彼女は杏奈へ無条件の愛情を注いでいる。その姿を通して、私は愛とは何かを改めて感じるようになった。

私は愛し方を知らなかった。叱ること、褒めること、良いことも悪いことも言葉を考えながら伝えることも、過去を悔い未来に希望を抱くことも、泣いて笑って感情を出すことも、愛されている安心感から子供が表現してくれることを知った。私が沙羅にできなかったことを、沙羅は杏奈にしている。沙羅からの愛情や杏奈の成長はお金では買えないもの。

アプリを通してこのシーンに入り込むと、笑って、泣いて、怒って、喜んで、歌い、踊り、喜怒哀楽がある生活の豊かさを見て、私は心の中で「沙羅、あなたは本当に素晴らしいね」とつぶやいた。

母親としての役割をしっかりと果たしながら、杏奈と私を支えていた。彼女の強さと優しさに、私は深い感謝の気持ちを抱いた。

入学式の日、沙羅は私に「お母さん、杏奈のことを本当にありがとう。私たち、これからも頑張っていこうね」と言ってくれた。その言葉に、私は涙が溢れて止まらなかった。彼女たちの成長と共に、私たちの絆も深まっていくのを感じた。

画面には再びアイテムの表示が現れた。アイコンが輝き、そこには「入学式の写真」と書かれていた。私はそのアイコンに指を伸ばし、画面をタップした。

入学式の写真のアイコンが光り、杏奈と沙羅の笑顔がさらに輝きを増して見えた。その光景を見ながら、私は心の中で「あなたたちと一緒にいられる時間が本当に幸せだよ」とつぶやいた。

その時、杏奈が私の方を見て笑顔で「ばぁば、うれしいね!」と言ってくれた。その言葉に、私は涙が溢れて止まらなかった。沙羅も微笑みながら「お母さんの子供に生まれて幸せだよ」と言ってくれた。その瞬間、私は家族の絆の強さを感じ胸がいっぱいになった。

暗闇の中に、画面が浮かび「このシーンをクリアしました。ロックが解除されました。次のシーンに進みますか?」というメッセージが表示された。心の中で沙羅と杏奈の幸せと、この幸せが永遠に続くことを願って、次のシーンに進むことを選んだ。

#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門



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