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〇〇〇〇の新スタジアムは間違いなく「日本一」なのだ!


広島と長崎。“スタジアムフェチ”のJ1、J2旅行記

2025年の始め、急に「広島と長崎の新スタジアムに行ってみたい」と思い立った。自称スタジアムフェチとしては、「専用」「最新」「ピッチとの距離が最短」などのキーワードを耳にすると、いてもたってもいられないほど心がザワつくのである。
 なにしろスタジアムについて筆者はかなりのオタクと自認しており、こんな記事まで書いている。
 試合日程を確認してチケットを確保。これさえ完了すれば後はどうにかなる。広島も長崎もチケット販売はクラブ会員を優先するため、一般販売の段階で売り切れが予想されたが、幸いにも無事にゲットできた。券種を選べて支払いもクレカで完了。改めてインターネット時代に生きてる現実に感謝する次第である。

サンフレッチェの観客動員数がエグイ

3月2日(日)、サンフレッチェ広島vs横浜FC。前売り開始と同時にネットでチケットを手に入れた際、かなり後方の席しか空いてなかったワケが判明する。この日のスタンドの収容率は90%を超えていた。だから私のチケットは「残り数百枚」のうちの1枚だったのだ。
 後で知るのだが、新スタジアムが完成してからのサンフレッチェの観客動員が凄まじい。2024シーズンは年間48万6579人で収容率は90.3%を記録。1試合平均観客数は2023シーズンの1万6128人から2024シーズンには2万5609人へと爆増。来季は年間50万人を目標に掲げているそうだ。凄い!
 だが、ニマンゴセンニンとかゴジュウマンニンとか聞いても、バルセロナ・ドルトムント・ミラノといった巨大スタジアムに足繁く通っていた私にとってはどうってことない数字だ(自慢自慢(~o~))。
 スタフェチとしては世界基準と言ってもよい欧州の中~大規模スタジアムと比べて、広島がどのあたりの立ち位置を占めるかに注目したいのである。

広島のピースウィングはデザインに問題あり!

エディオンピースウィングの外観模型。フーム、なんか微妙だ

 いちおうは長方形である。ただし変形だ。丸っこい屋根で覆われ、南側の左右2か所に大きな「穴」が空けられ、北側のバックスタンドが極端に小さい。そして不釣り合いなほど巨大なスクリーンが設置されている。穴についてはデザインの一部だそうだ。設計を手掛けた大成建設の記事にそうある。

バックスタンド上段からの眺め。右がアウェースタンド。
電光掲示板下の席数が悲しいほど少ないのが分かる。
これでは将来的な拡張が出来ないのでは?

 このデザインに文句を付けたのは、全体のバランスが悪いという1点に尽きる。下の座席表を見てもらいたい。サッカー専用スタジアムの基本とは、長方形と「平らな屋根」ではなかろうか。それが広島では「ウィング」の名の通り、翼か何かを模したデザインに仕上げているため丸みを帯びて、結果的に中途半端感が否めないのだ。

4方向とも観客席の量的配分がバラバラ。
これだと特に左のアウェー側が将来的に拡張するのが難しくなる。
広島の実力と人気ならば4万人規模でもおかしくないのだから。

だが褒めるべき点が多々あるぞ♪

 筆者がもっとも拘るのが「スタンドの角度」と「ピッチまでの距離」である。この点で広島は超優等生だ。例によってスマホの分度器で角度を測ろうとしたのだが、どうにも上手く出来ず、写真を見て判断してもらうしかないが、体感的にサンチャゴ・ベルナベウとほぼ同じだった。つまり上層階の理想値である「35~40度」ということになる。

いいじゃないか、この角度は(~o~)
椅子は大き目で、首元から肩甲骨の上部までカバーされる。
また滑らかな曲線で疲れを伝えない工夫も施されている。

新鮮な驚きの連続。なんだ、このシートは! 

 筆者の長年の経験から断言できることだが、欧州のスタジアムで「安全」「安心」「快適」「心地良さ」「清潔」を求めるのは、北朝鮮に人権尊重を求めるのと同じ話である。
 ドイツでもイタリアでも私は一度たりとも、最寄り駅から始まり宿に戻るまで、『5つの理想』を味わったことがない。彼の地では毎回、こんな情景を体験してきたものだ。しかも、一度の訪問で全てを…。
 スリ・ひったくり・言いがかり・暴力・人種差別・落書き・トイレの破壊・飛散したビール瓶の欠片・大量のゴミとタバコの吸い殻・立小便・人前での男女のまぐわい・偽チケット販売・入場ゲートの強行突破・行列無視・警備員の威嚇・警察の催涙弾・ウルトラスの発煙筒・上層階からの水シャワーと唾吐き――。嘘ではない。それほど(全部ではないが)欧州のサッカー場は荒れているのだ。
 しかし広島では当然のことながら全て異次元の心地良さを味わえた。
特に清潔と快適は段違いだった。下の写真を見てもらいたい。こんなシーンて、世界広しといえど日本だけの特異現象である。いや、超常現象か…。
 中でも最も印象に残ったのが正面入り口に設けられた「ベビーカー置き場」だ。すでに20台も置かれていた。え? サッカー場に子供、それも赤ちゃんを連れてくる? ひゃ~~、これぞ安全安心の証明書ではないか。ニッポンエライ!

売り切れなのに窓口に担当者がいるって、どうなの? 意味分からんけど。
窓が広い。防護柵もない。きっと荒れた客が投石して壊すなんて発想はないのだろう。
スタンドの通路にこうした特別席のブロックが多数配置されている。
◎人用の設定で値段も上乗せされない。1人当たり数千円だ。準VIP席だね♪
欧州でこんな席を設定したら間違いなく最低1人4万円は取られるぞ?
プラスチック製の簡易な柵だから、襲撃も置き引きも簡単だ。
だがここは日本である。誰もそんなことをしようとは思わない。
よく見ろよ、世界のアホ連中! 日本はお前らと違うのだよ。
野球場では見慣れた光景だが、まさかサッカー場で…。いいな、いいな。
こちらはキリンガール。
筆者の好みは上写真の赤いアサヒ嬢である(笑)
お~~、this is Japan
欧州なら試合後のスタジアムって「ゴミの墓場」だぞ!

ピースウィングに点数を付けるとしたら……

 ソフト面では100点! ハード面では北側のゾーンの狭さと全体的なバランスの悪さから85点かな。苦情は受け付けません(笑)

県単位でミュージアムとは(驚!)

 スタジアム正面にMuseum(サッカー博物館)が併設されている。日本代表ではなく「広島県」に関する博物館である。入場料500円を払って見て回る価値は十分にあるのでお勧めです。
 それにしても広島県のサッカーの歴史って半端ないね。シニアプレーヤーとして長年サッカーを続けている筆者は広島県出身のチームメイトとの付き合いがあり、折に触れて広島の話を聞くのだが、具体的な資料や写真をこの博物館で再発見して嬉しい気分になった。
 この人も、そしてあの人も、まさかの広島出身! 筆者と関係の深いドイツサッカーの出発点もここ広島とは…(-_-;)
 ぜひぜひ、この博物館を訪れてみましょう。


街が激変するって、こういうことなんだ!

 続いて訪問したのが長崎である。以前のスタジアムは全く知らないが、新設されたのは器としてのスタジアムを含む「シティ」全体である。どういうことかというと、こういうことだ。

広島は2024年2月、長崎は同年10月の開場。
どちらも個性的なシートとピッチへの近さが共通している。

 長崎のスタジアムを一言で表現するならば、「楽しい」となる。何がって、ここに来さえすればあらゆる「喜び」が待っているからだ。およそ人生を楽しく過ごすためのハードとソフトが全て備わっているのである。
 しかしスタフェチの筆者は別の観点からこのスタジアムを評価したいと思う。広島と同様、何種類ものシートが用意されていて、数人から数十人単位でブロックごと(チケット代込み)で確保できる。バーカウンターでよく見かける椅子から、カウチ、ベッドみたいなソファー、テーブル席まで多種多様だ。

シンメトリーの設計はストレスがない。シンプルな構造で良いのである。
ここは天皇陛下や大統領、サッカー組織の役員やスポンサー様が座る席ではない。
一般庶民でも抽選結果によって座れるのである。
貪欲な資本主義よ、ウザい権威主義よ、みんなサヨウナラ(*^_^*)

 スタグルも当然充実している。デジタル世代に合わせた注文方法だが、一部の店は現金・クレカでも対応している。嬉しいのは価格が街中と変わりなことだ。

2ドル(2ユーロ)を少し上回る価格だって?
シンジラレナイ!
へえ~、こんな粋なサービスがあるんでっか
スタジアム内にビール醸造所があるって、シャルケ04と同じだ!
かつての発想だと、こういった場所で飲食できるのは
高額チケットの持ち主かクラブ会員だけを対象にしていたものだ。
だが長崎は「誰でも自由に」使えるようにした。

追い出されないスタジアム

 長崎は早朝7時から夜11時まで、自由に出入りできるようになっている。これは画期的だ。どんな施設だろうが、管理者は物件の治安と保全を最優先で考える。それが長崎では「どうぞ、ご自由に」なのだから、いったいどういうワケだ、と逆に尋ねたくなる。
 そう思ってたら、こんな記事を発見した。当事者のブログだ。とても参考になる。フムフムなるほど。「追い出されないスタジアム」か。斬新だなぁ。やっぱり先進的な考えって素晴らしい。

例によってスタンドの角度を調べました

 お待たせお待たせ。

広島と比べてやや緩いと感じたが、分度器で測ってみると「25・4度」だった。
1階としてはまずまずの角度だが、もう少し急角度でも良かったのでは?
椅子は広島より小さめ。カップホルダーは前席に設置してほしい。

自由な往来バンザイ!

 驚いたのは、各ブロックでチケットの値段が違うのにも関わらず広島も長崎も「どこへでも」行けてしまうことだった。しかも係員はおらず、注意も受けないままに。長崎は1層目から2層目への階段入り口も無人でノーチェックだ。
 筆者が取ったチケットはHOME5番である。前から11列目なので、かなりピッチに近く、そして見やすい。だがどうにも落ち着かない。目に飛び込むのがテレビ中継でお馴染みの領域だからだ。そこで私は色んな場所へ移動しては違った景色を反時計回りで見て回ることにした。
 まずはHOME6番でコーナーの延長線だ。次は正面スタンドの通路で、例の巨大なホテルが視界にドーンと入る。そして最後はAWAY側の7番と、その上の2階席。いずれも視界を遮るものがない。「ここはワタシの庭よ」と叫びたくなるような感覚と言えば想像がつくだろう。

どの席からも見やすかった。
AWAY側の7番。国立みたいな「遠いなぁ…」とは無縁の世界。
また浦和よりずっと見やすいのはこの距離感だから。
2層目Awayゴール裏から。
良い眺めですのお~~(*^_^*)

サッカー文化の熟成にはまだ時間が必要かな

 広島と比べたら申し訳ないのは重々承知しているが、長崎のサッカーの歴史はほとんど知られていない。私も小峰忠敏≒国見高校しか思い浮かばない。頑張って調べたところで、せいぜい長崎日大≒森保監督の母校くらいだ。
 サッカーへの注目度と人気を図る計算式は、「歴史の厚み×関わった人数×エピソードの豊富さ」ではないかと思ってる。長崎はこの3つとも絶対数が足りない。どう頑張ったところで他県には叶わないのだ。むしろVファーレン長崎の発足により初めて歴史らしい歴史が始まったともいえる。
 それはスタジアムに足を踏み入れた瞬間から感じた点だった。ゴール裏のホームスタンドこそ応援歌の合唱で賑わっていたが、浦和のような試合前からの高揚感も、ゴールが決まった際の爆発的な歓喜も味わうことはできなかった。
 チームが攻撃モードに入り一気にゴール近くまで進んでも、観客は席から立ちあがらず黙って見てるだけ。決定機を外しても、また凡プレーを見せてもブーイングが起きない。
 極めつけは2階のほとんど周りに客がいない空間で、私が興奮してしばしば立ち上がる際に後ろの座席から掛けられた声である。
「座るバイ! 前が見えんと」
 えっ! あんたは興奮してもジッと席に座ってられるんでっか? それって素っ裸の美女が目の前に立っても勃起しないのと同じじゃないですか(~o~)
 イングランドでもドイツでも私は座席に座れた時間は立っている時間の5分の1もなかったように記憶している。エキサイティングな展開になれば座れるヒマもなくなるのだ。それがサッカー観戦の常識なのである。
 しかるに長崎、ゴール裏のサポーター以外は総じてお行儀よく、大人しく、必要最小限の喜びしか表さない。これじゃ興奮も中途半端である。“中折れ”はツマラナイのだよ。もっと一緒に心の底から楽しみましょう!

長崎スタジアムに点数を付けるとしたら……

 ソフト面100点。ハード面100点。
 断言します。日本一のスタジアムです。
 苦情は受け付けません(~o~) 

余談:思案橋横丁の立ち飲み屋

 中心部の思案橋にホテルを取り、毎晩、すぐ近くの思案橋横丁の立ち飲み屋「たたんばぁ」に通った。

ご覧の通りの激安だが、味よし、雰囲気よし、店員の元気さ良しで大満足である。

 聞けばここ思案橋は、その昔に遊郭があって、それはもうたいそう繁盛したそうだ。美輪明宏はこの地で生まれ育った。狭い店だが何気なく壁に視線を送ると……、

日本代表監督のサインじゃないか!

 こんな店(失礼!)で酒を飲んでいたのか、それとも店の関係者がサインを貰って飾っているのか? 恐らくは後者でしょうね。だがこうやってサッカーが日常生活に溶け込む姿こそが面白く、さらなるサッカー人気の発展にもつながるのである。

日本のサッカースタジアムに絶対足りてないモノとは

 あれこれ自由適当に書いてきた。2つの国内最新スタジアムを試合と共に観察し、また数日違いで訪れたJ2のRB大宮アルディージャvsレノファ山口戦を旧式スタジアムの代表格でもある大宮サッカー場で観戦した体験などから本場欧州と比較すると、『観戦者の興奮度』を除くすべての点で日本が勝っている。
 ミュンヘンのアリアンツアレーナはあまりに殺風景だ。ミラノのサンシーロはボロボロである。マドリードのサンチャゴ・ベルナベウとて上級客との扱いの差が大きすぎる。ナポリのディエゴ・マラドーナは命の危険を感じる。
 広島・長崎とも設計にあたっては欧州よりアメリカのスタジアムを参考にしたそうが、それはエンターテイメントの要素を入れて、いかに観客に喜んでもらえるかを徹底的にリサーチしたからではないか。
 まさか日本で、私が生きてる間にこれほど素晴らしいサッカー専用スタジアムを2つも同時に見れるとは想像もしなかった。
 いい年こいて恥ずかしい話で恐縮だが、長崎スタジアムの廊下を歩いている最中、感激のあまり思わず涙が零れそうになった。それほど2つのスタジアムは素晴らしいのである。


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