小説『彼岸花が咲く島』感想・レビュー(ネタバレなし)
※この記事には広告リンクを含みますが、内容は一読者としてのリアルな感想です◎気軽に読んでもらえたらうれしいです。
※この記事は、過去に別ブログで公開していたものを加筆・修正して再掲しています◎
今日は李琴峰『彼岸花が咲く島』。
手に取ってパラっと眺めたときに、日本語と中国語と沖縄弁が混ざってる?!と気になって読んだ作品。
『彼岸花が咲く島』のあらすじと紹介
概要
タイトル:『彼岸花が咲く島』
作者:李琴峰(り・ことみ)
出版年:2021
出版社:文藝春秋
受賞:第165回芥川賞
2021年に第165回芥川賞を受賞。台湾出身の作家としては初めての受賞だそう。ちなみに、日本語を母語としない作家としての受賞は二人目だそうです。(一人目は中国出身の楊逸さん。2008年に『時が滲む朝』で第138回芥川賞を受賞しています。)へ~。
あらすじ
彼岸花を採りに砂浜にやってきた島の少女・游娜(ヨナ)は、
白いワンピース姿で倒れていた少女を見つける。
記憶を失っていた少女は、海の向こうから来たので「宇実(ウミ)」と名付けられた。
この島では、〈ニホン語〉と〈女語(じょご)〉、二つの言語が話され、
白い服装のノロたちが指導者、歴史の担い手、司祭だった。
宇実は游娜 、その幼馴染の拓慈(タツ)という少年に〈ひのもとことば〉を教え、〈女語〉を教わって仲良くなるが、やがて進路を選ぶ時期がくる。
「成人の儀」にのぞむ3人それぞれの決意とはーー
国籍・言葉・性別などの既存の境界線を問い直す世界を描いた問題作。
日本語母語話者ではないというハンデを全く感じさせない文章はもちろん(そりゃそうだ)、日本語母語話者ではないからこそ書けるものがふんだんにちりばめられた小説だったように感じます。
『彼岸花が咲く島』の感想・レビュー
最初に書いたように日本語と中国語と沖縄弁が混ざっているような文章が会話でたくさん使われているので、"言語としては"たぶんすごく読みにくいはずのに、ストーリーがするする展開されていくからか、とっても読みやすかった。
まず言語大好き人間としては、とにかくたまらなかった……というのが最初にくるかなあ。わたしはピジンとかクレオールに強い関心があるので、登場人物の全会話にときめくことができました。「二ホン語」と、「ひのもとことば」と、「女語」と……。すごいよ、規則性がちゃんとあって。
あらためていうけどこの作家、李琴峰、母語は日本語じゃないのよ。なんだこのすごさは。圧倒されます。
ストーリーもとっても良かったです。も~!も~!も~!となる(語彙力)。登場人物たちのいじらしさよ。彼らの成長物語としてはもちろん、これまでとこれからの、日本やその周辺の国々についての話、最後の方で明かされる彼岸花が咲く島の秘密、女二人の決断、どれを取っても満足いく読後感でした。
島の文化一つ一つに妙に説得感があって、というか、なんだか本を読んでいる現実の世界と本の中にある創作の世界の境界線がすごく曖昧で、だからこそなんだろうけど、読後しばらくは、本の世界に浸れる贅沢な時間を過ごせました。
ちょっと詠みます。
立ち向かうあなたとわたし永遠に赤にさきわう島の未来に
『彼岸花が咲く島』の感想・レビューのまとめ
言語に興味関心がある人
文化人類学に興味関心がある人
いつもと違う世界に浸りたい人
ぜひぜひ読んでみてください。心地よい異世界へ、いってらっしゃい。
『彼岸花が咲く島』が“はまった”あなたにおすすめの本
『独り舞』
李琴峰のデビュー作。なんと群像新人文学賞優秀作◎
日本に生きるマイノリティとしての視点で描かれる人生。
『生を祝う』
こちらも李琴峰の作品◎芥川賞受賞後、初の新作。
「出産前に胎児の同意を得なければならない『合意出生制度』が法制化された近未来の日本」という設定が気になります。
『コンビニ人間』村田沙耶香
「アイデンティティ」がテーマという点では、こちらもおもしろいかなと思います◎
他にもいろいろ、おすすめの作品!
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