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映画『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』感想・レビュー(ネタバレあり)

※この記事には広告リンクを含みますが、内容は一視聴者としてのリアルな感想です◎気軽に読んでもらえたらうれしいです。

※この記事は、過去に別ブログで公開していたものを加筆・修正して再掲しています◎

今日は映画『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』。

この記事にはネタバレが含まれますのでご注意ください。

※自分なりに詳しくまとめてみましたが、間違っている情報があったらごめんなさい。 恐れ入りますが、お知らせいただけますと幸いです。


 2019年の終わりに観てはまり、2020年で13回、映画館で観ました。だって、DVD化されるかわからなかったんだもの……。(無事、最高の形で円盤化していただき……買いました。)

 中国の漫画家・アニメ監督であるMTJJを中心に制作されたアニメ作品。原作は漫画・Webアニメで、本作はその前日譚にあたります。スピンオフ漫画『藍渓鎮』というコンテンツもあり、沼ることまちがいなしの中国アニメ。

 日本在住の中国人向けに上映されたもの(日本語字幕てきとうなやつ)が瞬く間に人気になり、これだけの豪華声優で吹き替えが作られたり、最新字幕版が作られたりして、各地の劇場でお披露目されてるのすばらしいよね。 



『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』の紹介とあらすじ

概要

  • タイトル:『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』

  • 監督:MTJJ

  • 公開年:字幕版は2019年、日本語吹き替え版は2020年

  • 制作国:中国

  • 配給:チームジョイ株式会社、アニプレックス(日本)

  • その他:WEBアニメ『羅小黒戦記』の前日譚。

 タイトルの読みは「ろしゃおへいせんき~ぼくがえらぶみらい~」。
 「ロ・シャオヘイという黒猫の妖精の戦記」という意味です。

 また、中国語版では「罗小黑战记」、英語版では「The Legend of Hei」。
主人公の名前「羅小黒」の英語表記が「Luo XiaoHei」であることから「LXH」と略されることも。

 わたしは本当にこの映画が大好きすぎて、『羅小黒戦記』のためだけのTwitter(現X)アカウントをもっているのだけど、(そしてそういう人、たくさんいるのだけど、)わたしも界隈のみんなもアカウント名にだいたい「lhx」が入ってるね(どうでもいい)。  

あらすじ

シャオヘイは師匠・ムゲンとともに、村で穏やかな日々を送っていた。

それから2年後、 徐々に人間の世界での生活にも慣れてきたシャオヘイのもとに、突如として妖精会館が何者かによって襲撃されたとの報せがくる。
ムゲンとシャオヘイは任務の要請を受け、会館へ向かうが…

迫りくる突然の試練、そして、思いもよらぬ敵を前に、
シャオヘイは大きな選択を迫られる——。

「羅小黒戦記」 


主要キャラクター(主観入り)

◎小黒(小黑  Xiǎo hēi/シャオヘイ) 声:山新/花澤香菜
霊から生まれた黒猫の妖精。何事にも一生懸命でとても素直な性格。負けず嫌いで挑戦的な態度とのギャップが推せる。わかる。猫耳としっぽが生えた人間の少年や、大きな化け猫に変化することができる。6歳。

霊属性は金属性と空間系(霊道と領域)
・金属性:金属を自在に扱うことができる。
・霊道:ヘイショと居場所を交換できる(?)。
・領域:すべてを自在に操ることができる霊域を、球体の空間として外部に作り出すことができる。
※「霊域」とはちなみに、ムゲン様曰く「だれもが心の中にもっており、訓練することでその域を広げたり、好きにデザイン?することができるもの」とのこと。

◎嘿咻(黑咻 Hēi xiū/ヘイショ・ヘイシュ)
 小黒のしっぽにくっついている(?)まっくろくろすけのような生き物。 「ハイン」「ヘイショ」と言いながらニコニコしている。小黒と居場所を交換できる(?)


◎無限(无限 Wúxiàn/ムゲン) 声:劉明月 / 宮野真守
妖精のような、仙人のような、実は人間。妖精たちの居場所である「館」の執行人。「最強の執行人」と呼ばれ妖精にも恐れられている。にもかかわらず、たまに見せる間抜けな表情がわたしたちの母性をくすぐる……よね。好……。Weiboにおいて、『羅小黒戦記』公式アカウントが彼は437歳だと明かしている。

霊属性は金属性と空間系(己界)。小黒と同じ属性だね。良いね。最高だね。
・金属性:金属を自在に扱うことができる。
 ※水とも相性がいいので、水も多少操れる。(陰陽五行論)
 ※火との相性が悪いので、料理めちゃ下手。(かわいい)
・己界:空間を切り取って操る?ことができる。
 また、物を霊域に取り込むことができる。
 ※相手の能力を見抜くこともできる? 


◎風息(风息 Fēng xī/フーシー) 声:郝祥海 / 櫻井孝宏
黒豹の妖精。優しげな表情の合間に時折見せる影がたまらん。故郷を追われ、“人間に忘れ去られた場所”で暮らしている。

声優の話になるけど、櫻井さんがインタビューで「フーシーは完全に悪役ではないんですよね……。だから声音も悪役のそれとは違うものにしました。」というようなことを言っていたのよね。たしかに、苦悩の込もった苦しげで悔しげな吹き替え版は本当に聞く価値あり

霊属性は木属性、生霊系(強奪)。
・木属性:木を自在に操ることができる。
・強奪:他人の能力を奪うことができる。
 ※奪われた能力が空間系だった場合、霊域も奪われるため命も落とす。
 ※奪われた能力が空間系以外の場合、訓練すれば再び使えるようになる。


◎虚淮(虚淮 Xū huái/シューファイ) 声:夏侯落枫/斉藤壮馬
氷の妖精。池の上に立ち“気を集める”。とても冷静で風息の良き理解者。
冷たいようで、実は胸の内にいろいろな思いを秘めているところがすごく良いです。

霊属性は氷属性。
・氷属性:氷を自在に扱うことができる。
 ※精霊魚を放つこともできる。


◎洛竹(洛竹 Luò zhú/ロジュ) 声:叮当 / 松岡禎丞
耳がとがっている妖精。人情味あふれる朗らかな性格。風息や小黒への声かけにママみがある。大変良い。

霊属性は風息と同じ木属性。
・木属性:木を自在に扱うことができる。
 ※虚淮の放った精霊魚に「種霊」を食べさせ、監視カメラのような働きをすることができる。


◎天虎(天虎 Tiān hǔ/テンフー) 声:図特哈蒙 / 杉田智和
虎の妖精。丸っこくてかわいいけど、意外と素早い動きをする。無口ながら、小黒にお肉をふるまってあげたりと優しい一面も。 杉田智和という豪華な声優を掴まえといて、「おにく」「おさけ」しか言わないんだから、なんて贅沢な配役よ。

霊属性は火属性。
・火属性:火を自由に操ることができる。(ゆえに料理が上手)(かわいい)


※キャラクターや用語、WEBアニメや漫画などの周辺情報についてさらに詳しく知りたい方は、以下のサイトさんや記事が参考になると思います。すごい勢いで網羅されています。
羅小黒戦記FANWIKI
羅小黒戦記 沼への手引き

※能力についてより詳しく知りたい方は、上の羅小黒戦記FANWIKIさんと合わせて、以下の記事もとても参考になると思います。
C.U.tmr's blog:『羅小黒戦記』のススメ〜劇場版ネタバレ解説編〜 

監督について

原作であるWEBアニメ、本、映画ともに、手がけたのはMTJJ。中国語では木頭(木头)Mùtouという表記なのだけど、意味はなんと「愚鈍な人」。
高校時代、ボーっとしていたことでつけられたニックネームなのだそう。

 アニメプロデューサー兼監督であり、本映画制作会社である「北京寒木春華動画技術有限会社(通称HMCH)」の創設者でもある、“木头”からは程遠い人物。なんと多才な。

 また1984年生まれと、比較的若手なのでは?? ちなみにMTJJのMTは木头の発音「Mùtou」から、JJはネット上に「木头」という名前の人がたくさんいて被るので単に付け加えたそう。

 あと、監督自身が二次創作にとても寛容な考えをもたれているので、才能あふれるオタクたちが腕を振るっているのも『羅小黒戦記』界隈の良いところかもしれません。本当にみんなすごい。わたしもどれだけ同人誌を買ったことか……。ただし、自作グッズの販売はNGとのこと。ネットプリントを活用したシールとか、交換とか、利益が発生しないやりとりなら大丈夫みたいです。  

『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』の感想・レビュー

 まず言いたいことは、中国アニメ、侮るなかれ! 周りの人に『羅小黒戦記』をおすすめすると「……中国?」って怪訝な顔で聞き返される確率高いんだけれども……。

 かく言うわたしも、日本のアニメが、世界で一番だって思ってた……。だけどいやこれ、世界一ってもはや言えないのでは?中国に限らず他国のレベル、えげつないのでは?っていう、消費者にもかかわらずちょっと焦るくらいすごいです。観る人が観たらまた違うんだろうけど。

 登場人物の心の動きが細やかに描かれていて、伏線が綿密に張られていて、それでいて大胆なアクションシーンもあり。中国の文化が垣間見られるのも魅力的。何度見ても新しい発見があって、本当に癒されるし、毎回心が動かされる。  

すばらしいポイント①小黒と無限の関係と本国キャッチコピー「不再流浪」への帰着

「犬猿の仲だったのが、しょうがなく、自分たちの意に反してともに過ごしていくうちにだんだん親しみや尊敬の感情を抱いてしまい、最終的には自分でも気がつかない間にかけがえのない存在になっている」って、まじで完璧な王道ストーリーじゃないですか?437歳と6歳の、それも人間と妖精の心が通い合う物語。最高か。最高以外の何物でもないわ。どれだけ摂取しても供給過多にならない。すごい。 そもそもの始まりが無限様の勘違いというのも推せる。完全に成敗の対象かと思ったら全然違ったわ~からの、今まで手荒く扱ってしまったし今更素直に謝れないわ~からの、罪滅ぼしに能力を見て教えてやってもいいよの流れよ。クールな表情をしつつも、どこか抜けていて素直になれない「最強の執行人」……437歳……。 そして何より、そんな無愛想強面最強の執行人に対して挑戦的な態度で臨む小黒の気持ちの強さ。これは大物になります。逃げようと試みたり、何でも舐めちゃったり、なんだかんだしつつも、教えてもらったことを素直に受け止めてどんどん成長していく様がなんとも……無限をどんどん信頼していく、一方で最初に信頼していた風息への思い、敵だと思っていた人間への思い……。幼いながらも、たくさんの出会いの中で生まれる心の葛藤、そしてその描き方がまた丁寧で……。 特に好きなのが、ガソリンスタンドで給油中、バイク(というか原付)の前かごでよだれ垂らして寝てる小黒を見てホテルで過ごすことを決めた無限の思いと、そんな無限のお腹に飛び乗りホテルにはしゃぐ小黒、そしてそれぞれのベッドに寝転びながらの二人の会話。「なあ、小黒」って。「風息は悪人じゃない。まあ、あんたも悪人じゃないけど」って言って布団にくるまる小黒の可愛さ。そしてそれに目をぱちくりさせた後ほほえむ無限……。 あとそこから、龍游について、人ごみの横断歩道の中の無限の「おいで」は良すぎて一回失神するかと思った。はい。 挙げだしたらきりがないけど、あと、列車が襲われて小黒が連れ去られたときの「小黒には私しかいないんだ」って言う無限の気持ちたるや……。いつでも冷静沈着な最強の執行人の焦った表情に、周りが一番焦っただろうな。愛の大きさ……。たまらん。 小黒と無限の関係の中では、最後の「師~~~~匠~~~~~!」が一番泣けるけど、好きなシーンと言われるとホテル前後の流れかもしれない。二人の関係のターニングポイントというか。ぐわっとなる。 でさ、最後に中国での映画のキャッチコピーである「不再流浪」への帰着なんだけどさ、いや、帰着と言うと、映画あってのキャッチコピーなので因果関係が逆なのかもしれないけどさ、でもこの、まさに「不再流浪」なのよね。このキャッチコピーの秀逸さよ。 一目散に胸に飛び込んできた小黒を抱きとめて、 無限「本当にわたしと旅を?住む場所が欲しかったんじゃないのか?」 小黒「ううん、師匠と一緒がいい」 無限「わかった(微笑みながら)」 ……こ、これが「不再流浪」……。もう、居場所を求めて旅をする必要はない、なぜなら、師匠と言う居場所があるから……。 ああ……。  

すばらしいポイント②小黒と風息の関係、そして風息の企み

まずさ、風息の企みだよね。人間に復讐するための周到な計画。そして、そうとは知らず風息を信じてしまう小黒。この二人の関係が本当に切ない。 〈風息の企み〉 (あくまでも憶測だし、いろいろな人が言っていると思うけど……)

  1. 小黒が空間系の能力「領域」をもっていることを何かで知る。

  2. 仲間である阿赫(アクウ)の人を操る能力で、人間に小黒を襲わせる。

  3. 小黒、絶体絶命…のところに自身が助けに入る。「仲間だよ」

  4. 小黒の能力である「領域」で妖精だけの楽園を作る。

  2のところ、映画前半で小黒がうつろな目の人間に襲われるの、なぞだったよね。これはたぶん、映画後半、列車の中で人間を意のままに操っていた金髪の妖精、阿赫(アクウ)の能力を使って襲わせていたんじゃないかと推測。人間の目のうつろさが同じだしね。でも、この憶測が本当だとしたら、風息、ものすごい覚悟で計画していたんだろうなと。何なら風息たちが暮らす離島に行った時、すでに小黒サイズの服も、小黒サイズの寝床も用意されていて……。その小さい服は、風息、あなたのお下がりですか……?泣、みたいな。しかもしかも、これも他の人も言っていると思うけど、上記3のあと、たぶん風息が「小黒」って名付けてるんだよね。風息が小黒を助けたとき、「名前は?」って聞かれて答えなかったのに、そのあとすぐ「おいで、小黒」って風息が呼んでるんだよね。小黒も小黒で、最初、無限に名前を呼ばれたとき、「気安く呼ぶな」って怒ってる。 住処を奪われ、季節が巡るほど放浪した小黒を最初に助けてくれた命の恩人が、一言で言えば「敵」だなんて……。領域を奪われる前、最初の頃と明らかに違う風息に対して、「怪我はない?」って、風息が小黒に一番最初にかけてくれた言葉じゃん……。泣く……。からの、「だから僕に優しくしてくれたの?」と泣きそうな小黒と、なりふり構わず自分の計画を実行しようと覚悟を決めた風息の温度差にまた泣く……。挙句、最後まで取りつく島もなく、ほぼ小黒自身のせいのような形で命を絶ってしまう、木になってしまう風息……。めちゃくちゃ号泣なんですが……。しかし、そこからの切り替えが早かったのはさすが6歳児だなって思ったりもした。空飛んで、哪吒(ナタ)との件よ。かわいい。にしても、小黒が受けたダメージは大きいだろうな~と。今後、無限という師匠との修業が始まるわけだけど、ことあるごとに風息の姿がよぎるんだろうな・・・・・・とか思うと本当にもう、どうしても消せない風息の存在は、これまでもこれからも非常に大きいという点で、この二人の関係と、その発端である風息の企みは胸を打つものがある。ね。  

すばらしいポイント③後半、小黒が風息に奪われてからの怒涛の展開とそれぞれの思い

何よりも、覚悟を決めてしまった風息が謝りながらも小黒の領域を奪う場面、もう何と表現したらいいのか。小黒を大事に思い、そして風息を大事に思っているから、慕っているからこそ必死に止めようとする洛竹の「風息!風息!やめてくれ!俺が説得する!風息!」の切羽詰まったセリフ。そして、そうやって止めようと踏み出す洛竹の腕をつかんで離さない虛淮。それを悲しそうな顔で見つめる天虎。この離島組4人のそれぞれの思いが交差する場面が本当に辛くて辛くて……。虛淮はわかっていたのよね、いずれこうなるだろうことは。だから、小黒が仲間になった時、歓迎会で洛竹のように花を見せたりしなかったし、必要以上に話しかけもしなかった。仲間になってしまえば、お互いに辛い思いをしなければならなくなるってわかってたから……。風息によって領域を奪われた小黒を抱えて逃げる虛淮だったけど、わりとすぐに無限に投げてよこすんだよね……。虛淮なりの優しさだったのかなと思うとまた……。 このあと彼らは、無限が言うように「牢で長い時間(とき)を過ごす」のだろうけど、どんな言葉を語り、どんな思いで一人牢での時間を過ごしていくのだろう……。風息を失った悲しみはもちろん、風息を止められなかった後悔、あるいは風息の、自分たちの願いが叶わなかった悔しさ、人間への憎しみ、果てのない喪失感……。 それでも救いがあるのは、映画の中だけではわからないのだけど、風息の魂が宿った木が、哪吒が言ったような「木材」にされることなく、風息公園として大事にされている所よね……。これは、公式が供給してくださる絵なんかからもわかるはず。牢から出た洛竹や虛淮がいろいろな思いでその木を見上げる二次創作をいくつ見たことか……そしてそのどれもに胸を詰まらせました……。  


『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』の感想・レビューのまとめ

というわけで、3つのポイントに絞ってレビューしてみましたちなみに、無限と風息の関係については、これはもう言わずもがなすぎてあえて書いてない。ここはもう沼……。 登場人物の心の動きが細やかに描かれていて、伏線が綿密に張られていて、それでいて大胆なアクションシーン。何度見ても新しい発見があって、本当に癒されるし、毎回心が動かされる素晴らしい映画です。 まだ観てない人はぜひ観てね。


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