生成AIを使っているつもり問題について。
行政主催の市民向けの連続AI講座をやった、参加者は30名。
年齢も目的もバラバラ。仕事の人もいれば、趣味の人もいる。こういう場では、どうしても内容は導入編になる。それでも、ツール紹介やプロンプト芸ではなく、実践的な使い方や考え方の話は伝えられたと思う。
その翌日、別の場所で少人数のAIワークショップを開催した。
両方とも事前に、AIの利用度や聞きたいことをヒアリングしていた。
そこで改めて感じたことを残しておく。
多くの人が「生成AIを使っている」と答える。
でも、その中身とレベルはかなりバラバラだということ。
実際には、Google検索とほとんど変わらない使い方になっている人がかなり多い。
ChatGPTは使っている。
でも、基本は無料枠。
パーソナライズ設定もしていない。
プロジェクト機能も使っていない。
質問を投げて、答えを読む。それだけ。
自分の感覚から言うと、それはAIを使っているというより、AIを触っているだけに近い。
検索の一部を委託しているだけ。
思考の一部を外注しているだけ。
iPhone登場時のスカウターやライトセーバーアプリに近い
物珍しさでエンタメ感覚で消費して終わる。
依頼の仕方も、設定も、生成AIをまだ使っているレベルではない。
ただ、そこを少し説明するだけで参加者からは毎回、驚きと感謝をもらう。それだけ、まだ入口にすら立っていない人が多いということでもある。
もう一つよくあるパターンがある。
ChatGPTは有料にしている。
でも、基本設定ができていない。
GPTsも知らない。
1日の制限や画像生成をたくさんしたいから有料にしている。それだけ。
これは正直、かなりもったいない。
パーソナライズを設定する。
プロジェクトを作る。
GPTsを使う。
ここまで来て、ようやくAIを自分の道具として使い始める入口に立つ。
ただ、もっと根本の問題は別にある。
多くの人が「どういう意思でAIを使うのか」を考えていない。
ここは本当に年齢関係ない、自分の実感値と危機感は正しいと
残念ながら思えてしまう。
だから
どういう前提でパーソナライズするのか
プロジェクトをどう設計するのか
GPTsをどう使うのか
そこが見えてこない。
インプットだけしても意味がない理由もここにある。
アウトプットが先にあると、それを実現するために必要な使い方が見えてくる。
だから自分の講座では、プロンプトはほとんど教えない。
そんなことより先にやることがある。
6W2Hを整理すること。
何をやるのか
なぜやるのか
誰のためなのか
どう使うのか
AIの前に、思考の型を持つこと。
まずそこから。
言語化の流布師として、ここは徹底して伝えていきたいと思っている。
表面的には、AIを使っている人や企業は増えている。
昨年末の段階でキャズムを超えて約3割が生成AIを使用している
というニュースも出ていた。
ただ、現場の感覚としては、本質的に使えている人はまだ1割程度。
触っているだけの人が大半。多くのAI講座を経てそんな印象の方が強い。
そしてもう一つ感じるのが、類友の世界。
AIを使っていない人の周りには、同じレベルの人が集まりやすい。
逆に使っている人の周りには、使っている人が集まる。
だから行動範囲を変えること。
別の環境に飛び込むこと。
越境すること。
これはかなり重要になる。
それともう一つ。
AI講座を一度聞いたからといって、人はほとんど変わらない。
次に行動に移す人は、おそらく3割程度。
そこから継続的に使い続ける人は、正直5%もいないと思う。
これはAIに限らず、これまでの行動変容の法則とあまり変わらない。
だから自分は、AI講座をやる場合できるだけ2回以上を条件にすることが多い。
最低限理解する。
課題を出す。
触ってみる。
宿題を持ってくる。
この流れを作らないと、人はなかなか動かない。
日々の生活は忙しい。
よほど強い意志がないと、AIを我流で使いこなしていくのは難しい。
自分の場合は、独立して一人で仕事をする環境になった。
AIに頼らないと回らない。そして目の前に産業革命が見えている、IT革命、動画革命を経験してきたからこそ、乗り遅れずに、AIは全ての領域に侵食してくる、その危機感があったから、行動に移すことができた。
普通の会社員の場合、AIを使わなくても今すぐ困らない人も多い。だから腰が重くなる。これはある意味、仕方ない部分でもある。
ただ、このままいくとかなりはっきりした二極化が起きると思う。
感覚的には
2 : 6 : 2の法則と同じ
AIを使いこなす2割
触っているだけの6割
触らない2割
そんな構造に近づいていく。
そして、AIを使いこなす2割とそれ以外の人では、話が合わなくなる。
同じツールを使っているのに、見えている世界が全然違う。
そんな状態が、これからどんどん増えていくと思う。
ただ、最後に一つ。
AIを触ればいいわけではない。
むしろ逆。
AIが進化するほど、人間の思考とコミュニケーションの差が、
そのまま結果の差になる。
AIは考えてくれる。
AIは整理してくれる。
AIは資料も作ってくれる。
でも
何を聞くのか。
何を決めるのか。
誰と進めるのか。
そこは人間の領域のまま。
だからAI時代に必要なのは、プロンプト力ではなく
問いの力
言語化する力
そして人と動かす力。
AIを触っている人は増えた。
でも、AIを本当に使いこなしている人はまだほんの一部。
これから数年で、この差はかなり大きく広がると思う。
AIを使いこなすかどうかではない。
人とAIの役割・領域を理解して、分けてどう使うか。
そして、誰と使うか。
自分の事を理解しているか
難しい言葉でなくていい、言語化できているか。
結局最後は、そこに戻ってくる。
