青春の一ページに私を植え付けて
青い春
蒼い
少しでいいから、私をあなたに植えたい
あなたの記憶は、誰か暮らしている
私が、入り込む隙間がない
彼は、頭を掻いていた
ごめんなさい
でも、もうすぐ
終わらせるから
我慢して……
彼 : まぁちゃん
まぁちゃん : なぁに……

二話 まぁちゃん
あの人が、名前を呼んでくれた
私の名前を呼んでくれた
やっと、気づいてもらえた
秀 : まぁちゃん、今まで気にしてなかった。本当は気にしてた。彼氏がいると思ってた。存在自体が不思議な感じの子。やっと声をかけた
秀 : あの、何を話せばいいんだろう
まぁちゃん : 彼女いるもんね。あっ、ごめん。ちょっと脳内に記憶を埋め込ましてもらった。そうしないと、そうでもしないと、絶対声をかけてくれない
秀 : ごめん。ほんとにごめん。勇気がなかったんだ
まぁちゃん : それなら、私の存在は、誰も見つけてくれないの?
秀 : もう、とっくに見つけてた。君より先に見つけてた。遅れてごめん。やっと言うよ
秀 : ずっと好きでした。だから、他の人は見ないで
秀 : まぁちゃん
まぁちゃん : なぁに……

第三話:普通
秀のまぁちゃんレポート
まぁちゃんの授業中
黒板の文字を書いている。必死に書いてる。消しゴムで字を消してる。間違えたんだな。窓を見てる。ボーっと見てる。えっ、他の男子がまぁちゃんを見てる。彼女、気づいてない。あの伏し目がちで物を見る仕草が色っぽいんだよなぁ……
あっ、俺の顔見て、クスッと笑った。また、黒板を見て授業を聞いてる。髪を触ってる。先生に当てられた。まぁちゃん、立ち上がって、答えてる
先生 : 水森、次の問題も答えるか
まぁちゃんは、普通に答えてる
ちゃんと、正解を答えてた
席に座った
キンコンカンコン
授業が終わった
女の子と喋ってる
彼女、笑ってる
友達も笑ってる
まぁちゃん : じゃあ、またね
まぁちゃん : 秀くん、待った?
秀 : 待ってないよ。鞄持つよ。一緒に帰ろう
女子達が、一斉に俺を見た
俺の顔を、他の男子は、睨んでる
まぁちゃん : うん。帰ろう
秀の心の声
まぁちゃんは、気づいているんだろうか?
でも、普通にしてるのに目立つんだよ

第四話 花火大会
彼女の浴衣は紺色だった
彼女の白い肌にとても似合ってる
彼女の髪は三つ編みで丸まっていた
そのせいか頸がとても綺麗だった
僕は見惚れた
まぁちゃん : 「草履の鼻緒が痛いの」
その言い方が艶めかしい
秀 : 「今日の花火大会は、中止だから……」
まぁちゃん : 「なんで、行かないの?」
僕は、まぁちゃんを誰にも見せたくなかった
手を引っ張って、自分の部屋に連れて行った
そして、彼女を無理矢理押し倒した
まぁちゃんは、何も言わなかった
まぁちゃんは、ただ黙って僕を見つめていた
彼女の肌は白かった
そして、柔らかかった
秀 : 「花火大会、行けなかったな」
まぁちゃん : 「そうだね。鼻緒のせいね」
彼女は僕を見つめていた
僕だけの、まぁちゃん

第五話:元カノ登場
私は、秀の元彼女、沙織
いきなり秀から、別れてくれと言われた
なんで別れなきゃいけないのと、聞いたけど、彼は好きな人ができたの一点張り
こんなの、納得いくわけないでしょ
相手はあの女、まぁちゃん
絶対に、許さない
沙織 : 水森さん、話があるんだけど。秀を返してくれる?
まぁちゃん : ごめんなさい。それはできない。私も好きだから
沙織 : 私の彼よ、奪ったのは、あんたよ
まぁちゃん : 私も、彼が好き。だから、譲れない
沙織 : どうやって、秀に近づいたの?
まぁちゃん : …………
やめろー
秀がやって来た
秀 : 俺が好きなんだから、彼女をいじめるな
まぁちゃん : 秀の目線に入るようにした。秀が私を知ってるのか、知らないのか、それさえもわからなかった。気持ちをうまく伝えられなかった。これでダメだったら、諦めようと思ってた。それしか、できなかった
まぁちゃん : ごめんなさい
まぁちゃんは、走り出した
秀が追いかけて、捕まえた
まぁちゃんを、抱きしめた
秀 : 嫌な思いさせてごめんな
まぁちゃんは黙ってうなずいた

第六話:離れちゃった
それから、数年後
二人は、別々の大学に行った
まぁちゃんと秀は、今も付き合ってる
まぁちゃん目当ての男が、近づいてくる
まぁちゃんは、そんな男たちを、見向きもしなかった
それは、まぁちゃんが、秀しか見てなかったから
時々、まぁちゃんは、新幹線に乗る
秀に会うために、新幹線に乗る
秀 : 今日、泊まるだろ
まぁちゃん : うん。荷物持ってきた
秀の部屋で、まぁちゃんは、ご飯を作ってる
秀 : 今日のおかずは、なに
まぁちゃん : 麻婆豆腐です
秀 : 君の麻婆豆腐は、絶品だからな
まぁちゃん : そんなことないよ。焼肉のタレを、使ってるだけだよ
秀 : それが、美味いんだ
秀 : 今日は、一緒に寝るんだぞ
秀 : わかってるよな
まぁちゃん : えっ、何のことだろう?
秀 : 何のことだろうね
まぁちゃんは、僕の瞳を、映し出していた
まぁちゃん : 優しくしてね……
秀 : 風呂も、一緒だからな
まぁちゃん : わかってる
風呂上がり
秀 : ビール、飲むか
まぁちゃん : 少し飲む
まぁちゃん : やっぱり、ジュースがいい
秀 : お子ちゃまだからな
まぁちゃん : やっぱり、ビール飲む
二人は離れても何も変わらない
愛しい大学生活の一場面である

第七話 : 結婚式
秀が、就職した
まぁちゃんも、就職した
二人は、別々の場所で働いている
月に2度会えたら、いい方だった
それでも、二人は別れなかった
秀が、まぁちゃんに会いに来た
秀 : 「まぁちゃん」
まぁちゃん : 「なぁに……」
秀 : 「もうそろそろ、結婚しようか?」
まぁちゃん : 「……うん」
秀 : 「何年、付き合ったんだろう?」
まぁちゃん : 「高校2年の時だから、6年は付き合ってるよね」
秀 : 「長かったなぁ。もっと早く、結婚すればよかった」
まぁちゃん : 「私の方が、長かった」
秀 : 「俺の方が、長いと思う」
まぁちゃん : 「私は、中学から秀が好きだった」
秀 : 「なんで、黙ってたの?」
まぁちゃん : 「言えなかった」
秀 : 「言ってくれたら、よかったのに」
まぁちゃん : 「そうだね。言えば、よかった」
僕らは、近親者のみで結婚式を挙げた
チャペルのベルが、響き渡っていた
学校のチャイムが、一瞬聞こえた
キンコンカンコン キンコンカンコン
まぁちゃんは、相変わらず綺麗だった
全ての事が、青春の1ページだった
(完)
