MAZDA3の6ATは古いのか?欧州車との比較から見えてくるマツダの選択
MAZDA3の6ATについて書くと、必ずと言っていいほど意見が分かれる。
「6速しかないのは時代遅れ」
「ZF製8ATやDCTの方が優秀」
「変速速度も制御性能も敵わない」
確かにその通りだと思う。
現代のトランスミッション技術は大きく進歩している。
BMWなどが採用するZF製8ATは、変速速度、燃費性能、レスポンスのいずれも非常に高いレベルにある。VWグループの湿式DCTも同様だ。
絶対性能だけを比較すれば、MAZDAの6ATが最先端とは言い難い。
では、マツダは6ATしか作れなかったのだろうか。
私はそう単純な話ではないと思う。
もちろんマツダはトヨタやフォルクスワーゲングループのような巨大メーカーではない。限られた経営資源の中で開発を行っていることは事実だ。
しかし、だからといって「仕方なく古い技術を使っている」とも感じない。
実際のMAZDA3に乗ると分かるが、このクルマはトランスミッション単体の性能ではなく、車両全体の調和を重視しているように見える。
ステアリング、シート、ペダル配置、ボディ剛性、サスペンション。
それらを含めて、一つの運転感覚を作ろうとしている。
その中で6ATもまた、一つの部品として調律されているのだろう。
興味深いのは、日本の日常速度域である。
日本の道路は高速道路でも100〜120km/h程度が中心で、市街地では30〜60km/hの領域が大半を占める。
こうした環境では、ZF製8ATや最新DCTの優位性を感じる場面ももちろんあるが、その差が常に大きく現れるわけではない。
むしろドライバーが日常的に接するのは、
「発進」
「交差点」
「渋滞」
「再加速」
といった場面だ。
MAZDAの6ATは、そうした領域で予測しやすく、自然な挙動を見せる。
これは最新技術に勝っているという話ではない。
方向性が違うという話だ。
欧州メーカーが技術競争の中で到達した答えと、マツダが車両全体の調和を重視して到達した答え。
その違いが、MAZDA3というクルマの個性になっている。
6AT単体で見れば古いと言われるかもしれない。
しかし完成車として見ると、多くの欧州レビューが高く評価する理由も理解できる。
私には、MAZDA3は「最新スペックを競うクルマ」というより、「運転感覚を磨き込んだクルマ」に思えるのである。
