契約書管理をAIで仕組み化した全手順 〜ドラフト作成・ダブルチェック・台帳・自動見張り〜
こんにちは、ひまりです。動物系専門学校でグルーミングを教えながら、動物系サロン向けのAI活用支援をしています。
はじめに: 契約書、ずっと後回しにしていました
業務委託の話が出るたびに、ネットで拾ったひな形を眺めては「これで大丈夫なのかな」とモヤモヤする。更新期限の管理も、正直あやふや。かといって、毎回弁護士さんに頼むほどの規模でもない。
そんな「契約書との微妙な距離感」を、AIで仕組み化してみたら想像以上にうまく回ったので、全手順を書き残しておきます。
完成形から見せます: 4点セット
先に全体像です。作ったのは、次の4つがつながった「契約書まるごと管理エージェント」です。
①作成:契約書ドラフトをAIと対話しながら作る
②検証:別のAIが「ケチをつける」ダブルチェック
③台帳:Google Driveのスプレッドシートで期限を一元管理
④見張り:毎週月曜9時、AIが期限と法改正を自動チェック
使ったのはClaude Code。カスタムスキル+サブエージェント+Google Drive連携+スケジュール実行の組み合わせです。順番に説明します。
STEP1: 契約書ドラフトをAIと作る
まず、法務支援用のカスタムスキルをセットアップして、業務委託契約書のドラフトを作りました。ポイントは2つです。
①最初に「立場」を設定する
同じ業務委託契約でも、発注側(甲)か受注側(乙)かで、有利にすべき条項がまるで違います。スキルの初期設定で自分の立場を登録しておくと、以降のドラフトやレビューがすべてその視点で行われます。
②機密情報はマスキングする
相手方の名前や金額はプレースホルダーのまま作業します。AIに渡す情報を最小限にする設計です。
対話しながら埋めていくだけで、検収・知的財産・秘密保持・解除まで入った全16条+αのたたき台ができました。
STEP2: 「作るAI」と「ケチをつけるAI」を分ける
ここが今回いちばんのノウハウです。
作ったドラフトを、別のAIエージェント(品質検証官)に批判的にレビューさせます。作る側のAIは「うまく作ろう」とする分、自分の穴には甘くなりがち。そこで「穴を探すことだけが仕事」のAIを別に立てるわけです。
3回のレビューで、修正した箇所は15箇所以上。たとえば——
・発注側だけが契約を解除できる一方的な条項 → 双方が解除できる公平な条項に
・支払期日が「検収完了後」起算 → フリーランス新法の趣旨に合わせて「受け取った日から60日以内」に
・情報漏洩があっても賠償額に低い上限がかかったまま → 秘密保持違反は上限の対象外に
1人(1体?)で作っていたら、確実に見落としていた指摘ばかりでした。
STEP3: 契約書台帳をGoogle Driveに作る
契約書は「作って終わり」ではなく「期限を管理してこそ」なので、台帳を作ります。
Google Driveにスプレッドシートを1枚。列は「契約書名/相手方/契約タイプ/締結日/終了日/自動更新の有無/90日前通知日/30日前通知日/状況/備考」としました。
コツは、90日前・30日前の通知日をあらかじめ列として持たせておくこと。あとで自動チェックさせるときに、判定ロジックがシンプルになります。
STEP4: 週次の「自動見張り」を仕込む
仕上げに、毎週月曜9時の自動実行を登録しました。やることは4つです。
①Google Driveの台帳を読み込む
②今日を基準に期限を判定(90日・30日・7日前)
③関係する法改正をWeb検索でチェック
④結果をまとめてチャットに通知
ここでのノウハウは、スケジュール実行のプロンプトは「自己完結」で書くこと。スキルや過去の会話に頼らず、手順・ファイルの場所・通知先・書式まで全部プロンプトに書き込みます。自動実行は毎回まっさらな状態で動くので、これをやらないと安定しません。
そして初回のテスト実行で、さっそく成果が出ました。「下請法が取適法(中小受託取引適正化法)に変わった」という2026年1月施行の法改正を、AIが検知して通知してくれたんです。私が見落としていた改正を、仕組みが拾ってくれた瞬間でした。
やってみて分かったこと: AIは弁護士では ありません
最後に、いちばん大事なことを。
この仕組みがやってくれるのは「一次チェック」と「情報整理」までです。大事な契約の最終判断は、必ず弁護士・専門家に確認する前提で設計しています。AIレビューの結果にも、毎回「重要判断は専門家へ」と明記されます。
むしろ、AIで下ごしらえを済ませておくことで、専門家に相談するときの論点が整理され、相談時間を有効に使えるようになる——そういう位置づけがいちばん健全だと感じています。

おわりに
まとめると、手順はこの4つです。
①立場とマスキングを設定して、ドラフトをAIと作る
②「作るAI」と「ケチをつけるAI」を分けて、ダブルチェックする
③台帳をスプレッドシートで作る(通知日を列に持たせる)
④週次の自動見張りを自己完結プロンプトで仕込む
私は動物系サロン向けのAI活用支援をしているので、「うちのサロンでもこういう仕組みを作りたい」という方がいたら、お気軽にコメントやDMでどうぞ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
