上野勇希「焦点」を読んだよ /25.11+
好きな人が本を出しました。それってとっても嬉しいことだな。
本に携わるたくさんの人達の頭や手が働き、好きな人をどう発信するか考えてくれているから。
好きな人もまた、今まで知ってくれている人やこれから知ってくれる人に向けて、伝えること・表現したいことを外に向けた形にする時間を作ったり、今までの道程を振り返る機会を作ったりしている。
本ってどこから読んでも良いものだけど、本という物質として触れることは、その人の持ってる流れや思考の移ろいをまるっと受け取れるから良いものだと考えています。紙の本でも電子でも、そこは変わらないものです。
こんにちは。いつもありがとうございます。
DDTプロレスリング所属のプロレスラー、上野勇希さんが好きです。
便宜上、推していると言った方が大衆的なニュアンスが正しく伝わるかと思うのですが、自分の中では推しと言うよりは好きな殿方と称した方がしっくり来ているので、ここでは好きと言います。
「推し」って、2025年冬時点でなんかもうすっごい商業的な文脈が乗っちゃってて「命」とか「ファン」とかでもなくなっちゃってるじゃないですか。
話がそれました。
上野勇希さんが本を出しました。ここが一番大事なところです。
バイオグラフィーブック『焦点』!絶賛発売中!紙も電子もあります!
ところでバイオグラフィーブックってなんでしょう。
大まかにはフォトブックのような形式で判型のようなのですが。
バイオグラフィー(biography)
伝記。伝記文学。
でん‐き【伝記】
1 個人の生涯にわたる行動や業績を叙述したもの。「偉人の伝記」
2 古くから伝えられている事柄の記録。
[類語]評伝・伝・史伝・立志伝・武勇伝・列伝・本伝・外伝
なるほど!とっても「理解」をしました。理解したつもりになれているだけかもしれませんが、それはそれ!
本の中には上野さんがプロレスラーになるまでの軌跡を追った、生まれ故郷の八尾市でのロケ写真やインタビューがあるとのこと。
それってとっても気になっちゃうな!一体どういった人物が、どういった過程を経て、いまとってもかっこいいプロレスラーでいるんでしょうか!それってとっても伝記のまっとうにある姿だな!しびれる言葉選びをされているご本です、嬉しいことです。
ところでこの話はネタバレを含むので、まっさらな状態で本誌に向かいたい方はごめんなさい。一応なんですが写真については若干触れて、文章そのものについてのネタバレはあんまりないです。
※なおサイン本インスタライブおよび25/11/14のトークショーおよび25/11/28の特典会は未見なので、そのあたりで出たご本人のご意向と真っ向からぶつかる可能性があるのですが、それはそれとしてご容赦ください。
ページをめくると、抜けるようなすこんとした青空が広がっていて、おっ!いい撮影日和に恵まれていますね。と思った。運がいいって素敵なことだ。
大阪って西には海、そこから平野があって残り三方は山がある土地だ。東の山って海が真正面だからすっごく空が大きく見えるような気がする。
大阪の平らな部分がいい感じに一望できるポジション。遠くからでもうっすら存在感があるあべのハルカスに、そこから北へとゆくにつれて、ビルとタワーマンションの連なりがビジネス街の様相を示している。
これは全体を通しての印象なんですが、お写真を包む余白と、余韻をたっぷり含んだお写真達がとてもとてもいいなと思いました。
風景の中にいる上野さん、風景そのもの、上野さんがいる風景。そのいずれも光が含まれていて、今その瞬間だけじゃない時が閉じ込められている。
読者の私たちは撮影された瞬間も当時そこにいた上野さんの正確な姿形そのあり方も、ぴたり正確に答えることは不可能なはずなんだけど、撮影された場所の空気や音、温度を想起することは、できそうな気がする。
とても素敵なお写真達だなと思いました。
バイオグラフィーというよりは、思い出を見せて貰っているような、アルバムにおじゃましたかのような。
過去の体験に今の姿というレイヤーが重なったお写真があることで、時が進んでいることだけでなく、時は過去にも存在していたことが、なんだかほんわと立体的に浮かび上がっているような気がするのです。
たとえば古民家でのお写真は、幼い頃を振り返るタームと思うのですが。
読者の私個人としてはまた別のレイヤーとして、上野さんが以前出演していた「信長未満」という、時代を渡ってたくさんの兄弟が民家に暮らす物語のことも思い出したりしました。
モノクロのお写真がその場面だけ見開き全面に広がるところもあり、場所柄その道が持つ時代のタイムカプセル的な要素が相まって、ノスタルジーを強く打ち出していて印象的でした。
メイクの印象が変わって、融けるようなお写真が掲載されていたところも良かったです。
少年から青年へ。何者でもない子供からプロレスラーとしての自分へ。そういう過渡期というか、一人の人間という絶対としてあるものの中でも移ろいゆくもの移り変わるようなものが表現されているなあ、めっちゃ素敵だなあと思っていました。
言葉、言葉の話もしましょう!
ボリュームのあるインタビューの他にも、お写真の間やお写真の中に上野さんが言葉をひとつひとつ置いてくれているページがちょいちょいあるのです。
ぽつぽつとこぼすような、ゆっくり時間をかけて語りかけてくれているような。それが紙面に心地のいいリズムを生んでいて、めちゃくちゃいいな!と思いました。
語られていることは上野さんが上野さん自身にかける言葉のようでもいて、時々私たちや誰かにも向けられているようでいて。いろんな面、いろんな観測点、過去現在未来ほか様々な側面から考えて、広げて、転がして。
どの、何が正しいとかではなくって、好きなままに思うことを受け止めてくれるような、おこがましくもそういう広がりを持つ余白や余韻のある言葉や思考のまとまり達がすごくよいなと思ったのです。
故郷への旅を終えた先の、いまの上野さんの日常と非日常の日常のお写真。とってもぐっとくるのですが、これはあまり解釈とか前情報なしで紙面を見て欲しい!の気持ちがあります。
語ることが必ずしも悪いことではないのですが、「存在」の前にはどのような表現も太刀打ちできないなあ、この存在がまるっとそのままで届いて欲しいなあって思うこと、あるじゃないですか。そういう感じの気持ちになりました。
とっても私個人の話にはなるのですが、プロレスを好きであるところの一つに、「リングの上はハレの場であるのに、プロレスラーとは生きている人間であり生きている人間とは生活の中にあり、そういった陰も陽も入り交じったものが観客をも渾然と飲み込む空気および会場」にあると思っているので、すごくなんだか、しっくりきたところもあります。
いやー それにしても楽しいバイオグラフィーブックでした。
かつての上野さん自身を振り返りながら進む構成と合わさって、この本自体が今から過去に行きて帰りし物語なんですなあと思ったりもしました。そうではないかもしれませんし、そうであるかもしれませんが!
そう!とってもいい本でうれしかった!うれしーな!私はそれが言いたかったのです!うれしーとは一言ですが、うれしーとは星の数ほどあるのです。上野さんにもうれしー事がこれから銀河ができるぐらいあればいいなと思っていますよ!
ちなみにカバーをめくると、とっても素敵な遊び心にも触れることができるので一度めくってみましょう。電子でもカバー裏は収録されているので確認することができます!やったぜ!
焦点、とってもいいバイオグラフィーブックでした。
30歳、10年目のアニバーサリー的な側面もある時期に、こういった形になるものが出るのって、とっても嬉しいなといちファンは思います。
時は戻らないけど重なるものだ、と歌にもあります。
これからもいろんな出来事が重なって上野さんの思うものが願うように叶っていけばいいなという気持ちでいます。
次現地に行けるのは来年になってしまうので、インターネットから失礼します。いつもありがとうございます。それではまた🎡

