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【Marvell(MRVL)Q1 FY2027】神決算の先に何が見えたのか。“繋ぐ層”からAIファクトリーの“中核”へ進むMRVL

ついに、Marvell(MRVL)のQ1 FY2027決算発表があった。

今回の決算は単なる前回の「神決算の続編」ではない。

前回Q4 FY2026決算は、かなり分かりやすい神決算だった。

FY2027とFY2028の売上見通しが大きく引き上がり、MRVLがAIインフラの“繋ぐ層”として再評価されるきっかけになった。私自身も、AIインフラは「計算する層」と「繋ぐ層」に分かれていくと考え、計算する層はNVIDIA、繋ぐ層はMRVLやCRDOで押さえるという形で、自分のポートフォリオの中で整理していた。

その意味で、前回のMRVL決算は、「繋ぐ層」が独立した巨大市場になり始めたことを示す決算だった。

では、今回のQ1 FY2027は何だったのか。

私は、今回の決算で見えたのは、MRVLが単なる光DSPやインターコネクトの会社ではなく、AIファクトリーの中核設計に入り込む会社へ進み始めているということだと思う。

光DSP、DCI、AEC、retimer、CXL、PCIe、scale-out switch、scale-up switch、scale-up optics、custom XPU、XPU attach、NVLink Fusion。

これらを個別の製品として見ると、少し散らかって見える。

しかし、AIファクトリーという地図の上で見ると、かなり綺麗につながってくる。

GPUやXPUが増えるほど、チップ同士をつなぐ必要がある。ラック内でつなぎ、ラック間でつなぎ、データセンター間でつなぎ、さらにcustom siliconやNVIDIAのラックスケールAIインフラとつなぐ必要がある。

その“つなぐ”部分に、MRVLの事業がどんどん集まってきている。

今回の決算は、その構造がさらに一段明確になった決算だったと思う。


Q2’26 → Q3’26 → Q4’26 → Q1’27

・売上高:$2.006B → $2.075B → $2.219B → $2.418B
YoY:+57.6% → +36.8% → +22.1% → +27.6%
QoQ:+5.8% → +3.4% → +7.0% → +9.0%
Q1 FY2027の売上は$2.418B。QoQ +9.0%、YoY +27.6%。
Q2 FY2026はYoY +57.6%と非常に強かったが、その後、Q3は+36.8%、Q4は+22.1%まで成長率が鈍化していた。つまり、Q4までの流れだけを見ると、「AI需要は強いが、成長率は一度ピークアウトしているのではないか」という見方もできた。
しかし、今回のQ1 FY2027ではYoY +27.6%へ再加速した。しかもQoQも+9.0%で、Q3の+3.4%、Q4の+7.0%からさらに強くなっている。
MRVLは前回決算でFY2027・FY2028の見通しを大きく引き上げたため、今回のQ1は「本当にその成長軌道に乗っているのか」を確認する決算だった。結果として、売上は過去最高を更新し、会社はQ2 FY2027も売上$2.7Bを見込んでいる。
つまり今回のQ1は、前回の神決算を一時的なガイダンス引き上げで終わらせず、実績として階段を上り始めた決算だった。

・Data Center売上:$1.491B → $1.518B → $1.651B → $1.833B
YoY:+69% → +38% → +21% → +27%
QoQ:+3% → +2% → +9% → +11%
売上構成比:74.3% → 73.2% → 74.4% → 75.8%
Data Center売上はQ1 FY2027で$1.833B。QoQ +11%、YoY +27%。全社売上に占める比率は75.8%、つまり約76%まで上がった。
MRVLを見るうえで一番重要な数字で、Q2 FY2026のData Center売上はYoY +69%と爆発的だったが、その後Q3は+38%、Q4は+21%まで成長率が落ちていた。ところが、今回Q1 FY2027では+27%へ再加速している。QoQもQ3の+2%、Q4の+9%、Q1の+11%と、足元の伸びが強くなっている。
つまり、Data Centerは「一度強く伸びた後に鈍化した事業」ではなく、AIインフラ需要を背景に、もう一段成長角度が上がり始めているように見える。
MRVLはもはや、広く分散した半導体会社ではない。Data Centerが全社売上の約4分の3を占める、AIインフラ半導体会社になっている。
しかも、このData Centerの中身は、単なるクラウドサーバー向け半導体ではない。光DSP、DCI、TIA、driver、AEC、retimer、CXL、PCIe、switching、custom XPU、XPU attach、scale-up opticsといった、AIファクトリーを“つなぐ”ための部材が中心になっている。

・Communications and Other売上:$516M → $557M → $567M → $585M
YoY:+32% → +34% → +26% → +29%
QoQ:+13% → +8% → +2% → +3%
売上構成比:25.7% → 26.8% → 25.6% → 24.2%
Communications and Otherも悪くない。Q1 FY2027は$585M、YoY +29%、QoQ +3%。在庫調整からの回復が進んでいることは確認できる。
ただし、全社売上に占める比率はQ2 FY2026の25.7%からQ1 FY2027は24.2%へ低下している。つまり、Communications and Otherが弱いというより、Data Centerの成長がそれ以上に強い。
あくまでもMRVLの投資ストーリーを決めるのは、明らかにData Centerだ。
なお、MRVLはQ4 FY2026から、従来のEnterprise Networking、Carrier Infrastructure、Consumer、Automotive/Industrialを統合してCommunications and Otherとして開示している。そのため、Q2 FY2026については、旧区分の合算で比較している。

・GAAP粗利率:50.4% → 51.6% → 51.7% → 52.1%
前年差:+4.2pt → +28.5pt → +1.3pt → +1.8pt
QoQ差:+0.1pt → +1.2pt → +0.2pt → +0.4pt
GAAP粗利率は改善している。Q1 FY2027は52.1%。Q2 FY2026の50.4%から見ても、じわじわ上がっている。
ただし、Q3 FY2026の前年差+28.5ptは、前年同期のQ3 FY2025にリストラ関連費用などでGAAP粗利率が大きく歪んでいた影響があるため、そのまま構造改善として見るのは危険だと思う。
見るべきは、直近の推移だ。Q2 50.4%、Q3 51.6%、Q4 51.7%、Q1 52.1%。GAAPでは少しずつ改善している。

・non-GAAP粗利率:59.4% → 59.7% → 59.0% → 58.9%
前年差:-2.5pt → -0.8pt → -1.1pt → -0.9pt
QoQ差:-0.4pt → +0.3pt → -0.7pt → -0.1pt
ここは冷静に見る必要がある。売上は強い。Data Centerも強い。interconnectの見通しも強い。
しかし、non-GAAP粗利率は上がっていない。
Q2 FY2026は59.4%、Q3は59.7%、Q4は59.0%、Q1 FY2027は58.9%。高水準ではあるが、上昇トレンドではない。むしろ、前年同期比では低下している。
つまり、MRVLを見るうえでは、売上成長だけでなく、「取り分」も重要になる。
AIインフラ需要が強いからといって、MRVLがその経済価値をすべて取れるわけではない。顧客はハイパースケーラーであり、交渉力は強い。custom siliconや大規模接続部材は、売上規模が大きくなる一方で、粗利率が必ずしも跳ねるビジネスではない可能性もある。
ただし、この粗利率横ばいをすぐに弱点と決め打ちするのも早い。ここは後で改めて整理する。


・GAAP営業利益率:14.5% → 17.2% → 18.2% → 14.0%
前年差:+22.3pt → +63.6pt → +5.3pt → -0.2pt
QoQ差:+0.2pt → +2.8pt → +1.0pt → -4.2pt

GAAP営業利益率はQ4 FY2026の18.2%から、Q1 FY2027では14.0%へ低下した。
ここは今回の決算で少し見え方が悪い部分だ。売上は伸びているが、GAAP営業利益率は低下している。Celestial AIとXConn買収に伴う会計影響、取得関連費用、SBC増加などが効いている。
つまり、事業の成長は強いが、GAAPベースではまだ買収や投資の負担がかなり見えている。

・non-GAAP営業利益率:34.8% → 36.3% → 35.7% → 35.0%
前年差:+8.8pt → +6.6pt → +2.0pt → +0.8pt
QoQ差:+0.7pt → +1.5pt → -0.6pt → -0.7pt
non-GAAP営業利益率はQ1 FY2027で35.0%。これはかなり高い。
Q2 FY2026からの流れを見ると、34.8% → 36.3% → 35.7% → 35.0%。Q3をピークに少し下がっているが、35%前後を維持している。
MRVLはAIインフラ向けにR&DやM&A、供給確保を進めながら、non-GAAPでは35%前後の営業利益率を維持している。売上成長と利益率の両立という意味では、かなり良い。
ただし、SBC、買収関連費用、無形資産償却、条件付対価などを除いた数字なので、最終的に1株あたり価値が増えているかは別に確認する必要がある。

・GAAP EPS:$0.22 → $2.20 → $0.46 → $0.04
YoY:赤字から改善 → 赤字から大幅改善 → +$0.23改善 → -$0.16悪化
QoQ:+10% → +900% → -79% → -91%
GAAP EPSはかなり特殊要因が多い。
Q3 FY2026のGAAP EPS $2.20は非常に強く見えるが、自動車Ethernet事業売却益の影響が大きい。これは事業の通常収益力として見るべきではない。
一方で、Q1 FY2027のGAAP EPSは$0.04まで低下した。これはCelestial AIとXConn買収に伴う会計影響や条件付対価の評価などが効いている。
つまり、GAAP EPSは今回のMRVLの実力を見るにはノイズが大きい。ただし、GAAPが弱いことを完全に無視してよいわけでもない。株主としては、買収・SBC・希薄化が現実にある以上、non-GAAPだけで判断するのは危ない。

・non-GAAP EPS:$0.67 → $0.76 → $0.80 → $0.80
YoY:+116% → +77% → +33% → +29%
QoQ:+8% → +13% → +5% → 横ばい
non-GAAP EPSはQ1 FY2027で$0.80。Q4 FY2026と同水準だった。
YoYでは+29%なので十分強い。ただし、QoQでは横ばいだ。ここは少し気になる。
売上はQoQ +9.0%伸びている。Data Center売上もQoQ +11%伸びている。それでもnon-GAAP EPSは横ばいだった。
もちろん、買収後の費用増やR&D投資、株式数増加もあるため、ここだけで弱いとは言えない。ただ、次回Q2 FY2027では会社がnon-GAAP EPS $0.93を見込んでいるため、ここで本当にEPS成長へつながるかを見る必要がある。

・営業CF:$462M → $582M → $374M → $639M
YoY:+50.7% → +8.6% → -27.3% → +91.9%
QoQ:+38.7% → +26.1% → -35.8% → +70.9%
営業CFマージン:23.0% → 28.1% → 16.8% → 26.4%
営業CFはQ1 FY2027で$639Mとかなり強い。
Q4 FY2026は$374Mまで落ちていたが、Q1で一気に回復した。YoYでも+91.9%、QoQでも+70.9%。営業CFマージンも26.4%まで戻った。
MRVLは売上成長だけでなく、現時点ではキャッシュも生んでいる。ただし、今後は供給確保のためのprepayment、つまり前払いが効いてくる。会社はFY2027に約$1Bの前払いを見込んでいるため、営業CFとFCFは次回以降も必ず確認しなければならない。

・設備投資額:$48M → $74M → $114M → $156M
YoY:-1.5% → -2.0% → +63.5% → +31.1%
QoQ:-60.0% → +54.7% → +55.5% → +36.2%
設備投資額 / 売上比率:2.4% → 3.5% → 5.2% → 6.4%
MRVLはfabless、巨大CapEx銘柄ではない。
ただし、設備投資額はQ2 FY2026の$48MからQ1 FY2027は$156Mまで増えている。売上比率も2.4%から6.4%へ上昇している。
これは、AIインフラ向けの設計、評価、テスト、供給体制を拡大するための投資と見るべきだと思う。絶対額はクラウド企業のCapExとは比較にならないが、MRVLの中では明確に投資負荷が上がっている。

・FCF:$414M → $509M → $259M → $483M
YoY:+60.4% → +10.3% → -41.6% → +125.6%
QoQ:+93.4% → +22.9% → -49.0% → +86.2%
FCFマージン:20.6% → 24.5% → 11.7% → 20.0%
FCFはQ1 FY2027で$483M。FCFマージンは20.0%。
ここはかなり重要で、Q4 FY2026はFCFが$259Mまで落ち、FCFマージンも11.7%まで下がっていた。今回Q1では、FCFが$483Mまで戻り、FCFマージンも20.0%まで回復した。
つまり、今回のMRVLは「売上は強いがキャッシュが弱い決算」ではない。少なくともQ1時点では、成長とFCFを両立している。
ただし、今後は供給前払いが入る。ここでFCFがどこまで維持できるかが次の焦点になる。MRVLが本当にAIファクトリーの中核へ進むなら、売上成長だけでなく、FCFへの変換力を確認する必要がある。

・SBC:$154M → $152M → $143M → $208M
YoY:-0.8% → -4.0% → -3.1% → +46.1%
QoQ:+8.1% → -1.0% → -6.0% → +45.2%
SBC / 売上比率:7.7% → 7.3% → 6.4% → 8.6%
SBC、つまり株式報酬費用はQ1 FY2027で$208Mまで増えた。売上比率も8.6%まで上がった。
ここは見逃せないところで、Q2からQ4までは、SBCは$150M前後から$143Mまでむしろ低下していた。しかしQ1 FY2027で一気に増えた。Celestial AIやXConnの買収、組織拡大、AIインフラ向け人材確保の影響があると見るべきだと思う。
MRVLはSaaS企業ではないが、SBCは株主価値を見るうえで重要だ。non-GAAP利益ではSBCを除外するが、株主にとっては希薄化として効いてくる。

・希薄化後株式数:870.4M → 863.7M → 856.2M → 893.3M
YoY:+0.5% → -0.2% → -2.7% → +2.0%
QoQ:-0.6% → -0.8% → -0.9% → +4.3%
希薄化後株式数はQ1 FY2027で893.3M株。Q4 FY2026の856.2M株から大きく増えた。
Q2からQ4までは、自社株買いもあり、希薄化後株式数は減っていた。しかしQ1では、Celestial AIとXConn買収、NVIDIA投資などの影響もあり、株式数が増加した。

・現金・現金同等物:$1.224B → $2.715B → $2.639B → $3.844B
YoY:+51.4% → +212.7% → +178.3% → +333.9%
QoQ:+38.2% → +121.7% → -2.8% → +45.7%
現金・現金同等物はQ1 FY2027で$3.844Bまで増えたが、本業の営業CFだけで増えたと見るべきではない。NVIDIAからの$2B投資、借入、M&A支出、自社株買い、配当などが入り混じっている。

・Q2 FY2027ガイダンス:売上$2.700B ±5%
売上中央値ベース:QoQ +11.7%、YoY +34.6%
GAAP粗利率:52.1%〜53.1%
non-GAAP粗利率:58.25%〜59.25%
GAAP EPS:$0.37 ±$0.05
non-GAAP EPS:$0.93 ±$0.05
希薄化後株式数:915M株
Q2 FY2027ガイダンスはかなり強く、Q2でさらに加速する見通しを出している。
しかも、Q2以降もQ3とQ4で少なくとも10%のQoQ成長を見込んでおり、Q3には四半期売上$3B到達を見込んでいる。
つまり、今回のMRVL決算は「Q1が良かった」で終わる話ではない。FY2027を通じて、売上成長率が再加速していくという会社側の見方が示された。

■ 今回の決算で一番重要なのは、interconnectの上方修正


今回の決算で一番重要だったのは、Q1の売上ビートそのものではない。

重要なのは、会社がFY2027のinterconnect売上成長見通しを、従来よりさらに引き上げて、前年比70%超成長としたことだと思う。

前回の決算で、私はMRVLをAIインフラの“繋ぐ層”として整理した。

今回、その見方はさらに強まった。

なぜなら、AIインフラのボトルネックが、GPUだけでなく、接続、スイッチ、光、メモリ周辺、データ移動に広がっているからだ。

生成AIの初期は、GPUとHBMが主役だった。

もちろん今もそこが中心であることに変わりはない。しかし、reasoning model、mixture of experts、agentic AIのように、AIモデルの構造が複雑になるほど、データ移動は増える。

一つのユーザー要求に対して、AIエージェントが何度もモデルを呼び出す。別のモデルや別のクラスタに問い合わせる。複数の推論を組み合わせる。そうなると、計算資源そのものだけでなく、その計算資源同士を低遅延・高帯域でつなぐことが必要になる。

ここでMRVLの出番が増える。

800G、1.6T、DCI、coherent light、TIA、driver、retimer、AEC、CXL、PCIe、switching。

一つ一つは地味に見えるかもしれない。

しかしAIファクトリー全体で見ると、これらは血管であり、神経であり、都市の道路網のようなものだ。

GPUという工場設備だけが増えても、電力、冷却、ネットワーク、接続、メモリ、通信が追いつかなければAIファクトリーは動かない。

MRVLが取りに行っているのは、この「動かすための層」だ。


■ MRVLは“繋ぐ層の総合商社”から、AIファクトリーの設計パートナーへ進んでいる


前回までの私の整理では、MRVLは「繋ぐ層の総合商社」だった。

CRDOがAECなど特定領域で爆発力を持つ一方、MRVLは光DSP、DCI、CXL、retimer、AEC、switching、CPO/NPOまで広く押さえる。つまり、全距離・全プロトコルの接続レイヤーを取りに行く会社だと見ていた。

今回の決算では、その見方がもう一段進んだ。

MRVLは、単に多くの接続部品を売る会社ではなくなりつつある。

custom XPU、XPU attach、scale-up optics、scale-up switch、NVLink Fusionまで含めて、ハイパースケーラーのAIインフラ設計そのものに入り込もうとしている。

これはかなり大きい。

AIファクトリーの中では、単体チップだけで勝負が決まらない。GPU、XPU、CPU、NIC、DPU、スイッチ、光接続、メモリ、ソフトウェア、ラック設計、供給網が一体で動く。

この中でMRVLは、NVIDIAのようにAIファクトリー全体の頂点に立つ会社ではない。

しかし、NVIDIAのAIファクトリー標準に接続される重要部材を持つ会社になっている。


■ MRVLを「小型AVGO」として見てはいけない


ここで、AVGOとの比較も改めて整理しておきたい。

前回まで私は、AVGOを「計算+接続の垂直統合者」、MRVLを「接続の専門家」として整理していた。

今回の決算を見ても、その整理は基本的に変わらない。

ただし、もう少し踏み込むなら、AVGOとMRVLではcustom ASICの意味が違うと思う。

AVGOにとってcustom ASICは、計算層の主導権を握るための中核そのものだと思う。ハイパースケーラーと深く共同設計し、XPUやネットワークを含めて大規模なロックインを作る。モートの本質は、顧客ごとの深いco-designと数世代にわたる継続関係にある。

一方で、MRVLにとってcustom XPUは、もちろん大きな成長ドライバーではあるが、それだけで終わる話ではない。

MRVLの面白さは、custom XPUを単体で売るだけではなく、その周辺にあるinterconnect、optics、CXL、NIC、PCIe、retimer、switching、SerDesまで一体で提案できることだ。

つまり、AVGOが「計算層を取りに行くためのASIC」だとすれば、MRVLは「繋ぐ層を総取りするために、計算層のパーツにも入り込むASIC」と言えるかもしれない。

ここはかなり重要だと思う。

MRVLはAVGOとまったく同じ土俵で、custom XPU本体だけを奪い合っているわけではない。

むしろ、custom XPUを入口にして、XPU attach、CXL memory attach、NIC、retimer、scale-up optics、switchingまで含めたシステム全体へ入り込む。ここにMRVLの独自ポジションがある。

だからMRVLを「小型AVGO」と見るのは少し違う。

MRVLは、AVGOほど計算層で強い会社ではないかもしれない。しかし、AIファクトリーの接続設計全体に入り込むという意味では、かなり独自の位置にいる。

これが今回の決算でよりはっきりした。


■ NVIDIA提携は、MRVLにとっても構造的に大きい


私は以前、NVIDIAとMarvellの提携について、NVIDIAがASIC拡大を脅威として受け身で見るのではなく、AIファクトリー標準化の追い風に変えようとしていると整理した。

NVIDIAは、GPU単体の会社から、AIファクトリー全体の標準企業へ進もうとしている。NVLink、NVLink Fusion、Spectrum-X、BlueField、ConnectX、CUDA、NCCL、ラックスケール設計、供給網。

この中にcustom XPUや他社半導体を取り込めるようにするのがNVLink Fusionだと見ている。

では、MRVLは何を得るのか。

MRVLは、NVIDIAの標準化に飲まれる側ではなく、その標準の中で必要とされる側に回ったように見える。

custom XPUをNVIDIAインフラに接続する。scale-up networkingを担う。silicon photonicsで協業する。AI-RANにも広げる。

つまり、MRVLはNVIDIAを倒す側ではない。

NVIDIAが作るAIファクトリーの秩序の中で、自社の接続・光・カスタム半導体の出番を増やす側に回った。

ここは投資家としてかなり重要だと思う。

ASIC拡大は、NVIDIAにとって逆風であると同時に、NVIDIAが上位の接続標準を握れば追い風にもなる。

そしてMRVLにとっては、ASIC拡大そのものがcustom siliconとinterconnectの需要拡大になる。

この構造は、NVDAとMRVLを同時に持つ意味を補強している。

私の中では、計算する層はNVDAがコア。繋ぐ層はMRVLが重要サテライト。今回の決算は、この整理をさらに強めた。


■ ただし、MRVLはNVIDIA一本足ではない


ここでもう一つ重要なのは、MRVLがNVIDIA側だけに張っているわけではないことだ。

NVIDIAとの提携は非常に大きい。NVLink Fusionに接続されることは、MRVLがNVIDIAのAIファクトリー標準の中で必要とされる可能性を示している。

しかし一方で、MRVLはUALink、ESUN、PCIe 6.0 switch、CXL switchといった、よりオープンな標準や反NVIDIA陣営にも接続し得る武器を持っている。

ここが面白い。

NVIDIAが勝っても、MRVLの出番はある。
NVIDIA以外のハイパースケーラーやAMD系、独自XPU陣営が伸びても、MRVLの出番はある。
Ethernet系のscale-up networkingが伸びても、MRVLの出番はある。
CXLやPCIeでメモリ、CPU、XPUの接続が複雑になっても、MRVLの出番はある。

つまり、MRVLはNVIDIAの秩序に接続されつつ、同時にオープン標準側にも張っている。

これは、かなり強いポジションだと思う。

もちろん、これを言いすぎると何でも勝てる万能企業のように聞こえてしまうので注意は必要だ。実際には、それぞれの標準、顧客、製品で競争がある。Broadcom、NVIDIA、Credo、Lumentum、Intel、AMD系、その他の光・ネットワーク企業との競争もある。

ただ、それでもMRVLの強さは、特定の一つの勝ち筋に依存しすぎていないことだと思う。

NVIDIA標準にも乗れる。
Ethernet系にも張れる。
customにも入れる。
CXLにも入れる。
光にも入れる。
スイッチにも入れる。
retimerやAECにも入れる。

この多面性が、MRVLを単なる部品会社ではなく、AIファクトリーの血管・神経系に近い会社へ押し上げている。


■ 粗利率横ばいは、取り分の限界なのか、Jカーブの途中なのか


今回の決算で、私が少し気になったのはnon-GAAP粗利率だ。

売上は強い。Data Centerも強い。interconnectの見通しも強い。Q2以降のガイダンスも強い。

しかし、non-GAAP粗利率は上がっていない。

Q2 FY2026は59.4%、Q3は59.7%、Q4は59.0%、Q1 FY2027は58.9%。高水準ではあるが、明確に上方向へ抜けているわけではない。

ここには二つの見方があると思う。

一つ目は、MRVLの取り分が思ったほど大きくない可能性だ。

AIインフラ需要が強いからといって、MRVLがその経済価値をすべて取れるわけではない。顧客はハイパースケーラーであり、交渉力は非常に強い。custom siliconや大規模接続部材は、売上規模が大きくなる一方で、粗利率が必ずしも跳ねるビジネスではない可能性がある。

もう一つは、新製品立ち上げ期のJカーブという見方だ。

MRVLは今、800Gから1.6Tへの移行、scale-up optics、XPU attach、CXL、PCIe switch、retimer、AEC、さらに2nmプラットフォームや次世代custom siliconに向けた投資を同時に進めている。

半導体は、新製品の量産初期には歩留まりや立ち上げコストが重くなりやすい。古い製品の効率改善が進んでも、新しい製品の初期コストがそれを相殺することがある。

つまり、non-GAAP粗利率が58〜59%台で横ばいに見えるのは、単純に「取り分が弱い」だけではなく、「次の怪物製品群を立ち上げている途中」だからかもしれない。

ここは次回以降の重要な確認点になる。

もし1.6T、scale-up optics、CXL、custom XPU attachの量産が進むにつれて粗利率が改善するなら、これは先行投資の後にマージンが遅れて立ち上がる局面だったと評価できる。

逆に、売上は伸びても粗利率が上がらないなら、custom比率上昇やハイパースケーラーの交渉力によって、MRVLの取り分が構造的に抑えられている可能性がある。

だから次回以降は、売上成長だけでなく、non-GAAP gross marginが58〜59%台から再び上方向に動くのかを見たい。

■ MRVLは万能ではない。取り分を見る必要がある


ここまで見ると、かなり強気に見える。

実際、事業の方向性はかなり強い。

ただし、今回の決算では冷静に見るべき点もある。

一つ目は、粗利率が跳ねていないこと。

non-GAAP粗利率は58.9%。高い水準ではあるが、前四半期比ではほぼ横ばい、Q3 FY2026からは低下している。

つまり、AI接続レイヤーの需要が強いからといって、MRVLの取り分が無限に広がっているわけではない。

ハイパースケーラーは強い。顧客は大きい。プログラムも大きい。設計に入ればスイッチングコストはあるが、顧客側の交渉力も非常に強い。

ただし、先ほど書いた通り、この粗利率横ばいは、取り分が弱いだけではなく、新製品立ち上げ期のJカーブである可能性もある。

ここは決め打ちしない方がいい。

次回以降、売上成長と同時にnon-GAAP粗利率が改善してくるなら、MRVLは今の投資フェーズを抜けて、より利益率の高い成長に入る可能性がある。

逆に、売上は伸びても粗利率が58〜59%台から上に行かないなら、AI接続レイヤーは伸びるが、顧客側に取り分をかなり持っていかれる構造かもしれない。

二つ目は、SBCと希薄化。

Q1 FY2027のSBCは$208M、売上比率8.6%。希薄化後株式数もQ4 FY2026の856M株からQ1 FY2027は893M株へ増えた。

MRVLは成長投資をしている。M&Aもしている。NVIDIAからの投資も受けている。これは戦略的には意味がある。

ただし、株主としては、その成長が1株あたり価値に本当に落ちるかを見る必要がある。

三つ目は、供給前払い。

会社は需要に対応するため、FY2027に約$1Bのprepaymentを行う見込みだ。これは、先端サプライチェーンを押さえるためには必要な投資だと思う。

AI半導体は、設計できても作れなければ意味がない。供給枠を確保できること自体が競争優位になっている。

ただし、前払いは需要が続くなら武器だが、需要が鈍化すればリスクにもなる。ここは、次回以降のFCFで確認する必要がある。


■ Custom XPUは、まだ全部見えていないが、かなり大きい


今回の決算で、もう一つ重要なのがcustom businessだ。

会社はFY2027のcustom revenueを前年比20%超成長、FY2028には前年比で2倍超と見込んでいる。さらに、FY2029にはcustom businessで$10B超の売上を狙うという目標も維持している。

ここはかなり大きい。

MRVLを「光接続の会社」とだけ見ると、今回の構造を見誤る。

MRVLは、custom XPUそのものにも入り、さらにXPU attach、つまりXPU周辺のNIC、CXL、memory attach、PCIe、retimerなどにも入り込んでいる。

このポジションが面白い。

custom XPUでBroadcomと真正面から戦うだけなら、MRVLの勝ち筋は単純ではない。AVGOは強い。顧客ロックインも強い。

しかしMRVLは、custom単体ではなく、custom + interconnect + optics + switching + CXL + SerDes + supply chainという形で勝ちに行っている。

つまり、MRVLの本質は「ASIC会社」ではなく、「AIインフラの接続設計まで含めたカスタム半導体パートナー」になりつつあることだと思う。

ここはまだ市場が完全に織り込んでいるのか分からない。

ただし、今回の決算を見れば、少なくともMRVL側はかなり強い自信を持っている。


■ Scale-up opticsは、MRVLの次の大きなオプション


今回の決算で特に面白かったのは、scale-up opticsだ。

scale-upとは、AIアクセラレータ同士をラック内、あるいは近距離で高帯域・低遅延につなぐ領域だと理解している。これまでは銅線や既存の接続で対応できる部分もあったが、AIクラスタが巨大化するほど、光接続の重要性が高まる。

MRVLはここで、Celestial AI、Polariton、silicon photonics、NPO、CPO、NVLink Fusion、UALink、ESUNなど、かなり広く張っている。

ここはまだ完全に勝ち筋が確定した市場ではない。

NPOなのか、CPOなのか。どの標準が主流になるのか。NVIDIA主導なのか、Ethernet系なのか、UALinkがどこまで広がるのか。

未確定要素は多い。

しかし、MRVLは一つに絞り込むのではなく、複数技術に張っている。これは投資効率が悪く見える一方で、標準がまだ決まっていない市場では合理的でもある。

勝ち標準を外したら終わるのではなく、顧客が選ぶ方式に合わせて提供できる会社になろうとしている。

ここがMRVLの強みだと思う。


■ 今回の決算をどう投資判断に落とすか


今回の決算で、私のMRVLに対する見方はさらに強くなった。

MRVLはAIインフラの“繋ぐ層”からAIファクトリーの“中核”に近づいている。

私の位置付けとしてMRVLは、NVDAのような絶対的コアではない。

しかし、AIファクトリーが巨大化するほど、必要になる部材をかなり広く持っている。しかも、NVIDIAのAIファクトリー標準にも接続される。ハイパースケーラーのcustom siliconにも関わる。接続、スイッチ、光、XPU attachを束ねられる。

これはどう考えてもかなり強い。

コア銘柄としてのモートが深まってきたと考えられるようになってきた。

ただし、投資銘柄の株としては話は簡単ではない。

今から新規で買うならばどうなのか。

バリュエーションは高い。期待値も上がっている。Seeking AlphaでのValuation GradeはFで、forward non-GAAP P/Eも高い。一方で、EPSと売上の上方修正はかなり強い。

つまり、今のMRVLは「安い株」ではない。

成長角度が見通しをさらに上回るなら買われるし、少しでも鈍化すれば大きく売られる株だと思う。

ここで自分の中では、MRVLの位置づけを少しだけ更新した。

事業の構造としては、かなりコアに近づいている。AIファクトリーが巨大化するほど必要になる接続レイヤーであり、NVIDIAにも、オープン標準にも、custom siliconにもつながる。ビジネスモデルとしては、かなり重要なインフラ銘柄になってきた。

ただし、株主価値への変換という意味では、まだ完全なコアとは言い切れない。

SBCが増えている。
株式数も増えている。
供給前払いもある。
粗利率もまだ跳ねていない。
customやscale-up opticsの取り分も完全には見えていない。

だから現時点では、私の中では「ビジネスモデルとしてはコア候補、ポートフォリオ上は大きめのサテライト」という整理が一番しっくりくる。

本当の意味でコアに昇格するには、売上成長が1株あたりFCFへ変換されることを確認したい。

会社はFY2028に向けてnon-GAAP営業利益率のターゲット上限に近づくような話をしている。もしそこに向かいながら、FCFも伸び、希薄化を吸収し、1株あたり価値が明確に増えていくなら、MRVLは単なるサテライトではなく、AIインフラのコア候補として見てもよいと思う。

NVDAはAIファクトリーの中心であり、MRVLは、そのAIファクトリーが巨大化するほど必要になる“繋ぐ層”の重要サテライト。

この位置づけが、今回の決算でさらに腹落ちした。


■ 神決算の先に見えたもの


前回の決算は、MRVLが“繋ぐ層”として再評価した神決算であり、私は前回決算の時間外から大きく買った。

今回の決算は、その先に何があるのかが見えてきた。

それは、MRVLが単なる部品会社ではなく、AIファクトリーの接続設計に入り込む会社へ進み始めているということだ。

AIインフラは、GPUだけでは動かない。

GPUをつなぐ。
XPUをつなぐ。
ラックをつなぐ。
データセンターをつなぐ。
メモリをつなぐ。
NVIDIAの標準とcustom siliconをつなぐ。

この“つなぐ”部分が大きくなるほど、MRVLの事業機会は広がる。

もちろん、まだ確認すべきことは多い。

粗利率は跳ねていない。
SBCと希薄化は重い。
供給前払いはリスクにもなる。
custom XPUの顧客名や取り分は見えていない。
scale-up opticsの標準もまだ完全には決まっていない。
売上成長が1株あたりFCFに変換されるかは、まだ答え合わせが必要だ。

それでも、今回の決算で確認できたことは大きい。

AIインフラの地図を描くなら、NVDAの次に見るべき“繋ぐ層”の中核銘柄だと思う。

私は、今回の決算を見て、MRVLへの評価をさらに上げた。

ただし、ここからは熱狂だけで見る局面ではない。

売上成長は強い。
次は、取り分とFCFだ。

MRVLが本当にAIファクトリーの中核へ進むなら、次に確認すべきは、売上が伸びることではなく、その成長が1株あたり価値にどれだけ変換されるかである。

引き続き、私のMRVLのストーリーは続いていく。


■ 次回チェックポイント


・Q2 FY2027売上ガイダンス中央値$2.7Bを達成できるか
・Q2のData Center売上が会社見通し通りmid-to-high teensのQoQ成長になるか
・Q3 FY2027で四半期売上$3Bに到達できるか
・FY2027売上約$11.5B、FY2028売上約$16.5Bの見通しが維持または上方修正されるか
・interconnect売上のFY2027 +70%超成長見通しが崩れないか
・1.6T、DCI、TIA/driver、AEC、retimerの実需が継続するか
・scale-up opticsがFY2028以降の売上として具体化するか
・custom businessのFY2028 2倍超成長、FY2029 $10B超目標の確度が上がるか
・AVGOとのcustom ASIC競争で、MRVLが「custom + interconnect + optics + switching」の総合力を示せるか
・NVIDIA標準だけでなく、UALink、ESUN、PCIe、CXLなどオープン標準側でも採用を広げられるか
・non-GAAP粗利率が58〜59%台を維持するだけでなく、量産安定後に上向くか
・粗利率横ばいがJカーブの途中なのか、取り分の限界なのか
・SBCと希薄化後株式数がどこまで増えるか
・供給前払い後も営業CFとFCFが崩れないか
・MRVLが売上成長だけでなく、1株あたりFCFを伸ばせるか
・ビジネスモデルとしてのコア候補が、ポートフォリオ上の本当のコアに昇格できるか



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