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額に入った夕暮れ【毎週ショートショートnote】

目の前に広がるのは、波音だけが繰り返し響く砂浜と、見渡す限り一面、空と海を真っ赤に染める夕暮れ。

「……きれいだねえ」

心の底から声を漏らした美朱の呟きを聞きながら、俺は自然とシャッターを切っていた。

「お、いい刺激になった?」

パシャリ。

「うん」

パシャリ。

「よかったー。スランプだって悩んでたからさ、何かきっかけになればって連れ出したけど……やー、私もすっごい感動しちゃったよ」

パシャリ。

「うん」

パシャリ。

「ほら、きみはこんな素敵な景色をフレームに収めて、たくさんの人を感動させることが……って」

パシャリ。

「ちょっと、方向が逆だよ? なんで海に背を向けて撮ってるの?」

「いや、これでいいんだ。やっと、わかった」

「……?」

俺を気遣う優しさ、美しい光景を素直に受け止める純粋さ。
そんな美朱の姿こそ、俺が本当に撮るべきものだ。

燃えるような夕暮れを収めてきらきら輝いている、その小さなふたつの額――彼女の両眼に、俺はピントを合わせる。




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