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adagio_cantabile
ときめきトゥーシューズ【毎週ショートショートnote】
「これ、ミゼットにあげるわ。伝説のバレリーナ・シルビアが愛用していた、通称『ときめきトゥーシューズ』よ」
「あ、ありがとうございます、リーザ先輩! でも、どうしてそんな凄い靴を私に……?」
「シルビアは、誰よりもバレエを愛し、技を磨くことに一生を捧げた人だった。ひたむきに練習を重ね、めきめき上達しているあなたに相応しいわ」
感激したミゼットは、そのトゥーシューズを履いて更なる練習に没頭した。
リーザの言葉に嘘はない。
しかし、それは呪われた靴。履いた者はバレエに心を奪われ、自らの理想の踊りを追い求めるあまり、身を崩し心を病む。自ら命を絶った、シルビアのように――
「……先輩」
過酷な練習で幽霊のように痩せ細ったミゼットが声をかける。
「な、何かしら……?」
「私がバレエを始めたのは、リーザ先輩の踊りにときめき、憧れたから。でもいくら練習しても、その理想に届かない。なら、いっそ――」
踊るように揉み合った二人に、鮮やかな赤が舞う。
