Photo by
landyny
狐火バーベキュー【毎週ショートショートnote】
「お嬢ちゃん、一人? テント張り手伝おうか?」
「知ってる? この辺りって、狐が人を化かすなんて伝説があってさ……」
「あ、大丈夫でーす」
はあ。
流行ってるし、ワイルドでたくましいタイプと出逢えるかと期待してソロキャンプに来たけど、近寄ってくるのは鼻の下を伸ばした軟弱な男ばかり。あーあ、つまんない。
なんてため息をついていたら、空は晴れているのに、急にポツポツからザーッと雨が降ってきて、薪を湿らせてしまった。
何度も火起こしを試みるが、上手く行かない。
「ちょお、貸してみ」
背後から怪しい関西弁。
振り向くと、……なんだか話の途中で裏切りそうな、狐目の男性。
「こーゆーんはなあ、コツがあんのや。これをこうして……」
すると、瞬く間に火が燃え上がった。……まるで、魔法みたいに。
「あ、ありがとうございます」
「どや、おもろいやろ」
狐につままれたような私に、彼は細い目をぱっと開いてにやっと笑う。生焼けだった私の心に、ぼおっと火がついた。
