満月と星のスプーン
夜空がいつになく明るいな、と思って窓の外を見上げると、そこには見事な満月が浮かんでいました。
まるで、夜空という大きなお皿にぽつんと置かれた、焼き立てのパンケーキのよう。
そんな夜、私は引き出しの奥から、お気に入りの小さなスプーンを取り出します。
柄の先にちっちゃな星がついた、真鍮製の「星のスプーン」です。
このスプーンには、自分だけの秘密の魔法があります。
満月の夜にだけ、このスプーンで夜空をそっとすくう真似をするのです。
すると、目には見えないけれど、すくい上げたスプーンの上には「きらきらした、甘くて優しいもの」が乗っかるような気がします。
それを、お気に入りのホットミルクに「ひとさじ」ぽちゃん、と溶かす。
くるくるとかき混ぜると、ただのミルクが、なんだか特別な「お月様スープ」に変わる気がして。
ひとくち飲むたびに、今日の小さな失敗や、チクチクした心のトゲが、まぁるく溶けていくのがわかります。
「今日もお疲れ様。よく頑張ったね」
お月様がそう言って、優しく微笑んでくれているみたい。
慌ただしい毎日の中で、私たちはつい、うつむいて歩いてしまいがちです。
でも、ほんの少しだけ夜空を見上げて、自分だけの可愛い「おまじない」を持っておくだけで、夜はこんなにも優しくなります。
もし今夜、あなたの街からも満月が見えていたら。
心の中でそっと、星のスプーンを伸ばしてみてくださいね。
明日もあなたに、まぁるくて優しい時間が訪れますように。
