ワーホリでもCo-opでもない、「正規留学」という選択肢
はじめに
カナダ留学を考えたとき、多くの人がまず検討するのは「ワーキングホリデー」か「Co-op留学」ではないでしょうか。実際、この2つは情報量も多く、SNSや留学エージェントのサイトでもよく目にする選択肢です。
でも私は、そのどちらでもなく「カレッジでの正規留学(Study Permit)」を選びました。
学校名や年齢を気にする人は多いですが、実はそこよりも大事な判断軸があります。この記事では、なぜ正規留学という選択肢がーー特に社会人を経てから留学を考えている人にとってーー資金面でもビザ面でも有効なのかをお伝えします。
1. 多くの人がまず検討する2つの道
カナダ留学を調べ始めると、まず目に入るのがこの2つです。
ワーキングホリデー:最長2年間、就労も就学も自由にできる。年齢制限あり(18〜30歳/35歳など国により異なる)。
Co-op留学:カレッジで学びながら、プログラムに組み込まれた実習(Co-op)を通じて就労経験を積める。
どちらも「学びながら働ける」「知名度が高くて情報が集めやすい」という理由で人気があります。特にワーホリは年齢さえ満たしていれば申請のハードルも比較的低く、「とりあえず海外に住んでみたい」という人の入り口になりやすい制度です。
2. 見落とされがちな第三の選択肢:カレッジでの正規留学
「学生ビザ」と聞くと、若い人向けのイメージを持たれがちですが、実際には年齢を問わず申請できる選択肢です。
私は日本で大学を卒業し、社会人を数年経験してからカナダに来ました。最終的に選んだのは正規留学としてのカレッジ進学でした。理由は、これから説明する「資金面」よりも「ビザ面」の違いにあります。
3. 資金面での比較:実はそこまで差はない
まず前提として、資金面に関しては、ワーホリ・Co-op留学・正規留学の間でそこまで大きな差はないというのが私の実感です。
Co-op留学も正規留学も、結局はどこかのカレッジに入学するという点は変わらないため、入学金・学費は同じようにかかります。また、座学期間中は週24時間までという就労時間の制約もどちらも共通しており、計算上はアルバイト収入で学費を賄うことも不可能ではありません(なお、Co-opの実習期間中はこの週24時間の制限とは別枠で、専用のワークパーミットのもとフルタイムに近い時間で働けます)。
つまり、事前にまとまった資金として確保しておく必要があるのは、実質的には家賃や生活費といった部分だけになります。ワーホリの場合は学費がかからない一方、「学業を修めること」自体が条件になっている、後述するPGWPのような長期の就労ビザにはつながりません。この「学費を払うかどうか」よりも「その先どんなビザにつながるか」の違いこそが、次の章で説明する本質的なポイントです。
4. ビザ面での比較:最大の違いは「どれだけ長くカナダにいられるか」
資金面での差が小さい一方、決定的に違うのが「その後、どれだけ長くカナダに滞在できるか」です。
ワーキングホリデー:2025年の制度変更により、1回あたり最長12ヶ月を2回、合計最大2年まで参加可能に(ただし2回目は改めて抽選への申込が必要)
Co-op留学:学生ビザと「Co-opワークパーミット」が同時に発行され、プログラムの中に組み込まれた実習期間(学んだ内容に関連する職種に限定)で就労できる仕組み。この就労はあくまで在学中の実習という位置づけのため、卒業後も自動的に働き続けられるわけではありません
正規留学(Study Permit):条件を満たすカレッジ・プログラムを選べば、卒業後に別途PGWP(Post-Graduation Work Permit)を申請でき、最長3年の就労許可を取得できる
ここで意外と見落とされがちなのが、Co-opでの就労経験は、連邦のPR申請(Express Entry / Canadian Experience Class)の就労経験としてはカウントされないという点です。学生ビザの下での就労とみなされるためです(ただし、州によっては一部のPNP=州推薦プログラムで、関連職種であればカウントされることもあります)。
一方、PGWPは職種の制限がないオープンワークパーミットで、かつ卒業後に正式な「就労ビザ保持者」としての実績になるため、連邦のPR申請における就労経験としてカウントされます。つまり、Co-opが「学びながら経験を積める」制度であるのに対し、正規留学(→PGWP)は「卒業後、PRに直結する就労実績を積める」制度という違いがあります。将来的にPRを目指す場合、この違いは大きなアドバンテージになると私は考えています。
注意点:PGWPは「2年制のプログラムなら誰でも取れる」わけではない
ここは特に強調しておきたいポイントです。2024年11月以降、PGWPの取得条件は変わっており、大学(学士・修士・博士)の卒業生はどの分野でも対象になる一方、公立カレッジのディプロマ課程の卒業生は、政府が指定する特定の分野(人材不足が続く分野など)に関連するプログラムを卒業していないとPGWPの対象になりません。
つまり「2年以上のプログラムを選べば自動的に3年のPGWPがもらえる」わけではなく、「入学前にそのプログラムがPGWP対象分野に指定されているか」を必ず確認する必要がある、ということです。この制度は今後も見直される可能性があるため、学校選びの段階で最新情報を確認することを強くおすすめします。
私の場合:「学校名」ではなく「ビザが取れるか」で選んだ
私自身、このプログラムがPGWPの対象だったからこそ、今のカレッジ・プログラムを選びました。実は私が入学した時点では対象だったプログラムも、その後の制度変更で新規入学者には対象外になっています。ただ、学校側もそれを踏まえてすでにそのプログラムの新規募集を停止しているため、大きな混乱が生まれているわけではありません。制度はこうして変わっていくものだと実感した出来事でした。
また、カナダは私立カレッジの方が学費が比較的安く、PGWP対象プログラムは私立カレッジにも存在します。「UBCのような有名大学に行きたい」というモチベーションよりも「滞在できるビザを確保したい」という動機で留学する場合、学校の知名度よりも「PGWPが取れるプログラムかどうか」を軸に選ぶ方が合理的だと考え、私は私立カレッジを選びました。
補足すると、BC州内であれば私立カレッジからUBCやSFUのような有名大学へ単位を移行して編入することも可能で、実際に私の通うカレッジからもそうした大学へ編入する人はたくさんいます。つまり「最初から有名大学でなければならない」わけではなく、後からルートを変える選択肢も残されています。
5. 社会人からの留学だからこそ気になること
社会人を経てからの留学となると、「年齢は大丈夫か」「キャリアにブランクができるのでは」と気になる方も多いと思います。
私自身の実感としては、カナダでの就職活動において年齢が壁になったことは今のところありません。またキャリアのブランクについても、前職(日本の税理士事務所でのbookkeeper業務)と現在の仕事(カナダでのbookkeeper業務)が同じ職種であるため、実質的にブランクと呼べるものはほとんどないというのが正直なところです。
bookkeeperはカナダの職業分類でTEER2に位置づけられており、カレッジ卒業後1年間カナダで就労すればPR申請のプールに入る資格を得られます。私自身のバックグラウンドもbookkeeperなので、このまま同じ職種でキャリアを継続することに迷いはありません。
結局のところ、年齢やブランクそのものを気にするよりも、「今までの経験をどう継続・接続させるか」を考えることの方がずっと重要だと感じています。
まとめ
ワーホリ、Co-op留学、正規留学(カレッジ留学)。それぞれの制度に優劣があるわけではなく、大事なのは自分が何を優先したいかです。
とにかく期間限定でも自由に働きながら海外生活を体験したいなら:ワーホリ
学びながら実務経験も積みたいなら:Co-op留学
長期的な滞在・PRを見据えて、キャリアの連続性を保ちながら留学したいなら:正規留学(カレッジ)
私は最後の理由から、正規留学を選びました。次回は、実際にこのStudy Permitをどうやって自分で申請したのか、その全体像を具体的にお伝えしていきます。
本記事は執筆時点(2026年)の情報をもとにしています。PGWPの対象分野や取得条件はIRCCにより随時見直されるため、実際の学校・プログラム選びの際は必ず最新情報をご確認ください。
