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その投資話、断れますか? 上司との関係があるほど危ない理由

ポンジスキームは“怪しい話”の顔で来ない。

今回のテレフォン人生相談を聞いていて、私がいちばん引っかかったのは、お金の話そのものより、「その話が元上司から来た」という点でした。

相談者は57歳の女性。

職場の元上司から持ちかけられた投資話に、10年で総額1320万円を預けていたそうです。途中までは配当も出ていて、累計では約200万円を受け取っていた。

けれど、その元上司が急死し、返金を求めた先では、相続人全員が相続放棄を済ませていた。相談者は、遺族にも、会社にも、どこか責任を問えないかと考えていました。

こういう話って、外から聞くと「そんなうまい話、怪しいでしょう」で終わりがちです。でも実際は、そんなに単純じゃないんですよね。
知らない人からの勧誘なら警戒できても、元上司みたいに、すでに関係がある相手から来た話だと、条件の変さより先に「この人が言うなら」が入ってしまう。


※本記事は、ニッポン放送「テレフォン人生相談」2025年12月8日放送回と、その書き起こし記事「読むテレフォン人生相談」さんの内容をもとに、一リスナーとしての感想と考察をまとめたものです。

法律の話は、ここだけ押さえるとかなり見えやすい

気持ちの面では本当にやるせないのですが、法律の立て付けはかなりはっきりしています。ここは直感的に整理しておきたいです。

相続人に請求できるのか

結論:相続人全員が相続放棄していれば、原則として請求はかなり難しいです。

ポイントはこれだけです。

  • 相続放棄をすると、その人はその相続について「最初から相続人ではなかった」扱いになる

  • つまり、亡くなった人の借金や返金義務を引き継がない

  • だから、放棄した子どもにそのまま請求するのは原則できない

中川先生が強く言っていた「親の不始末を子どもが当然に背負うわけではない」は、この線引きのことなんですよね。

「預かり証に長女が返す」と書いてあったらどうか

これも、書いてあるだけでは足りない可能性が高いです。

直感的にはこうです。

  • 親が勝手に「娘が返します」と書いた

  • でも娘本人が、その約束をしていない

  • なら、それだけで娘の支払義務は生まれにくい

法律は、「書いてあるか」よりも、「本人が引き受けたか」を見ます。ここは感情的にはいちばん納得しにくいけれど、かなり大事なところだと思いました。

じゃあ会社に責任はないのか?

相談者が会社の責任を考えたくなるのも、すごく自然です。

だって、ただの知人じゃなくて元上司なんです。職場の上下関係や信頼が入り込んでいたのなら、「会社は本当に無関係なの?」と思うのは当然だと思います。

ここは、完全にゼロとも言い切れないけれど、自動的に責任が認められるわけでもありません。

会社責任を考えるときに見るのは、たとえばこんな点です。

  • その勧誘が、会社の仕事の延長のように行われていたか

  • 会社名や役職が信用づけに使われていたか

  • 職場や業務時間内で継続して行われていたか

  • 上下関係で断りにくい状況があったか

  • 会社が知っていて放置していたか

逆にいうと、単なる私的な投資話として見られると、会社責任は簡単には認められません。

ただ、それでも職場の問題が消えるわけではありません。上司という立場を使って断りにくくしていた、私的なお金の話が職場環境を悪くしていた、そういう事情があれば、少なくとも職場として調査や対応を考える余地はあります。
それが、そのまま1320万円全額の救済につながるとは限らない。そこがまた、つらいところです。

救済が乏しいからこそ、「どう線を引くか」になる

この相談のしんどさは、法律を正確に見れば見るほど、「あとから取り返せる場面は多くない」と分かってしまうことです。

相続人には請求しづらい。
預かり証も、それだけでは弱い。
会社責任も、自動的には認められない。

そうなると最後に残るのは、かなり地味だけれど大事な問いです。
じゃあ、自分はどうやって線を引くのか。

  • お金の話は「人」ではなく「仕組み」で見る

  • その場で返事をしない

  • 「秘密にして」は危険信号だと思う

  • 迷ったら、職場の外の人に相談する

地味だけれど、結局こういう線の引き方しか、自分を守ってくれないのかもしれません。

信頼と線引きは、両立していい

今回の相談を聞いていて、私は相談者を責めたい気持ちにはなれませんでした。信じたかったんだと思うし、信じられる相手だと思っていたんだと思うんです。

でも、信頼していることと、無防備でいることは同じじゃない。

信頼を捨てるのではなく、信頼しながら線も引く。たぶんそれが、自分の暮らしを守るために必要なんだと思います。

加藤諦三さんの言う「損害を受け入れる」という言葉も、ただ諦めろという話ではなくて、法的に回収が難しい場面で、さらに心まで持っていかれないための言葉だったように思います。
信頼は人を支えるけれど、ときどき判断を鈍らせる。では、信頼を捨てずに、どこで線を引くのか。今回の相談は、その練習問題のようにも聞こえました。

出典・参考

本記事は、
ニッポン放送「テレフォン人生相談」
読むテレフォン人生相談
を拝聴・拝読し、一視聴者としての感想と解釈をまとめたものです。

いつも貴重な書き起こしを公開してくださっている「読むテレフォン人生相談」さんに、感謝を込めてリンクを貼らせていただきます。


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