今週の岡崎さん#3「草取りは根っこから。」
■ はじめに
皆様、泥臭くもがく日々を送っていますが、今回は文字通りの「泥」に塗れた物理的なお話です。
テーマは「雑草抜き」。
しかし、ただの草取りではありません。この泥臭い作業の中には、「筋トレの継続理論」から「公共施設の維持管理の課題」に至るまで、私たちが直面している本質的な問いがびっしりと詰まっていました。備忘録として、少し長くなりすぎますが書き留めておきます。
■ 第一章:ポンコツアベンジャーズと「とまり草」の死闘
事の発端は、旧長岡小学校の「ノウルプロジェクト」のノウルガーデンにて、早朝から繰り広げられた草取りミッションです。
メンバーは、岡崎さん、赤玉さん、須川さん、平野さん、そして私の5名。集まった時点でなぜか笑いがこみ上げてくる、奇跡のアベンジャーズです。
集合時間は朝5時。なんとも気持ちのいい時間です!
私は、まるで遠足の日の小学生のように気合を入れ、朝4時に起床。体育会系の「30分前行動」を遵守し、4時半にはやる気満々で現地に向かいました。
しかしここで、「岡崎さんを車で迎えに行く」という最重要ミッションの連絡に全く気づかず、一人で意気揚々と現地集合するという特大のやらかしから1日がスタートしました。
現地に着くと、最初に赤玉さんが登場。
「綺麗ですね、どこ抜くんでしょうね?」と軽い感じで言ってきたので、「際のピョンピョンしたやつちゃいますか?」と適当に返答したのですが……これがB級映画でお決まりの「死亡フラグ」でした。
ここで、軽い気持ちで集まったアベンジャーズたちの「絶望的な持ち物」をご紹介します。
赤玉さん:小さいビニール袋(え?草、絶対入らない。コンビニのサンドイッチかプリンでも入れるんですか?)
平野さん:スケートボード(何に使うの?と聞くと「これに座って草抜くと楽なんですよ」。おじいちゃんかよ。そして絶対そんな優雅に抜けません)
須川さん:草刈機(ここは山じゃないです。今日は絶対に使いません)
各々が自由な発想のもと、見事に「何の役にも立たない装備」を持参しているではありませんか。
結局、ひたすら手で抜くという原始的なスタイルで草取りがスタート。
本当なら花が咲いているはずのガーデンですが、花よりも雑草が圧倒的な生命力で元気に育ちまくっています。ごく稀に小さな花が咲いているのですが、これが「植えた花」なのか「雑草が進化して花を咲かせた」のか、このメンバーの誰も答えを知りません。完全に個人の勘(ギャンブル)です。
私は「このオシャレな雑草は、もしかして植えたものかもしれない」と忖度して残していましたが、私の後ろに続く須川さんが一切の迷いなく無慈悲に引き抜いていたので、「余計なことは考えずに行動する」という本質をここで学びました。
そして、さらにその後ろに続く岡崎さんから「ちくしょー!はぁ、はぁ…」という荒い息遣いが。振り返ると、なんと岡崎さんが誰よりも汗だくになって地面と格闘しているではありませんか。
原因はすぐに判明しました。私と須川さんが、表面の草だけをブチブチと引きちぎって満足していたため、地中に残った強靭な「根っこ」を、死に物狂いで処理してくださっていたのです。
一瞬で青ざめた私たちは、それ以降、心を入れ替えて「根っこ」を死に物狂いで抜くことにしました。ここから草取りがハードモードへ突入です。
雑草の中には異常に抜きにくく、必ず根っこが残る悪魔のような種類があり、そのあまりのしぶとさから「とまり草」と命名されました。ひどい話です。「熱波師の須川さん」も「草刈り師須川さん」に改名となりました。とまり草の密集エリアを発見した時は正直絶望しましたが、全員でなんとか抜ききりました。
諦めなくて良かった。朝6時、泥だらけの手に残る清々しい達成感。なんやかんやで、最高に楽しい朝でした。
■ 第二章:気合いの限界と「仕組み化」への移行
「次は絶対に、役に立つ道具を持って行こう」と固く心に誓い、この日は解散しました。
とはいえ、冷静になって考えると「これは続けていけるのだろうか」という一抹の不安がよぎります。何故ならこの日、早起きしすぎてめちゃくちゃ眠かったからです。
そして、この度「草取り部」が結成されましたが、年齢的にもそんなに若くない方もいるので、そのうち誰かが寝坊すると思います。その第一号だけにはならないようにしなければなりません。
気合いや根性頼みのプロジェクトは必ず破綻します。そこでもっと楽に続けられそうな「仕組み」を考えてみました。
まずは、フィジカル頼みの抜き方をやめて「道具」を使うこと。正直これはサルでもわかることだと書いている私が自覚しています。
次に重要なのが、雑草をとるペースを一定に保ち、ちょっとずつ抜くことです。
極論、「生えるペース」より「抜くペース」が上回っていれば良いのです。何を当たり前なアホなことを、と思ったあなた。その通りです。しかし、抜くペースがわずかでも上回っていれば、いつか雑草は確実に駆逐されるという数学的な真理です。
こうして「脳を騙す」のです。
休日に数時間かけて一気に雑草を処理しようとすれば、正直しんどいし、二度とやりたくなくなります。これが継続できない最大の理由です。
「1日15分だけ、気持ちのいい時間に雑草を抜いて、美しい景色を見ながらコーヒーブレイクをする」。こんな感じで日常の中に組み込み、習慣化しようかと考えています。これで雑草が増えたら私の計算が間違っていたということです。その時は素直に反省し、作業時間を伸ばします。
■ 第三章:草取りと筋トレの完全なる一致
賢明な読者の皆様はお気づきかもしれませんが、実はこれ、「筋トレの継続メカニズム」と完全に同じです。
私のように生まれつき筋トレが好きな変態はさておき、普通の人間は無意識にジムに行きたいとは思いません。気合いで頑張ろうとしても数日で終わります。
継続には「どうなりたいか」というビジョンが必要です。そして、急にしんどいトレーニングをすれば脳は危険信号を出して拒否反応を起こします。だからこそ、「苦しいと感じる前に辞める」「終わった後にご褒美を与える」のです。
こんなペットの躾のような手法が人間にも効くのか?と思われるかもしれませんが、効きます。少なくとも私には強烈に効きました。(私が動物レベルである可能性は否定しませんが)。
こうして脳を騙し続けると、「トレーニング=楽しいもの」という認識に変わります。続けるうちに習慣化され、その中で体は時間をかけて地味に、しかし確実に変化していきます。
そして最も重要なマインドセットがあります。
何かの理由で中断してしまっても、「続かなかった」「失敗した」と絶対に思わないことです。失敗体験として脳に刻まれると、再開のハードルが跳ね上がります。
「1年後に再開すれば、それは継続している途中だ」と言い張れば良いのです。私はそうやって筋トレを続けてこれました。ダイエットも大体このマインドで成功します。
20代の頃は体を鍛えている友人がたくさんいましたが、30代後半になっても続けている人はごくわずかです。当たり前のことでも「継続」は決して簡単ではないのです。
■ 第四章:「作って終わり」ではない。公共施設の維持管理という本質
この「草取り」と「筋トレ」の継続理論は、私が今学んでいる「公共施設の維持管理の課題」にそのまま直結します。
これまで多くの公共施設は、莫大な予算をかけて立派なハコ(建物や公園)を作ることがゴールになっていました。しかし、本当の闘いはオープンしたその日から始まります。
建物は老朽化し、公園には雑草が生い茂ります。これらを維持管理していくためには、継続的なコストと労力が必要です。しかし、行政の予算や人員は減る一方。年に数回、業者に大金を払って一気に除草作業をするような「気合いと力技」のモデルは、もはや限界を迎えています(一気に草を抜こうとして挫折するのと同じです)。
だからこそ、公民連携(PPP)の視点が必要なのです。
「生えるペースより、抜くペースを上回らせる」仕組みを、どうやって日常の中に、無理なく、楽しく組み込むか。
例えば、ガーデンを地域の人々が「1日15分のコーヒーブレイク」のついでに手入れしたくなるような空間にすること。コミュニティの力や、そこで生まれる「心地よさ」をご褒美に変換し、維持管理自体をエンターテインメントや習慣にしてしまうこと。
「どうなりたいか」というビジョン(この美しい景色を保ちたい)を共有し、少しずつ、でも絶え間なく動き続けること。
これこそが、未来の公共施設を長生きさせるための構造かもしれないと、泥だらけの手を洗いながら気づかされました。
■ 第五章:自腹の覚悟と「草抜き4カ条」
ノウルの景色に感動し、この美しさが続いてほしい。そう思うのは、私自身がそこで癒やされたことがあるから、美しいと感じたからです。
私はこの活動を続ける覚悟として、草取り用の道具を自腹で買い揃えました。人様から借りたものでは、その時限りになってしまいます。続けるという覚悟を固める時、私は形から入るタイプです。
最後に、これからの「草取り部」として心がけたい4つの心得を記して終わります。
一、成長する前に抜くべし!(物理的にも精神的にも楽だから)
一、雨上がりの後に抜くべし!(地面が緩んで抜けやすく、圧倒的に楽だから)
一、スピードではなくトルクで抜くべし!(表面だけ引きちぎると岡崎さんが怒る…もとい、根っこがついてくるから)
一、腹圧を高めてケツの穴を締めて抜くべし!(腰を守れるから。これは筋トレの基本です)
続けていける仕組みと、それを実行する健康な体があれば、雑草も、立ちはだかる課題も必ず駆逐できると信じて。
