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ahoutrain
「歩けるようになること」はゴールじゃなかった― 中学生の彼が教えてくれた、リハビリの本当の役割 ―
以前、担当していた中学生の男の子がいた。
普段は車椅子で移動し、短距離であればクラッチを使って歩くこともできる子だった。
僕たちは目標を立てた。
「クラッチなしで10歩歩けるようになろう」
1年間、一緒に練習した。
そしてついに、その目標は達成できた。
さて、ここからだった。
「この歩行を、日常生活に取り入れられないか?」
そう考えて検討を始めたが、現実は違った。
彼は、毎日宿題に追われていた。
終わるのは、夜11時を過ぎることもあるという。
リハビリに通う時間は取れず、そのまま終了となった。
後日、知り合いを通じて彼の話を聞いた。
彼は大学受験に合格し、希望していた進路に進んだという。
その話を聞いたとき、ふと考えた。
あの1年間の歩行練習は、何だったんだろう。
もしかすると——
それは、
「やればできる」という実感を持てた時間だったのかもしれない。
あるいは、
「歩く」という選択肢を、人生の中に一つ増やせたことに意味があったのかもしれない。
でも同時に、こうも思った。
もしリハビリを継続していたら、
歩行練習ではなく、
長時間の座位によって起こる関節拘縮や、脊柱の変形へのアプローチを
優先する選択もあったのではないか。
ここで強く感じた。
リハビリは「できないことをできるようにすること」だけではない。
その人が将来、
どんな生活を送りたいのか。
そのために、
今、何を準備しておくべきなのか。
僕たちの仕事は、
機能の改善だけを見ることではなく、
その人の人生を見据えて、最適な選択を提案することなのだと思う。
そして改めて思う。
歩けることが、最良とは限らない。
