3歳で気づくのは遅い?自閉症児の“早期支援”が本当に必要な理由
リハビリの現場で感じる「もどかしさ」
多くの自閉症児が「3歳で診断に至る」背景には、実は明確な流れがある。 10ヶ月健診や1歳半健診で「少し様子を見ましょう」と言われ、そのまま大きな問題が見えないまま月日が過ぎていき、3歳頃になると、保育園や幼稚園で「他の子とうまく関われない」「言葉が出ない」といった困りごとがはっきりしてくる。
そこで初めて医療機関を受診し、診断が確定する
このパターンが非常に多い。
そんな医療機関で働く僕が、現状について報告する。
一言でいうと、
「3歳からでは遅い。もっと早く関わりたかった」
という強いもどかしさだ。
3歳で「積み上がってしまったもの」
3歳で出会うお子さんたちの多くは、すでに独自のコミュニケーション戦略(誤学習)を積み上げている。
例えば「泣くことで嫌なことを回避する」「特定のパニックで要求を通す」といった、本人なりの必死の適応が、社会的な不適応(誤学習)として定着してしまっている。
例)「泣けば回避できる」→成功体験→繰り返す→クセになる これが“誤学習”の正体。
この定着した行動パターンを「修正」することには、新しいことを「教える」よりもはるかに大きなエネルギーと時間がかかるという現実がある。
10ヶ月健診に見る「可能性(伸び代)」
一方で、保健センターでの10ヶ月健診などで出会うお子さんたちには、まだそうした「固まった誤学習」が少ない。
この時期はまだ脳も行動も柔軟で、何より「コミュニケーションのクセ」が未分化である。
つまり、この時期に正しい関わり方や環境調整を伝えれば、「誤学習」を予防し、自然な形でコミュニケーションの基礎を育める「大きな伸び代」がある。
現実的な対応
…とは言え、現実的には「診断がつかないとリハビリが受けられない」といった制度の壁や、早期療育のための専門機関がまだ十分ではないという課題もある。「すぐに専門的な療育を!」と言われても、実際には難しいケースも多い。
そんな中で、僕が皆さんに伝えたいこと、今すぐできることが二つある。
一つ目は、「様子を見ましょう」という言葉の裏側を正しく理解すること。
健診でそう言われると、つい「今は問題ないんだ」と安心したくなると思う。
でも、その言葉は「今はまだ診断名をつける段階ではない」という医学的な慎重さの現れであって、「将来も全く心配ない」という保証ではないことも多い。
だからこそ、その言葉を「今は、親御さん自身の観察や工夫が一番大切な時期なんだ」と、ポジティブに捉え直してほしい。
二つ目は、一番身近なプロである「保健師さん」を徹底的に頼ること。
保健師さんは、数え切れないほどの子どもたちの成長を見守ってきた、地域の発達支援のプロフェッショナルだ。
気になる子どもの特徴はもちろん、その子に応じた関わり方のノウハウを驚くほど蓄積している。
もし、わが子の様子で少しでも気になることがあったら、「少し気になることがあって……」と、その不安をそのまま素直にぶつけてみて欲しい。
こんなこと相談してもいいのかな?」なんて思う必要は全くない。
むしろ、そうやって保健師さんと具体的な関わり方を相談し続けることこそが、先ほどお話しした「誤学習」を予防する、最も確実な第一歩になるはずだから。
今はまだ、診断のついていないお子さんを支える体制は、全国的に見ても発展途上だ。
だからこそ、まずは身近なプロである保健師さんと二人三脚で、お子さんの「今」に必要な関わり方を一つずつ試してみて欲しい。
今日からできる3つ
では、診断がつく前の今、親として何ができるのか。
今日からできることを3つにまとめまてみた。
気になる行動をメモしておく
健診で「少し気になることがあって」と必ず伝える
保健師さんに“具体的な関わり方”を相談する
保健師さんにつながれば、その後必要な発達支援を受けられるチャンスが高くなる。
この記事を読んでいる親御さんの中には、子どもの発達のことで不安な気持ちを抱えている方がいると思う。
お子さんに発達的支援が必要ならば、何もせず3歳まで様子を見ることはできれば避けてほしい。まず専門家に相談してほしい。
発達は「気づいたその日」から変わり始める。
小さな一歩が、必ず未来の大きな変化につながる。
日々の小さな積み重ねで、少しずつ、でも確実に改善することができる。
僕はそう信じている。
