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『 東北弁のポテンシャルについて 』



ほ〜してこ〜して、あいづあっぺしたは。



ほ〜でねくて、んにゃんにゃんにゃんにゃんにゃん。



なかなか、めんこいだっちゃ。



ほれにしてもアレだなぁ〜……



おだってっと思われっぺか。



ほ〜でね。



ちゃんとやってっと。



ちなみに、「だから〜」は、そうだよね〜という意味です。



え、わからない?







私は東北人である。



ふだんは標準語の仮面をかぶって、ごくごく真面目な顔をして生きている。



「ほ〜してこ〜して、あいづあっぺしたは。ほ〜でねくて、んにゃんにゃんにゃんにゃんにゃん」


文字に起こすと、もはや呪文か呪詛の類にしか見えない。もしこれを街中でうっかり声に出してブツブツ呟いていたとしたら、周囲の人々はそっと距離を置くに違いない。



なにしろ、後半の「んにゃんにゃん……」に至っては、猫の威嚇か、あるいは高周波のジャミング電波のようである。



どうでしょう。これが東北のリアルな日常会話のテンポなのです。へへへ♪変?面白い?格好良い?




......格好良くはないか(笑)




んでも、どんなイメージなのか知りたい。猛烈に、知りたい。



自分としてはいたって大真面目に、論理的な思考回路を巡らせているつもりなのである。ただ、出力される音の響きが、どうにもこうにも、のんびりしているだけなのだ。



これはなかなか、めんこいのではないか、という気がしないでもない。



ほれにしてもアレだなぁ〜、と思う。




このように、自分の脳内言語をそのまま開示してしまうと、周囲からは、おだってっと(ふざけている)と思われっぺか、と少々不安にもなる。


標準語の世界から見れば、私の頭の中は常に芋煮会でも開催されているかのような、お気楽な状態に見えるかもしれない。




ほ〜でね。そうではない。



私はいつでも、ちゃんとやってっと(しっかりしています)と言いたい。



ところで、東北弁には、他県の人々を激しく混乱させるトラップが存在する。



その代表格が「だから〜」という言葉だ。



一般的な日本語において「だから」は、理由を説明した後に結論を導くための接続詞である。



しかし、私たちの国(東北)において、これは純然たる
強い同意を意味する。



相手が「今日は本当に寒いねぇ」と言ったら、私たちは深く頷きながら「だから〜」と返す。



これだけで「本当にその通りだよね、私もそう思うよ」という、温かい共感の嵐となる仕組みになっているのだ。



標準語の使い手からすれば、「だから、何?」と次の言葉を待ってしまうところだろうが、そこで会話は完結している。



なんという省エネ、かつ奥深いコミュニケーション文化だろうか。



一見すると、のんびりとしていて、何を考えているか分からないと言われがちな東北弁。



だが、その裏には極寒の冬を乗り切るための、独特の合理性と、じんわりとした温もりが隠されているのである。




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