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『盛り付けの天才と、ちいちゃんの顕微鏡』

   世の中には、驚くほどマメな人がいる。
   うちの職場の「お喋りさん」も、その一人だ。

 本業の介助よりも、他人の体調不良での1.5時間の休憩を、4時間のサボリと2.6倍に膨らませる作業に、心血を注いでいるのだから頭が下がる。

 彼女たちの脳内を顕微鏡で覗いてみると、そこには、
「正義の味方」の皮を被った、自信のなさの塊が蠢(うごめ)いているのが見える。
これは「投影」と「承認欲求」の合わせ技らしい。

 自分の中に「本当はサボりたい」「ズルをしたい」というドロドロした願望があるからこそ、他人の休憩が許せない。

 そこで「自分は規律を守る側だぞ」という立派な旗を掲げ、他人の不幸をトッピングして師長に献上する。
そうすることでしか、自分の価値を確認できない、なんとも燃費の悪い構造になっているのだ。

 目の前では「大丈夫?」と心配そうな顔をし、裏では「ピンピンしてサボっていた」と吹聴する。
この二面性は、一見すると「姑息」だが、顕微鏡の向こうでは「嫌われる勇気がないのに、優位に立ちたい」という、矛盾した小心者の震えに見えてくる。


 そんな「盛り付け」に付き合わされ、器の底が冷えてしまい、師長にこうメッセージを送った。

「    噂を流した職員がわかりました。
あえて名前は伏せます。朝言われました。
16時に出てきてピンピンしていたという事実はありません。

   噂を流した職員は、現場で「大丈夫?無理しないでね?」と、彼女に心配そうに声をかけていました。黙認して後から虚偽を混ぜて報告するという行為は、現場の統制を乱すだけでなく、情報の信憑性に著しく欠けるものと考えます。
目の前では心配そうに声をかけておきながら、後から事実と違うことを触れ回るんですね。後出しジャンケンが得意な方なのだな、と正当に評価させていただきます。

   今後、その職員の報告をどこまで真に受けるべきなのかは、わかりました。私も今回の件は反省しています。申し訳ございませんでした。

   それから、彼女が復帰したら、その日リーダーだった、ちいちゃんにはキツく言っておいたから、今後具合が悪くなったら帰るようにとお伝えください。
私からは彼女へはあーだこーだ言わないでおきます。」

……自分で読み返しても、冷気が漂ってくる。

 のらりくらりとしている私の中にも、こういう「冷徹な建築家」が住んでいる。

 人はこれを「怖い」と言うかもしれないね。とほほ。。。

   いやはや。人が足りないだの、人数が多ければやる事がないだの、誰かが仕事ができないだのと、そんなに文句があるのなら、口を休めて体を動かせばいいのに、ねえ?

 仕事なんて、探せばいくらでもあるのよ実は(笑)
 髪が少しボサボサなおばあちゃんや、乾燥で顔がカサカサなおじいちゃん。目やにを拭いてあげたり、冷えた足を足浴で温めてあげたり、寒さでこわばる身体をさすってリラックスさせたり。

   リハビリをやりたくないと言われたら、無理に参加させなくても良いよ。
   何もしないでくれと言われたら、そっと見守るよ。

 誰かの粗探しにばかり精を出すより、そうやってスキンケアや安心な場を提供している方が、よっぽど平和で、お互い幸せな気持ちになれる気がする。
「リハビリをやってますアピール」をするのは、相手にとっては押し付けになっちゃうしね。

 もし本当に「仕事ができない人」がいて困るなら、陰で文句を言わないで、みんなで勉強会でも開けばいいし、計画を練り直せばいいだけのことだ。協力し合えば解決する話なのに、なぜだか世の中はそう簡単にはいかないらしい。

 みんな大人なのになぁ。。。

 姑息な盛り付けに疲れたら、自分の聖域に引きこもり、鳩の一羽も出せないマジシャンとして、とほほ、、、と日記を書く。
 明日はせめて、おじいちゃんおばあちゃんの顔がツヤツヤでぴかぴかになるような、そんな穏やかな一日であればいいな。


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