心静かに祈りをささげるー山梨から眺める富士山と桜のおりなす景色の中で
日常に疲れたある日。呼吸を整えるため、旅に出ることに
忙しい毎日の中で、気付かないほど小さな重みがいくつも重なり、
いつの間にか心の余裕がなくなっていることがあります。
柔らかな水色の空に浮かぶ、ふわふわの小さな雲
木の上でさえずる小鳥の甲高い声
その木の下でひっそりと映えている、小指くらいの大きさの黄色い花
そんな日々の景色に目を向けることができくなって、
やるべきことを早く済ませることやルーティーンをこなすことに集中してしまう。
自分の心に寄り添うための余白がないんです。
「こころ穏やかに、ゆっくりと深呼吸したい」
そう感じた心を大切にしたくて、車でお気に入りの場所へ行くことにしました。
たった一瞬の静けさが、心を穏やかにしてくれる
訪れるたびに、いつも穏やかな気持ちになる場所があります。それは山梨にある2か所の神社。
「金運のパワースポット」と聞き初めは軽い気持ちで行ったのですが、富士山の周辺という事もあり、空気が澄んでとても気持ちの良い場所。いつの間にかわたしのお気に入りの場所になりました。
浅くなった呼吸を整えるのにはぴったりです。
まず初めに訪れたのは河口湖の目の前にある富士御室浅間神社(ふじおむろせんげんじんじゃ)。
ご祭神は大変美しいとされる木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)で、良縁・子宝や繁栄のご神徳で有名です。
そのご祭神に合わせたかのように、神社の周りには薄いピンク色の美しい桜が優しい風にゆらゆらと揺れていました。そして桜の花越しに、雪化粧された富士山が出迎えてくれます。どっしり佇む富士山を見ていると、自分が小さな世界で生きていることに気付かされました。
神社の参道は桜並木になっていて、歩みを進めるごとに、やわらかな風が春の香りを運んでくれるよう。7部咲きだった桜は今週末が見ごろになりそうです。
富士山の噴火によって消失し、何度も再興・増設された本宮は、朱色の柱が美しく佇んでいます。「昔の人もずっとこの神社を大切にしてきたんだな」と思うと、とてもありがたい気持ちになりました。
一歩一歩前にすすみ、賽銭箱の前で姿勢を正します。
神聖な気持ちでゆっくり二礼。
パン、パンと手を叩くと澄んだ音が境内に響きました。
そしてほんのり温かい手のひらを合わせて、目を閉じます。
日頃の感謝をお伝えし、一礼。
静寂があたりを包みました。
この、たった1分にも満たない祈りの時間は、いつでも自分のこころを落ち着かせてくれます。澄んだ空気の中で、無心になってただ静かに手を合わせる時間…それは心に余白を生んでくれるひとときでした。
■富士御室浅間神社(ふじおむろせんげんじんじゃ)
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町勝山3951
社務所開所時間:9:00-16:00
わたしに戻る、小さなステップ
次は富士御室浅間神社から車で15分ほどの場所にある新屋山神社(あらややまじんじゃ)に向かいます。
神社の手前に、濃いピンク色のしだれ桜が並んでいる場所を見つけました。近づいてみると、こちらも桜越しに白く輝く富士山がのぞいています。
「なんてラッキーなんだろう!」
と嬉しくなりながら、神社に到着しました。
室町時代後期に創建された新屋山神社は、木花開耶姫命の父である大山祗命(オオヤマツミノミコト)が主祭。山を納める神様ということもあり、富士山を背に佇んでいます。
本宮と奥宮があるのですが、この日伺ったのは本宮。
奥宮は富士山二合目に位置しているため、毎年GW付近から参拝が可能になります。
入口には、周囲の森から土の香りが漂う、神聖な雰囲気の赤い鳥居。
近くの木の上では、雨上がりの日差しを喜ぶように、小鳥のさえずりが響いていました。
間隔をあけて何本も並ぶ背の低い鳥居の下を、石でできた階段を上りながら進んでいきます。
賽銭箱の前で、おなじように二礼、二拍手、一礼。
神社でお祈りする時の一連の動作は、自分の自分の心を落ち着かせるための儀式のような感覚があります。
普段あちらこちらに忙しく散らばっている意識が、一点に集中するような、不思議な感覚です。
周りの音も、周囲の視線にも、何にも影響されません。
自然と、呼吸がゆっくりになります。
「いつものわたしに戻ってきたな」
体中に安堵の気持ちが広がりました。
■新屋山神社(あららやまじんじゃ)
住所:山梨県富士吉田市新屋4-2-2
社務所開所時間:9:00-16:00
※奥宮については、今年の雪の状況によりますが、GW開け頃から参拝可能になるそうです。
雄大な富士山を目の前に、地元ならではの名物に舌鼓をうつ
お参りが終わり、帰宅の前に腹ごしらえをすることにします。
「道の駅富士吉田」は、富士山の迫力ある姿を楽しみながら、農産物直売所や地ビールをいただけるレストランがある道の駅。
新屋山神社からは車で5分の距離で、富士吉田忍野スマートICの手前ということもあり、ドライブで寄り道にはぴったりの場所です。
ここでは富士吉田市の郷土料理「吉田うどん」をいただくことに。
吉田うどんとは、コシの強い麺にキャベツと馬肉がトッピングされたうどんのこと。かきあげなどのトッピングもありましたが、定番のうどんを注文しました。
熱々のスープをれんげですくうと、昆布出汁の少し甘い香りが口の中に広がります。少し太めの麺は、お箸で持つとずっしり重みを感じ、手打ち麺特有のゴツゴツとした触感が食べ応え抜群。甘辛味に調理された馬肉が、やさしいスープのアクセントになり、ハフハフと一気に食べ進めてしまいました。
のどが乾いたら、富士の地下水もいただけるのが嬉しいポイント。
店内のドリンクコーナーには富士山を模した青と白のカップが用意されていて、写真映えもする可愛らしさ。素敵なカップでゴクリといただくお水は、体の中から清められる気分でした。
駐車場の側には水汲み場もあるので、ぜひ利用してみてください。
駐車場に出ると、さきほどまでうっすらと雲がかかっていた富士山が、はっきりと姿を現していました。
山頂近くの雪は氷状になったのか、ピカピカと光り、太陽の光を反射しています。
「すこしずつ、富士山も雪解けの季節に向かうんだな」
そう思いながら車に向かうわたしの足取りは、来た時よりも軽くなっているように感じました。
道の駅 富士吉田【公式】(@michinoeki_fujiyoshida) • Instagram写真と動画
■道の駅 富士吉田
住所:山梨県富士吉田市新屋3-7-3
営業時間:平日 : 9:00-17:00 土日祝 : 9:00-18:00
あたたかな日差しが降り注ぐ車内で、改めて思うこと
ガタゴトと細かく揺れる車の振動を感じながら、帰路に付きます。
「深呼吸したい」
と思い出発した今日の旅は、穏やかな心地よさに包まれて、終わろうとしています。
きっと日常の中でも、深くゆっくりと呼吸をすることはできるはず。
ただ、時には大きな環境の力を借りて、日常をクリアにすることが必要な時もあるのかもしれません。
桜の花のふわっと寄り添うような優しさと、すそ野を大きく広げて何にも動じない富士山の姿。
その環境の中で、ゆっくりと祈るひととき。
そんな旅の中で、いつの間にこころにポッと余白が生まれていました。
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