「ハーモニーなメロディ」が教えてくれた、ことばの背伸びのかわいさ
ある日のこと。
校内での小さなコンサートが終わったあと、部員たちに感想を書いてもらいました。
その中に、こんな一文がありました。(一部だけご紹介します)
初めてのコンサートで緊張しましたが、皆で協力しハーモニーなメロディを奏でることができました。
準備に携ってくださった方々、本当にありがとうございました。
これを読んだとき、わたしは思わずニコッとしてしまいました。
「ハーモニーなメロディ」って、なんて素敵な組み合わせなんだろう。
そして「携って」という書き方にも、「ちゃんとした言葉でお礼を書きたい」という気持ちがにじんで見えてきます。
「変」じゃなくて、「おもしろい」と受けとめてみる
もちろん、日本語として見ると
「携って」より「携わって」のほうが、より伝わりやすいよね
「ハーモニーなメロディ」は、音楽用語としてはちょっと不思議かも
…と、ほんの少しだけ整えたくなるポイントはあります。
でも、その前に感じたのは、
部活らしいことばを使ってみたい
きちんとした言い回しで感謝を伝えたい
という、「ことばの背伸び」のかわいさでした。
たとえば、こんなふうに整えることもできます。
初めてのコンサートで緊張もしましたが、みんなで息を合わせて演奏することができました。
準備に携わってくださった方々、本当にありがとうございました。
元の文章の良さを残しながら、
少しだけ言い回しを整えて、スッと読める形にしてあげるイメージです。
赤ペンで「ここは×」と消すのではなく、
「こういう言い方をしようとしてくれたんだね」
「じゃあ、こう書くともっと伝わるかも?」
と、一緒にことばを磨いていく感じで関わりたいなと思います。
「初めて」と書きたくなる気持ち
もうひとつ、おもしろいのが「初めてのコンサート」という書き出しです。
実はこのメンバーでの演奏は、これが本当に人生で最初、というわけではありません。
これまでにも、いろいろな場で演奏する機会がありました。
それでも「初めて」と書きたくなったのは、きっと理由があるはずです。
これまでと雰囲気が違うステージだった
お客さんとの距離や空気感が、じぶんたちにとって特別だった
「自分たちでやりきる」という感覚が強かった …などなど。
そう考えると、
事実としての「初めて」ではなく、
心の中で「これは特別だ」と感じたときに出てくる「初めて」
だったのかもしれません。
今度、本人たちと話すときには、
「あの『初めて』って、何が初めてだったと思う?」
「『初めて』って言葉を使わずに説明するとしたら、どう書く?」
と、ゆっくり聞いてみたいなと思っています。
間違いじゃなく、「ことばの芽」として
生徒たちの文章には、ときどき
ちょっと不思議で
でもその子らしさがにじんでいて
読むと思わずほほえんでしまう
そんな一文がひょこっと現れます。
今回の「ハーモニーなメロディ」や「携って」も、まさにそんな“ことばの芽”のひとつでした。
誰かを笑ったり、粗さをつついたりするためではなく、
生まれたてのことばを「おもしろいね」「いいね」と受けとめながら、
少しずつ「伝わる文章」に育てていくこと。
それが、書くことを支える大人としての、
ささやかなよろこびだなあ、と感じています。
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