何をかわいがって生きていけばいいのだろう。
※約900文字です。
最近、長男と夕食を一緒に食べない日が増えた。
私には3人の息子がいる。
中学3年生、小学6年生、小学4年生。
長男は受験生で、
塾の日は夕食を一緒に食べないことも多い。
休日も、家族で出かけるより
友達と遊びに行くほうが楽しそうだ。
下の二人はまだ小学生で、もちろんかわいい。
でも、次男も来年には中学生になる。
もともと
友達とわいわい過ごすのが好きなタイプなので、
親離れも早いのだろう。
気づけば、三男にはつい手をかけすぎてしまう。
Googleフォトは、
頼んでもいないのに昔の写真を送ってくる。
「8年前の今日」。
画面には、
ミニオンの曲に合わせて
テレビの前で夢中になって踊る3人の息子。
写真は時間を巻き戻してくれる。
でも、現実は巻き戻らない。
今日も長男は塾で、
夕食の席は一人分空いている。
その写真に見入ってしまい、
自然と涙が込み上げてくることがある。
小さな手をつないで保育園へ通った日々。
今なら完全に交通法違反だが、
前かごに次男、
後ろに長男、
おんぶに三男。
3人を乗せたママチャリで、
毎日あちこち走り回っていた。
信号待ちで振り返ると、
3人とも眠っていた。
あの頃は、
それが当たり前の日常だった。
そういえば、子どもたちが小さい頃、
私はほとんど
リビングのソファーに座っていなかった。
座ると3人が一斉に膝の上に乗ってきて、
三段重ねになる。
「誰がお母さんの膝の上に座るか」で
けんかが始まり、
私は
子どもたちに埋もれてテレビも見えなかった。
トイレまで追いかけられ、
「お願いだから、一人にして……」
そう思う日も何度もあった。
今はソファーに座っても、
来るのは三男くらいだ。
あれほど見たかったテレビなのに、
今は静かすぎる。
あの頃の私に、
「もう一度やる?」と聞かれたら、
「三日間なら、よろこんで。」
と答える。
でも、もう戻れないと思うと涙が出る。
「お母さん。」
そう呼ばれる回数も、
少しずつ減っている。
もちろん、
それが成長なのだと分かっている。
うれしいことでもある。
少し寂しい。
私の手は、
少しずつ空いていく。
私は、
まだまだかわいがりたい。
けれど、
その手は少しずつ私の手を離れていく。
これから私は、
何をかわいがって生きていけばいいのだろう。

