見出し画像

ポケットにグリーンピース。ランドセルに高野豆腐。

かやんは、泣き虫で、騒がしくて、変に真面目なやつ。

ある日の帰り道。
かやんが何かを、ぽい、ぽい、と道端に投げながら歩いていた。

よく見ると、それは緑色の小石のようなもの。

「ん?? お前、それ……グリーンピース?」

「あっ、うん、給食の。」

と答えると、ポケットから10粒程のグリンピースを取り出した。

「あっ、好き?グリーンピース。」

「……..あっ、まぁ。普通。」

「食う?」

「…….いや…….いらん。」

「あっ、そう。」

(…………ってかこいつ…………)

グリーンピースをダイレクトにポケットに入れてるーーーーー!!!!)

びっくりして何も言えない僕をよそに、かやんは反省した様子で続けた。

「......グリーンピースさぁ、モサモサするやろ。嫌いやねん。」

(やろうね…..。でも違う、そこじゃない!!!)

「…..あー、そうなんや。まぁ、苦手な人多いし……。」

「……なんか引いてる?給食は残したらあかんルールやもんな。」

(…….そこじゃない……..。)

「俺の事、ずるい奴って思ってる?」

(…….そこじゃない……..。)

「でも、どうしても食べられへんねん..…」

我慢できずに、叫んだ。

「ダイレクトの件ーーーっ!!!」

「えっ????」

「いやいやいや、"えっ????" やあれへん!!なになになに?えっ?気持ち悪くないの??普通、袋に入れたりするやん。」

「まぁな、袋なかったし。もう慣れてしもた。」

「慣れるって何?? 相場はポケットにはわずかなマネーちゃう?グリーンピースて。」

でも──
それは、まだ序章にすぎなかった。


数日後。給食に「高野豆腐の卵とじ」が出た。

また苦手なやつやったらしく、かやんの手が止まる。

……しばらくして、こっそり僕に耳打ちしてきた。

「高野豆腐、食べられへんねん。」

「あぁ、そうか。まぁ先生にバレんようにしたら大丈夫。」
(えっ、ポケット??)
と、ちょっとだけ、期待をしてしまう。

「先生、見といてな。」

「うん、ちゃんと見とく!」
 (ポケット行け!)

かやんが、慎重に高野豆腐を箸で摘む。
(ポケット行けーーーー!)

「でも、これは流石にポケットはまずいよな。」
(残念!!!)

「そらあかんで!(笑)」

そう言うと、かやんは、こっそりとゆっくりと、
先生にバレないよ〜〜に、高野豆腐をランドセルに入れはじめた。

「お前、ばっ!えっ?ランドセルにダイレクト???」

「大丈夫やって。帰りに、絶対すぐ捨てるし。」

あまりに当たり前の様にそれを実行するかやんに、僕は呆気に取られるしかなかった。

そして、その場では、“ちゃんとした処理計画” みたいに聞こえたけど、案の定、かやんは忘れていた。

次の日──

「うわっ、なにこれー!!筆箱、びちゃびちゃやん!!」

ランドセルの底に沈んでいた高野豆腐。
布製の筆入れは、しっかり和食の香り。
味がしっかりしゅんだ、筆入れの煮浸し。

「うわ~、これもや!!」

取り出した体操服からは、
ほんのり甘い匂いがした。
広げるとそこには、
糖尿病のおねしょのような、甘い匂いの世界地図。

それはまさに──高野豆腐染。

「あ~、も~、最悪や~~。いつもこうやねん~。」

「まあ、そらそうなるわ~。」

「でもさぁ、食べられへんねんからしゃあないやん。」

「いや、直接入れるんやめたらいいだけやと思うで。」

「まぁ、食べ物を粗末にしたら運気下がるもんな。」

「いや、スピ寄りの話してない!
……流石に袋は用意したらって言ってんねん!」

ポケットには緑のピース。
荒野のランドセル背負って、
少年よ、体操服を洗え。


ー余談


チャットGTPに
『そう言うと、かやんは、こっそりとゆっくりと、
先生にバレないよ〜〜に、高野豆腐をランドセルに入れはじめた。』
のシーンの画像をお願いしたら、
笑ってもうたんで一応載せておきます。

高野豆腐、器、何杯いっとんねん。
これはもう、晩御飯用に持って帰ってるね。
大家族なんかな?
重たそうやな。

いいなと思ったら応援しよう!