「ツルハシを持ったおじさん」
子供の頃の記憶
子どもの頃の記憶には、
説明のつかない「不思議」
がよく混ざっている。
じゃり道にしゃがみ込み、
ツルハシで地面を削る大人の姿。
何をしているのか分からず、
ただ無心に土を叩く
その様子が妙に印象に残る。
遊びでも仕事でもない、
どこか別の世界の
行為のように見えていた。
大人になって振り返れば、
それは単純な作業だ。
凸凹になった道をならし、
人が歩きやすくするための手入れ。
言ってしまえば、
日常の中のごく普通の営み。
でも当時の自分には、
その「普通」が理解できなかった。
目的も意味も分からない行為は、
ただ静かな違和感として心に残る。
記憶というのは面白い。
出来事そのものよりも、
そのとき感じた「分からなさ」や
「引っかかり」の方が、
長く残ることがある。
何気ない風景の中にも、
子どもの自分にとっての小さな謎があり、
それが今の自分の視点でそっと解けていく。
